見出し画像

ヘルプするのも超楽しい!  新見正則

東洋医学会2023、大盛況!

いつも複数のことを並行してやっていて、いつも人に「ヘルプ!」を頼んで、空いた時間にまた新しいことを考えるのが大好きな自分です。

そんな僕が、今回はヘルプに徹して頑張りました。そして応援を頼まれた第73回日本東洋医学会は盛会の中、ほぼ終了しました。「ほぼ」と言い添えたのは、ウェブ視聴が7月まで可能なため、もう少し参加者が増えると思われ、また参加した人もウェブで再度楽しめたり、聞き逃した講演を聴くこともできるからです。

東洋医学会の専門医に微妙な距離を感じます

僕は東洋医学会には微妙な距離感を感じています。微妙というのは英語や中国語、他の外国語でも実は「相当な」という意味合いです。処方の根拠を昔に求める姿勢が直感的にも、そして論理的にも許せないのです。

最先端医療を1800年前の古典とマッチさせる

専門医試験では過去の古典に精通していることが求められます。現代の漢方は基本的に保険適用漢方エキス剤を使いこなすことが多くの専門医の目標で、保険適用エキス剤は実は148種類しかありません。148種類から選ぶのであれば、古典に精通していることが必須とは思えないのです。

古典は古いものでは、そして日本漢方のバイブルと呼ばれる傷寒論は1800年前の書物です。1800年前の古典に現在の医療の根拠を求めても、自然環境も生活水準も、疾病も異なるでしょう。そして生薬が今と1800年前が同じという根拠も、ほぼありません。僕には直感的にナンセンスに思えるのです。

漢方診療の有効性はスキンシップ?

また、専門医には漢方診療が必須という立ち位置となっていますが、漢方診療を行った群と行わない群のランダム化試験がないのであれば、処方選択のために漢方診療が必須という論理的根拠を伴いません。スキンシップのため、または西洋医学的診察に包含される形で行う分には、とてもいいと思っています。

僕にマッチする漢方を探してきました

つまり、古典と漢方診療を必須としている、そしてそれらを極めることを勉強の根幹としている東洋医学会が僕は苦手なのです。今ある漢方薬、特に保険適用漢方エキス剤が、今ある疾患にとってどう役立つかを語ればいいと思っています。そこにはクリニカルパールの集積があれば十分に思えるのです。そんな僕の立ち位置に共感してくれる医師や薬剤師達とこの12年間にたくさんの書籍を上梓してきました。

ともかく東洋医学会を応援しまくりました!

そんな東洋医学会が直感的に苦手な僕ですが、今回は心底応援しましたよ!漢方jpの編集長、中山今日子先生を通じて会頭の栗山一道先生と実行委員長の田原英一先生、そして飯塚病院の先生方とのご縁ができました。

そして彼らから本気で応援を頼まれたのです。漢方jpとして可能な限り応援をしました。栗山先生や田原先生には何度も漢方jpのライブにご登壇頂きました。

「あなたの漢方、わたしの漢方」

現在の僕たちは極端な方に振れています。古典も不要、漢方診察も不要で、簡単に西洋医が漢方を処方できるし、した方がいいし、そしてそれで患者さんの多くはよくなると言っています。

伝統を重んじることに主眼を置いた彼らがそんな僕達に「助けて!」と声を掛けてきました。僕はそんな彼らを尊敬します。そして、今総会のキャッチフレーズは「あなたの漢方、わたしの漢方」でした。彼らの度量が広いということですね。

そして、6月16日学会初日の夜には漢方jpのライブをみんなで食事をしながら配信しました。いろいろな立ち位置の医師や薬剤師が語り合う夜は最高の晩餐でしたよ。飯塚病院の先生方ともたくさん語りました。彼らは人間的にも本当に素晴らしいですね。

読者の先生との出会いもハッピー!

学会場では漢方jpと新興医学出版社のコラボレーションブースを出しました。書籍を展示して、そしてそこでもライブ配信を行いました。書籍を見に来てくれた先生方から「先生の書籍で人生が変わりました」と言われました。そんな先生は10人近くいました。そして感謝の気持ちを精一杯語ってくれました。

僕は3日間ずっとこのブースにいましたが、本当に素晴らしい体験をさせて頂きました。そしていままでたくさんの書籍を上梓して本当に良かったと思ったのです。

多くの人に助けられている僕の人生ですが、今回はちょっとヘルプ側に回りました。それも本当に愉しかったです。


いいなと思ったら応援しよう!