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米国最高裁の「アファーマティブ・アクション」違憲判決  新見正則

これからの大学の入学選考には
人種を考慮しません

6月29日、アメリカの最高裁判所は1960年代半ばから実施されてきたアファーマティブ・アクションを憲法違反とする判決を下しました。

そもそも、アファーマティブ・アクションって何?

アファーマティブ・アクションとは、少数人種である黒人やヒスパニック系の優遇措置のことです。

1950年代後半から60年代前半、アメリカで公民権運動が活溌になった時期、永く不当に扱われていたアフリカ系アメリカ人への差別の撤廃と、法の下の平等、市民としての自由と権利を求める社会運動が起こりました。

当時のキング牧師の活躍が有名です。ケネディ大統領が公民権法制定を準備し、暗殺後の1964年、アメリカでは公民権法が成立し、翌1965年に選挙権法が制定され、選挙権の平等などが実現しています。

公民権運動に続いて、アファーマティブ・アクションが施行されました。アファーマティブアクションは日本語では肯定的措置とか、積極的是正措置と訳されます。1961年にケネディ大統領が大統領令で始めて使用した言葉で、民族や人種や出自による差別的扱いと貧困に悩む集団の、進学や就職や職場における昇進において、特別な採用枠の設置や、試験点数の割り増しなどの優遇措置を指します。

差別が是正されれば、逆差別になります

今回の判決は、50年以上に亘って行われてきたアファーマティブ・アクションが、そろそろ過剰運用になり、必要とされた時期を超えて、逆差別を生んでいるとされたことが発端です。

ハーバード大学はアメリカの超名門校ですが、点数だけで入学者を決めると、アジア系アメリカ人が40%を超えると言われています。

そんなアジア系アメリカ人が不利益を被っているという点が、今回の被告の1つであるハーバード大学に対する訴えです。

訴えた(原告)のは、SFFA(Students for Fair Admission、公平な入学のための学生)という民間団体です。

この判決によってアジア系アメリカ人の大学入学者は今まで以上に増加し、一方でアフリカ系アメリカ人の大学生数は激減するとも言われています。

日本人も多様化してます

日本人を、日本国籍を持っている人と定義すると、ほとんどはアジア系日本人となります。アジア系日本人には、中国や韓国、北朝鮮、そして東南アジア各国の出自の人が少なからずいます。そしてアフリカ系日本人、ヒスパニック系日本人も実は相当数存在して、いわゆる白人の日本人もいます。

明治維新を超えて、150年以上が経過し、日本人も人種的に多様になってきていると思います。

将来は移民の人と一緒に日本を作るかも

僕は日本の出生率の激減から、将来は移民の人達に日本の命運を委ねる可能性が高いと思っています。いろいろな肌の色、いろいろな国を出自に持つ祖父母、両親、そして本人が日本人となり、一緒に日本国民として共生するようになると思っています。

そんな時、日本版のアファーマティブ・アクションが必要となるでしょう。また、いずれ、アファーマティブ・アクションをどうやって廃止するかも問題となるでしょう。

それ以前に男女差別、まだまだ是正が必要だよ!

人種の問題の前に解決すべきことは、日本における男女差別です。未だに公に、または非公式に差別は常態化しています。いわゆる男女雇用機会均等法は1972年に制定され、なんと50年以上が経過しました。

僕には実行性に欠ける法律に思えます。まず、女性に対するアファーマティブ・アクションが必要なのかもしれません。

そんな頭の体操を、今回のアメリカ最高裁の「アファーマティブ・アクション」違憲判決を機会に、みなさん自分自身で、そして御家族や友だちと行って下さい。



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