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短歌ノート

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小さな歌の寄せ集めですが、塵も積もれば何とやらで、そのうち大きく育つでしょうか。
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2022年4月の記事一覧

山野草【短歌】

『林下に咲く花を詠む』 初夏の雨に林道脇の稚児百合(チゴユリ)は恥じらうように俯いて咲く 花蠅が宝鐸草(ホウチャクソウ)の青白く細長い花で雨宿りをする 立夏前 まだ金蘭(キンラン)の咲く日には少し早いかと待ち遠しくなる * 少しだけ遠出をすれば山に咲く可愛い花に逢える幸せ (20220426/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

すれ違い*No*勘違い【短歌】

本当は君の素顔が見たかった。心のほうだよ、すっぴんじゃなくて 本心を聞かせて欲しいと言ったから、「のど、渇かない?」って聞いてみた 「その顔が好きよ」と言われバカだよな、笑顔のまんま、あれから一年 * すれ違いなんかじゃなくて勘違いでもいい僕は僕のまんまで (20220420/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

クロス・リアクション【短歌】

「スキ」を押し  出てくる「わたしも好きです」に何を好いてるのかと驚く 「スキ」を押し 「結婚しよう」の吹き出しに「既婚者です」の声は届かず 「スキ」を押し  何故か好かれることがあり思わせぶりな「スキ」に酔い痴れる * 「スキ」返し…忘れずしようと努力して…いるけど落ちてたらごめんなさい (20220419/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

自己*探究【短歌】

外見で騙された振りをする僕は 化けた狐の尻尾も愛せる 狭くても居心地のよい場所だから闇と光の狭間にいる 僕 言の葉に付いた刃(やいば)に自分から触れて傷つく矛盾に浸る * あゝこれは自分に向けた毒なので どうか みなさんは触れないように (20220419/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

過不足感【短歌】

ままならぬことが多いのが日常で上手くいったら とにかく感謝  きっと多分何かが欠けていたのだろう 声に出せるが意味不明な歌 時間には遅れないように来たものの相手が上手(うわて)で倍の待ち時間  * 木蓮の朽ちた花びら見下ろしているかのような枝の 若葉ら (20220410/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

健気さ【短歌】

画眉鳥の声響く野は黄昏れて昼の疲れが眠気を誘う  帰宅して部屋で眠って目を覚ます午後六時過ぎ 今日は金曜日 昨日今日明日と ひたすら生きていく 涙袋に想いを溜めて  * 手をかざし仰ぎ見る其の赤色は吾が血の所為か太陽の彩(あや) (20220406/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。

卯月*雨降る【短歌】

嘘なんて詠わないよという歌の真偽や如何に エイプリルフール 日曜の雨ふるさとの湖の畔(ほとり)で車中から花を見る 釜揚げの饂飩の湯気が立ち上り 冷たい雨を暫し忘れる  (20220403/私之若夜=しのわかや) ※画像はCanvaからいただいています。