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コスパ至上主義  新見正則

愛犬との暮らしは最高だけど結構面倒だよ

わが家には愛犬が一匹います。
13歳のビション・フリーゼです。
7kgの中型犬です。中型犬の人間年齢換算は、2歳で24歳、その後は毎年4歳を加えるそうです。つまり24+4x11=68歳となります。
僕の年齢を超えました。愛犬の名前は「こゆき」ちゃんです。僕より先にあの世に逝くかと思うと、最近は本当に愛おしいですね。あと何年一緒にいられるかと思うと、1日1日がとっても大切に思えてきます。

犬中心の生活、やっぱり最高だよ!

一人娘が巣立って2年が経ち、わが家は夫婦と愛犬一匹の生活です。
ちょっと(相当)面倒です。ペットホテルに預けることも可哀想です。ですから、娘が巣立ったからと家内とふたりで温泉にでも一泊という訳にはいきません。海外旅行はもちろん、国内旅行にも行けません。相当不自由です。ただ、それが楽しいのかなと思っています。

子育てとコスパ、人生とコスパ

最近は、結婚は面倒で、子育てはもっと面倒という意見も耳にします。結婚や子育てにはある程度のお金が必要です。悠々自適に暮らすには、結婚とか子育てとかとは無縁な生活はある意味魅力的です。

ただ、面倒なことが実は楽しいのではないかなと最近は思っています。合理主義だけでは理解できないことですが、愛犬との生活は本当に面倒なときがあります。でもそれを愉しむことが僕には人生に思えます。

コスパが追究される社会ですが、コスパが悪いことが実は大切と思えるのです。自分の人生を顧みると、外科医で始まった社会人人生ですが、10年してなんでもできる外科医になった頃に、オックスフォード大学で免疫学の勉強を始めました。そして帰国して、今度は移植免疫学の研究室を持ちながら漢方薬の勉強にハマりました。コスパの悪いことの連続です。

勉強のコスパは上げたい

漢方薬は25年勉強をしていることになります。西洋医が、漢方診療をせず、漢方理論を使わず、古典の読破も不要で、簡単に処方できる方法をモダン・カンポウと称して、そしてたくさんのフローチャート漢方薬シリーズを出版してきました。

僕は凝り性なので、とことん漢方診療や漢方理論を勉強し、相当に古典を読み込んで辿り着いた結論です。それは「漢方の未来のために過去は不要」ということです。面倒なことを省いても、勉強した人とほぼ同じ結果を出せる作戦です。コスパは最高によいと思います。

未来のために挑戦したい

そんなコスパのよい方法を提唱している僕ですが、この25年間に勉強した漢方の面倒なことは結構役に立っています。本気で勉強するとわかっていないことが理解できるようになります。

モダン・カンポウを体現したフローチャート漢方薬シリーズで、西洋医学的治療では困っている患者さんを相当治すことができます。しかし、真実には実は辿り着けないのです。最近は専門医とは今を起点に過去を勉強している人と思っています。専門医試験には過去しか出ません。一方で専門家は、過去は十分に知った上で、過去の疑問を知り、未来を語れる人に思えます。

漢方の過去(古典や漢方理論といった昔の知恵)を勉強しても、つまり漢方の専門医となっても、がんと梅毒と脚気は漢方薬では治せません。今までの治せない領域を治せる人、それに挑戦する人が専門家と思います。

面倒なことを遠回りして勉強し、大切なことがわかりました。


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