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学歴とプライド  新見正則

学歴詐称?

小池百合子東京都知事の学歴詐称疑惑が話題ですね。カイロ大学を首席で卒業したとご本人の昔の著書に記載があるそうです。そして、カイロ大学卒業という文言は前回の東京都知事選でも使用されています。

小池百合子東京都知事の元側近の方が、その詐称問題を語っています。また先日、外国特派員協会で行われた彼の記者会見もYouTubeで見ることができます。

古き良き、なんでもありの時代

 小池百合子さんのHPを見ると、昭和51年(1976年)10月、カイロ大学文学部社会学科卒業とあります。

僕が大学に入学したのは1979年で、その後、世界を知りたく、一人でリュックを背負って旅程もない旅を愉しんでいました。カイロも訪れました。入国審査は長蛇の列で、途方に暮れていると、ちょっと怪しい人が寄ってきて、入国審査の人にお金(賄賂)を渡すと、すぐに通してくれると英語で話しかけてきました。わずかばかりのお金をその紹介者と入国審査の人に払うと、あっと言う間に入国できました。そんな時代です。

あくまで僕の邪推ですが、当時なら卒業証書もお金で買えたのではと思っています。

大事なことは卒業証書ではなく、勉強した内容 

「カイロ大学文学部社会学科卒業」が卒業証書を持っているのか、または本当にカイロ大学で学んで、そしてその結果として卒業証書をもらったかは、本人の当時の学業について語ればすぐにわかると思います。それもご本人は首席で卒業と記載しています。

勉強したアラビア語があれば

もしも、卒業証書を僕がエジプト入国時に行ったように賄賂で買ったのなら、素直にそう言えば済むように思えます。微妙な嘘(もしかしたら本当)を嘘で隠そうとすると、余計な詮索を世の中はします。堂々と、そして公の場でお話されてはどうでしょうか? アラビア語の名門大学を首席で卒業したのですから、アラビア語の堪能さでも嘘か本当かはわかると思います。
 
学歴を自分のブランドの1つとしたい人にとっては、学歴詐称は自分のアイデンティティの喪失になります。しかし、本当にそこで勉強したのなら、勉強したことが大切なのであって、卒業証証は添え物に過ぎません。 

オックスフォードでの学位がくれたもの

僕は1993年から1998年まで、オックスフォード大学博士課程で学びました。ゼロから免疫学を英語で勉強して、たくさんの発表を行い、たくさんの論文を書いて、その総決算として業績を書籍にまとめます。

僕も300ページに及ぶ学位書籍を作りました。幅が7cmぐらいあります。そして、その内容や派生する知識を全て口頭試問で聞かれるのです。オックスフォード大学内から1人、学外からの審査員が1人、双方が合格と認めるまで数時間にわたる口頭試問が続きます。

そして、合格すると、同僚がシャンパン(実はスパークリングワイン)でお祝いをしてくれました。その学位書籍の1冊はオックスフォード大学のボドリアン図書館に永久保管されるのです。
 
僕はオックスフォード大学博士課程の5年間で「ものの考え方」を学びました。いまでもその5年間が役に立っています。自分の人生の基盤です。

ですから、僕にとってオックスフォードの学位記はなくても実は問題ありません。そしてオックスフォード大学博士課程を卒業して頂ける学位は「Doctor of Philosophy」です。D.Philと略記されますが、訳すと哲学博士です。

勉強は自分の成長のために 

小池百合子さんも、もしも当時の事実を公の場で、淡々と事実を語り、質疑応答にも対応すれば、まったく問題ないことと思っています。勉強は卒業証書や学位記のためではなく、自分の成長のために行うものですから。


 


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