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雨がフリフリ。  新見正則


子どもの頃は、雨は大嫌いでしたね。外で遊べないからです。塾に行くこともなく、学校が終わると、友達と外で日が暮れるまで遊んでいました。雨が降れば、そんな楽しみが奪われるので、雨は楽しいものではありませんでした。

お天気なんてどうでもよいでしょ

大人になって忙しくなると、雨とか晴れはあまり問題ではありませんでした。30年以上前ですが栃木の病院に勤務した1年間、ゴルフにハマっていました。休日に院長先生とゴルフに行けばゴルフができるうえに回診が免除になります。当然、僕は雨が降らないことを祈っていました。その後、ゴルフをすることもなくなって、日頃の仕事に忙殺され、雨でも晴れでもどうでもよくなりました。

イギリスはいつも雨だよ

オックスフォードで大学院生として過ごした5年間は曇りか雨の印象が多いのです。イギリスは短い夏を除いて、ほぼ全て冬と言ったイメージで、しとしと降りの雨が多かったと記憶しています。雨が降るとパブの外の席で食事ができないので、ちょっと残念な思いをしました。

雰囲気は好き

雨の日は、窓越しに雨粒を見ることが大好きです。しとしと降る雨も、土砂降りの雨も、キリのような雨も、風を伴う雨も、それぞれ情緒がありますね。雨の降り始めも好きですよ。そんなちょっとした変化を楽しんでいます。

なんとなく読書の気分

雨が降ると、妙に読書をしたくなります。最近はネットの時代ですが、リアルの本での読書は格別です。電子書籍はなんとなく雨の日の読書には向かないのです。でも、すぐに手に入るので手元に読みたい本がないときには電子書籍は便利ですね。すぐにダウンロードできます。

ビジネス書はネットで要約を読んで、気に入れば電子書籍でざっと一読して終わり。そんな本は雨の日には向きません。小説のように一行一行に味があって、ゆっくり一字一字を味わいながらの読書が雨の日っぽいよね。

日本から離れると日本が好きになる

オックスフォードにいた当時、僕は愛国主義者でした。大学内では人種差別を強く感じたことはほぼありませんでしたが、街に出るといろいろとアジア人としての差別がありました。日本を遠く離れ異国の地にいると不思議と愛国心が芽生えるのです。僕が留学したのは1993年から1998年です。グーグルの創業が1998年ですから、インターネットの夜明け前といった時代でした。日本の情報からはまったく遮断され、月に1度、日本食の買い出しに約100km離れているロンドンまで車で行き、その帰りに2,000円以上するラーメンをピカデリーサーカスの裏のお店で食べるのがお決まりコースでした。お店に積まれている日本の新聞を読みまくるのもお決まりです。

坂の上の雲に感動

そんな日本から隔離された世界にいると本当に愛国心に芽生えます。気に入った本は司馬遼太郎の「坂の上の雲」です。何度も読みました。「まことに小さな国が開化期を迎えようとしている」で始まる日露戦争に向かう日本の姿を描いた本です。その内容に感動していました。今でも、坂の上の雲は愛読書です。

帰国した途端に大切なものが変わった

ところが、帰国してなんだか日本にドップリ浸かると、あれほど高揚していた愛国心は萎えました。そんな時に好きになった本が藤沢周平の著作です。どれも不合理で理不尽な世の中を精一杯生きる庶民の姿が描かれています。国ではなく家族を大切にする思いに心揺さぶられるようになりました。

蝉しぐれ、好きです

林修先生との対談で取り上げた書籍も藤沢周平の「蝉しぐれ」でした。その番組を見た藤沢周平さんの娘さんから、藤沢周平著文春文庫「人間の檻 獄医立花登手控え(四)」の解説を頼まれました。縁と運と勢いを大切に生きている僕らしいチャンスでした。

雨の日は好きな本を集めて読む

雨の日は、雨粒を眺めながら、イギリス時代の愛国者だった頃を思い出し「坂の上の雲」を読むこともあります。最近はNHKのドラマ「坂の上の雲」を見たりもします。でも雨の日にふさわしいのはやはり藤沢周平の物語です。

一方で、自分が書いたモダン・カンポウシリーズやフローチャートシリーズを読みなおすこともあります。自分の書籍を読み直すのも雨の日には良いチャンスです。

雨は雨で結構楽しんでいますよ。

雨の日は古典を読もう、なんてね

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