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もっと磨かれると言うこと

宝石のカット(研磨)には、
ファセットカットと
カボションカットがあります。

写真の指輪は、
ドームのように丸く磨かれた、
カボションカットのサファイアです。

その上に置かれたサファイアは
ファセットカットで、
いくつもの小さな面(ファセット)が
幾何学的に組み合わされてます。

おそらく、
皆さんの宝石のイメージは、
このファセットカットではないでしょうか。

ダイヤモンドで、
有名なブリリアントカットも
このファセットカットに含まれます。

ダイヤモンドのように
無色透明な宝石の場合、
58面体のブリリアントカットは
最大限の輝きを発揮するのですが、

ブルーサファイアのような
色石は、

色が集中している帯や
インクルージョンの位置関係、
重量(カラット)をなるべく重く保つ為に

クラウン(宝石を側面から見て上の部分)は
ブリリアントカットをしても
パビリオン(下の部分)は
多く保つようにカットされます。

どれだけ輝くことが出来るかは、
その宝石自身の素材にもよりますが、

光を上手に反射、屈性させるような
「カット力」が必要になります。

まずは、
中学理科のおさらい

光は、
遮るものがない状態ではまっすぐに進みます。

ところが、性質の異なる物質の境界に、
光が斜めに差し込むと、
折れ曲がります。
これを「屈折」と言います。

つまり
空気を通過した光が
宝石を通過する時に屈折して、
宝石内部に入ります。

その屈折の度合いは、
屈折率(数字)で表します。

その屈折率は宝石の種類で違います。

例えば、
ダイヤモンドは2.417-2.419
コランダム(サファイア)は1.762 -1.778
トルマリンは1.614-1.666

宝石鑑別では、
この屈折率を屈折計で測ります。

また光は、
はね返るという性質があります。
これが「反射」です。

宝石の表面で跳ね返った光は輝きになります。

その為、
表面はしっかりと
磨かれていなければなりません。

反射は、
表面だけでなく、
屈折した光も宝石内部で反射します。

この場合、
パビリオンに計算された深さが無い場合、
もしくは深すぎる場合、
きちんとクラウン方向へ反射できずに
輝きを逃してしまいます。

研磨(カット)は本当に大切ですね。

スリランカのサファイアは、
重量を多く保ちたい為
(重量が儲けになるので)、
左右対称(シンメトリー)で無いことがあります。

そういうサファイアと出会った時は、
シンメトリーを直したり、

パビリオンの部分を
もう少し整えたり、

クラウンの表面(テーブル)を
バランスよくする為に再研磨します。

そうすると、
重量は減ってしまいますが、

確実に
サファイアの「笑顔」は増します。

😊

写真の指輪のサファイアは
約8カラットの大きさで、
鉱山主(友人のお父様)から頂いたものです。

インクルージョンがあるので、
ファセットカットにすると、
それが目立ってしまいますが、
カボションカットで指輪にすると
とても綺麗な青を楽しませてくれます。

その上、
私はインクルージョンが大好きなので、
時々顕微鏡で覗いて楽しみます。

しかし、
本当に太っ腹な贈り物😂

あの頃(2011年)は、
がむしゃらに頑張った……( ̄∇ ̄)……

自分が一生懸命な時って、(←たぶん😅)
エールを送ってくれる人が必ず現れるんですね。

この指輪は、
そのことをきっちり記憶してくれています。

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