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総会メモ 株主総会から感じた「モヤモヤ」

お越しいただき、ありがとうございます。

本文は兼業投資家Shinnの超テキトーな呟きです。
勘違い等多々あると思いますので、間違っても投資の材料などなさらないようご留意願います。

一方、本文に関連する議論・質問は大歓迎です。
Twitterもやっておりますのでどうぞ気兼ねなく、気軽にお声がけください。

【目次】
①10年後に20%のシェアを取る!?
②今後数年間は「成長継続」
③気になる「3つの不安」
④新たな「マネタイズ」は?
⑤さいごに

①10年後に20%のシェアを取る!?

ipsの株主総会から1週間が経ちました。

パンデミックが国の経済活動を大きく停滞させている中、ipsはC2C回線という大きな武器を手に、通信特需の波に乗ることで大きく成長しました。

事業報告の内容も素晴らしいの一言。
(詳細は「2021株式総会」をご覧ください)
今後も右肩上がりでの成長を目指す、と社長より力強いコメントが出たことで、株主の方も満足の総会だったかと思います。


しかし…僕は今、少し「モヤモヤ」しています。
それは、頑なに定量面でのコミットを控えていた社長がポロっと漏らした

「10年後にシェア20%を目指したいなと…」

この言葉に引っかかってしまっているのです。

おそらく、法人向けBBのシェアを指しているのかと思いますが、それでも国の経済成長が進む中でシェア20%を目指す訳ですから、そのインパクトは大きいですし、大手通信企業と競うレベルを目指すと言っているようなものです。

一部の株主や投資家の間では、この言葉が話題となったようで、固定BBでのシェアなのか、通信事業全体、即ち将来のモバイル展開も含めたシェアなのか、おい出席者は突っ込まず何をボーッと聞いてたのか(スミマセン💦)…

まぁ、正確には「将来的にそれくらい取りたいよね、と社内でも話をしている」と仰っていたので、聴いていた株主の皆さんも、まぁ楽しみにしてますよ、くらいに取っているのかな、と思っています。


しかし、この企業へ長期投資をしている僕にとって、この一言がどうもスルーできないものとして残ってしまいました。

その原因は、最近のフィリピン動静から感じる
「将来のトップラインへの不安」であり、
これがシェア20%のイメージが全く描けないことに対する「モヤモヤ」として、今も続いているのです。

(ようやく本題…)

②今後数年間は「成長継続」を予想

近年、フィリピンの通信各社は劣悪な通信設備の改善に向け、巨額の投資を行なっております。

大手通信事業者、2021年の推定投資額
PLDT…920億ペソ
Globe…900億ペソ
DITO…1,500億ペソ(計画段階)
Converge…230億ペソ
1ペソ約2.28円(2021年6月)
引用元↓
https://www.gmanetwork.com/news/money/companies/791194/dito-nearing-1-million-subscribers-3-months-after-launch-says-tamano/story/?amp


大手2社が独占、そして停滞していた通信事業分野に国が介入、新しい血が入ったことで競争が生まれました。これにより今後数年間は、通信環境の整備が加速度的に行われることになります。

ipsは「キャリアズキャリア」が成長ドライバとなり、彼らの事業拡大に引き上げられるように、更には地方都市への展開が加わることで、”今後数年間“は右肩上がりで成長していくことを予想しております。

↓✍️ipsホルダーは本文よりコチラを読んでいただきたいです!
🔴投資メモ1 2025までのICTロードマップ


③気になる「3つの不安」

気になるのはその先、そう、まさに10年まで先を見据えた際の不安、リスクです。
有報ではそのリスクが細かに記されておりますが、今回、僕の中で特に気にしている3つの不安要素を挙げてみます。

1)通信料金の値下げ
英国の調査機関によると、フィリピンの通信費用はASEAN諸国でブルネイに次いで2番目に高いとの結果(月平均53.41㌦)が報告されております。
引用↓
https://newsinfo.inquirer.net/1448837/internet-overcoming-pandemic-lockdowns/amp

高いですね。
参考までに一人当たりの名目GDPを日本と比較してみると、通信料金が割高なのかが良く分かります。
これはまだフィリピンでの利用者が比較的裕福層に集中しているから、という見方もあります。
それでも、高いことに変わりはありません。

引用→https://www.mofa.go.jp/mofaj/files/000127169.pdf


堅牢な通信インフラの構築に目処が立つと、次に起こるのは通信料金の削減です。
今後起こるであろうキャリア同士の激しい競争に、トラフィックを供給するipsも巻き込まれる可能性があります。
⭐︎有報にもそのリスクは記されています。

これはかなり高い確率として、感覚ですが3〜5年後には起こるのでは?と見ています。


2)マニラ法人営業の停滞

先行きが不透明な中、影響が長期化すれば法人営業の成長スピードが鈍化することが予想されます。

今回のパンデミックがきっかけとなり、在宅ワーク、教育や医療分野のオンライン化が大きく進みました。
最近、フィリピンメディアで「通信環境やサービスの改善によりこの流れが定着して行くだろう」という記事を目にします。

関連記事↓
https://businessmirror.com.ph/2021/06/26/innovations-that-enable-hybrid-work-and-events/

パンデミックの間、企業はポケットWiFiやノートPCの調達など、在宅勤務のセットアップに投資を行いました。
通信事業者がそのニーズに応えるべく、通信環境の整備を行い通信プランを組むことで、ハイブリッドワーク(通勤と在宅)やオンラインでの授業・遠隔診療が定着するという流れに繋がると言うのです。

落ち着いたとしても、すぐに元の生活には戻らないかもしれません。

その対応策ともいえる、マニラの個人向けマーケットを見据えた「レジデンシャルへの参入検討」ですが、ここはipsと取引のあるCATV事業者とかち合わないマーケットを責めることになるでしょうから、早期での結果を残せるのか、よく分からない状況です。

🔴【訂正】このモヤモヤは、2021.7.10の記事にて訂正させていただきます。BPOセクターを筆頭にオフィス利用率が高くなっております。
投資メモ4


その他、個人的に期待していたAranetaCenterの展開は依然停滞している様子で、IRから良い話は出てきません。
PALとのプライベート通信の件もPAL自体がそれどころではないせいか、音沙汰ありません。


モヤモヤ、って感じです(笑)


3)IXの国内設置による売上不安
ipsは将来、フィリピンでIXを設置する計画を発表しております。

ここ最近、通信事業者やハイパースケーラー(AWSなどのグローバルクラウド企業など)によるデータセンター建設関連のニュースが立て続けに発表されております。

今年上半期に目に付いたニュースだけでも…
・DITO…今年、クラークに大型DC建設を発表。投資額は136億ペソ。
・Converge…既存のDC施設のアップグレード&セブに新たなDC建設を発表。
・Alibaba cloud…フィリピンでのサービス拡大を目的として、マニラにデータセンター設置を発表。
・PLDT…データセンターの接続改善を目的に、新たに2つのケーブル陸上局を設置を発表。

これだけあります。

ハイパースケーラーはフィリピンを新たなビジネスマーケットとして注目しております。
しかし、様々なサービスを展開するためには、大容量、高速、低遅延な通信体制(エッジコンピューティングなど)の確立が必須となります。
そのため今、国内で充分な処理をこなせるデータセンターの設置が求められているのです。


⭐︎以下記事は結構大事なことが書かれていますので、翻訳ソフトを使ってでも見る価値があると思います。
https://mb.com.ph/2021/06/02/pldt-primes-ph-as-newest-data-center-hub-in-asia/?amp

この流れにより、CATV事業者はこれまで香港やシンガポールまで取りに行っていた通信トラフィックをマニラで取ることが出来るようになります。
当然ながらCATV事業者はコスト削減になる一方、それを供給しているipsは既存売上が落ちることが考えられます。



また、今回詳細は省きますが、
・昨年から話題の米中摩擦に端を発した海底ケーブルの展開
・通信分野の外資出資比率の改正案がフィリピン下院で可決、上院を通過した場合、新たな競合が参入してくる可能性が考えられる件
・2022年5月の大統領選挙
これらはとても重要な要因となり得るので、いずれ書いてみたいと思います。

上記より、
今後数年間のトップラインは順調に上がって行くとみていますが、通信環境が整備されたその後の成長についてはクリアすべきリスクもあり(当然、社長は全てを見通している筈です)既存事業の成長イメージが掴みきれないのです。
これが、「10年後のシェア20%」のワードから引き起こされた「モヤモヤ」の理由なわけです。



④新たな「マネタイズ」は?

では、新たな成長軸となりそうな展開は考えられるのかを考えてみました。

一つはモバイル事業。
私見ですが、モバイル事業においては既にブルーオーシャンでは無いと思っています。
更に、ipsが今回取得した1.5GHz帯であり、携帯通話で最も優れているといわれる帯域「プラチナバンド帯」ではありません。既にフィリピンでは枠が埋まっており取得出来ないそうです。
(日本では楽天モバイルも1.5GHz帯を取得しているが、プラチナくれよ!と叫んでいる)
→時間ある方は読んでみてください。
「プラチナバンドがなければ競争は困難」 楽天モバイルが既存周波数の再編を訴える
https://www.itmedia.co.jp/mobile/spv/2012/24/news104.html

先ずはマニラの環状バックボーンを活用した限定エリアでのマーケットで勝負する事になると思います。
しかし、大手と勝負できる想像がつかないのが正直なところ。

モバイル展開はこれまでも何度かIRへ問い合わせするも上手く濁されてしまい、具体的な内容については不明なまま。(個人株主の殆どがここの将来の期待値は把握できていないんじゃないかな…)

・地方都市への更なる注力
可能性・期待値はあると思います。

ネタを一つ。
地方都市への企業誘致がフィリピンの大きな政策テーマとなっていることを取り上げます。
地方に経済特区を作り、ビジネスセンター化を進めて行くというもので、今まさに進めている地方の通信インフラを充足させることでBPO業界をはじめとした企業の誘致を目指して行く、というものです。
企業は、家賃のコストダウン、英語の話せる豊富な人材が「マニラより安価で確保できる」メリット、一方で国は地方経済を成長させ、国全体の経済成長を高めて行く、というメリットがそれぞれ生まれます。
通信環境の改善は国の長期経済成長ビジョンにおける最重要施策となっているのです。

長期的ですが、これまでマニラ一極集中であったビジネスの勢力図が変わる可能性が考えられます。

競争はキツいでしょうが、「キャリアズキャリア」が上手く軌道にのれば、シェア20%はさておき引き続きの成長は見込めるはずです。

個人的にもミンダナオのポテンシャルをとても高く見ています(これもそのうち書き留めたいと思います)

あとは僕個人の妄想MAXです。

・ミリ波5G展開
現時点ではマネタイズが1番難しいと言われています。取得の経緯も?な部分がありますが、10年後はおっと思わせる展開があるかもしれません。

・Iotサービスによるマネタイズ
過去、チラッと説明資料に出てきました。
FWA(無線通信)展開の延長なのでしょうか、これも実態は掴めていませんし、まだどうにも分からない内容です。

⑤さいごに

長くなりましたが、今後数年間は通信マーケットの拡大が見込まれるでしょうし、ipsにとって「キャリアズキャリア」が引き続き成長ドライバになることは間違いないと感じております。

そして、その後の通信事業の展開において、手持ちのシーズを活用しながらシェア拡大を図って行くのか、ニーズに基づく新たなマネタイズのアイデアがあるのか…10年後の社長の構想を是非とも聴いてみたくなりました。

まぁ、話してくれるかは別として、直接質問できるのは株主総会しかない、ということで、来年も何とか都合を付けて出席したいと思った次第です。


まとまりのない駄文となってしまいました。
さぞ読みにくかったであろう内容にお付き合いいただきましたこと、御礼申し上げます。

あと、先日有報が出ましたね。
僕はTwitterで知り合ったある方から、有報の重要さに気付かされ、それ以降しっかりと読み込むことを心掛けております。
また、気になることがありましたら、書き留めて行きたいと思います。


ありがとうございました。

最後に。


あなたもなかなかのipsフリークですね😂❗️

Shinn