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『武漢日記』と『武漢封城日記』。武漢における籠城生活の記録が話題になっている…

4月8日、新型コロナウイルス最初の感染者が出た武漢市で、2カ月半にわたるロックダウン(封城)がようやく解除(解城)された。2カ月間の新型コロナ感染の状況や籠城生活を綴った記録の公開と出版の賛否をめぐって話題になっているらしい。

方方さん『武漢日記』

封鎖開始の2日後の1月25日から3月24日までの60日間、毎日綴られた方方(Fang Fang:ファンファン/本名:汪芳)の日記。方方は作家で、元湖南省作家協会主席として、武漢で60年以上暮らす。彼女が微博(Weibo:ウェイボー)などのブログで武漢の様子を日々公開するや、多くの中国人の読者からの支持と反響がもたらされたらしい。

ネットでは批判と中傷で炎上したが、そのきっかけはこの日記の海外版が翻訳出版されたことにあったらしい。海外版は英語版がハーパーコリンズから、4月8日の武漢解城のその日に発売開始された。なんと日記の最終日からわずか2週間を置いての翻訳出版であり、その時点で原文の国内版は出版されていないし、いまもなお出ていないとのこと。尚、海外版は既に出版されており、Kindle版がAmazonで購入できる。

郭晶さん『武漢封城日記』

ロックダウンされた町で何が起きていたのか。ソーシャルワーカーの郭晶さん(29)は封鎖初日から「武漢封城日記」を発信し、同じマンションの住人、清掃員の夫婦…庶民の生の声を伝えてきたらしい。

「営業しているのは葬式の花の店だけ」「清掃員はマスク2枚しか支給されず、マフラーを口に巻いている」のほか、広がる家庭内暴力や病院で治療を受けられずに亡くなった人々についても記されているとのこと。

この日記は台湾にて出版されており、Kindle版がAmazonで購入できる。

ちなみに、郭晶さん『武漢封城日記』はNHKスペシャルでも放送されたので、記憶に残っている人もいるかもしれません。

査瓊芳さん『查医生援鄂日记(査医師の武漢救援日記)』

1月24日から3月末まで、上海からの医療支援部隊として現地に赴き治療に当たった上海仁済病院呼吸科主治医の査瓊芳さんの日記です。

武漢市の感染症病院であり、新しい冠状肺炎の指定病院でもある「金銀潭病院」の隔離病棟に入ったらしい。そこには30人の患者がおり、査瓊芳さんを含む6人の医師が10人の患者をみたとのこと。10人の患者のうち9人は人工呼吸器を必要としており、残りの1人は高流量の酸素吸入が必要だったとのこと。

中国国内での出版が出来ない日記

”方方さん『武漢日記』”や”郭晶さん『武漢封城日記』”は、武漢市民の防疫対策や生活保護などにおける政府や役人の不手際、最初に警告を発した医師の死といったことに対して、随所に厳しい所感が記されているらしい。

ネットでの批判と中傷で炎上したことにより、国内出版社は出版を躊躇したという記述も見られるが、そのネットでの批判と中傷が本当に民意だったのか疑わしいという意見もある。厳しい検閲で知られる同国が、政府指導部や現地の官僚への怒りの記述を許すはずがないと思うのが自然ではないかな…

たかが日記と思うかもしれないが、中国という国でこうした情報を発信し続けること自体、とても勇気が必要であることを忘れてはいけないと思う。

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