宇多田ヒカル「初恋」で考える、「弦楽器らしさ」
これと、米津玄師のLemonもアップしたのですが、それは別で記事にします。
「初恋」は、実は曲が出始めた頃から作っていたんですが、
途中でどうしてもアレンジしたい別の曲を見つけたので持ち越しになっていまして。
あとでTwitter見てみたらめっちゃ人気になってんじゃん!ということで再着手という流れです。
〜編曲にあたって〜
原曲は全編、弦楽器やピアノを中心としたアコースティックな編成です。
それぞれが単音楽器で鳴り響いており、ヴァイオリンやチェロにおいては独奏のようなフレーズを弾いていることもあるので
どの音をチョイスするか全体的に非常に悩みました。
特にサビは基本的に低音弦が全音符で鳴り続いている状態なのですが
これをそのまま当てはめては間が持たないのです。
結果、バリトンは4分単位のリズムを刻み、テナーは完全裏打ち要員、
そしてアルトはメロディーとテナーの間の子、みたいな構成になりました。
またサビ以上に工夫を凝らした点として、Cメロがありまして。
伴奏は今までと同じように音の動きはほとんどないのですが
とにかく今までにない激昂しているような曲調に変わるのです。
メロディーの音域も曲中の最高音に達し、気持ちが高ぶる雰囲気をどう表現するか、ということで
今回は音の動きの激しさでその高揚感を表すことに挑戦しました。
この部分の伴奏パートを作るにあたってイメージしたのが
E.ボザのアンダンテとスケルツォという、サックス四重奏のオリジナル曲です。
ゆったりした1楽章と軽やかに飛び跳ねるような2楽章で構成されているのですが
この1楽章の中に、それはそれは緊張感を感じさせる激しい盛り上がりがあるのです。
本来であれば目立つことのない内声パートが目まぐるしく音を動かすことで
こんなにも曲調が変化するんだな、ということに驚いた時のことを忘れません。
もしかするとボザを演奏したことがある方は気づかれたかもしれません(笑)
その際は「あぁ、あの感じで吹けばいいんだな」とお考えいただければと思います(笑)
この記事を読んで、さらに楽譜までお買い上げくださった方は、
ぜひ「クラシックを吹くように」演奏していただけると、とっても嬉しいです。
今年流行った曲として年末ライブなどにオススメですので、
どうぞお楽しみください。
Shino's Studio