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MOROHAを訪ねて沖縄へ向かった男の末路・後編

【第3章 MOROHA、宮地さんと合流】

飛行機に乗って、およそ3時間30分。那覇空港に到着した頃は、22時40分を回っており外は真っ暗でした。宮地さんに「今、到着しました」とラインを送ると、美栄橋駅にあるステーキ屋のURLと「みんなもいるよ」という返信がありました。

僕は急いでゆいレール(沖縄のモノレール)に乗り込み、指定されたステーキ屋へ向かいました。宮地さんももちろんですが、アフロさんとUKさんには第一声はなんと言おうか、そんなことを考えながらハラハラしていました。お店を見つけて、いざ入店。店内を見渡して、奥の席にアフロさんの姿を見つけたので勇気を出して足を踏み入れました。「す、すいません!遅くなりました」。

「招かれざる客が来た」。
それ以外に、あの空気をどう表現すれば良いか分かりません。皆さん怒っているとか怒ってないとかそういう感じではなく、もはや「無」の表情を浮かべておられました。おでこから汗が止まりません。

明るく事情を話しているつもりでしたが、僕もなんとも言えない表情をしていました。

……とはいえ、皆さん優しいので今回の大失態を笑いのネタにしてくれて「今日のことを書きなさい」と言ってくださいました。UKさんが「ご飯食べた? 何か食べる?」と優しく気を遣ってくれると、宮地さんが「この後、僕がソーキそばをご馳走するんで大丈夫です」とこれまた優しい言葉を返すやり取りがありました。その後、お店を出てMOROHAチームが泊まっているホテルへ移動して、G-shelterの皆さん、アフロさん、マネージャーさんとお別れをしました。ちなみに、この日は10月31日のハロウィン本番。宮地さんとUKさんが毎年恒例にされている「仮装をしている人との写真撮影」をするため、夜の街に繰り出すというので僕も同行させてもらいました。

【第4章 コスプレをしている人を散策】

最初は雑居ビルの中にある、隠れ家的なクラブへ行きました。薄暗い店内はカウンターに数名の外国人と、窓際で踊っている男女が2組いました。壁には大きなモニターが配置されておりクラブミュージックがガンガンかかっています。僕らはそれぞれ1杯ずつお酒を頼み様子を見ていましたが、あまりお客さんが来なかったので移動することに。2軒目はタクシーに乗り、沖縄で一番大きいと言われているクラブへ行きました。入り口を出入りしている人のほとんどが、本気のコスプレをしています。これは期待ができる。

中へ入ると、先ほどとは打って変わりフロアは大賑わい。体脂肪率高めのスパイダーマン、胸元がセクシーなナース、人の良さそうなジョーカー、体半分がゾンビ化している着物女性など色んな人が踊っています。途中で宮地さん、UKさんは店内で写真撮影をするため別行動をすることになりました。この時、深夜2時であと7時間後には飛行機の中です。当初の目的とは変わってますが、とにかく沖縄を満喫するため僕はテキーラトニックを飲んでは踊り、テキーラトニックを飲んでは踊りを繰り返しました。しばらくして、DJが「今日はハロウィンということで、いっぱいプレゼントを用意してまぁ〜す!」とDJKOOさん風に言い出しました。すると、お立ち台にどんどん集まる女性たち。飲食店のサービス券、ドリンクの詰め合わせ、何かのペアチケットなどなど、色んなプレゼントをお客さんに渡していくDJ。しまいには「現金をばら撒きまぁ〜す!」とお札を投げ始めたのです。それが1枚2枚どころじゃなく、数十枚のお札をどんどんばら撒いています。今回の遠征で7万円も散財してしまった僕も、コバエのようにお札のシャワーへ群がりました。
見事、お札を拾って喜ぶ僕を宮地さんが撮ってくれました。それがコレです。

……野郎にやられました。お札には違いないのですが、これはドル札です。5枚拾っても500円ほどにしかなりません。すでに2時30分になっていたので、UKさん宮地さんとお店を出ました。

【第5章 ラッパー・MAVELさんと出会う】

お店を出た後、UKさんが「沖縄は楽しめた? 他に行きたいところはある?」と優しく気遣ってくださいました。普通に考えたら「ありがとうございます! 十分楽しませていただきました」というべきなのですが、アルコールが回っていたこともあり「もうちょっとだけ、飲ませていただいても良いですか」と図々しい態度を取ってしまいました。もはや、先ほどのステーキ屋さんでタジタジだった僕は、そこにはいません。仕事を終えた2人はお疲れにも関わらず、「良いよ、付き合うよ」と言ってくださいました。その後、お店を移動して1時間ほどお酒を付き合っていただき、UKさんとお別れしました。

深夜3時30分。宮地さんの知り合いで、沖縄のラップクルー・604のリーダーMAVELさんが近くのクラブにいるということで「折角だから、顔だけ出そうか」と移動しました。そこは1軒目に行ったクラブより、もう少しこじんまりしてて、集まっている人もガチHIPHOP好きな人ばかり。「お疲れ様です!」と宮地さんが声をかけると、「宮地さーん! 来てくれたんですかぁ! めっちゃ嬉しいっす!」と喜ぶ男性。その方こそMAVELさんでした(ちなみに、先日UMB沖縄予選優勝を果たした)。景気付けにみんなでテキーラのショットを飲みました。

店内で話していると、DJ卓へ近づき突然マイクジャックをしたMAVELさん。次第に604メンバーを始め、他のお客さんもマイクを握りサイファーが始まりました。「盛り上がろうぜ、イエー」というノリではなく、現代社会において自分たちはどう向かっていくのかをビートに乗せて歌う。あの時の光景は、賑やかしの遊びというよりもライブを観ているような緊張感がありました。

【第6章 絶品のソーキそばを……】

時刻は4時30分。MAVELさんに別れを告げて、僕と宮地さんはクラブを後にしました。MOROHAがライブを行っていたG-shelter前を通ると、宮地さんが写真を撮ってくれました。「本当はここでライブを観るはずだった」という、やるせない顔をしてます。

「約束通り、沖縄で一番オススメのソーキそばを食べさせてあげるよ」と宮地さんが連れて行ってくれたのが『なかむら屋』という屋台で、のれんをくぐると、お婆ちゃんが1人で働いてました。僕と宮地さんは800円の「ソーキそば」を注文しました。

綺麗な琥珀色のスープ、ステーキくらい大きなラフテー、食欲をそそるたっぷりかかった青ネギ、そして見るからにコシのある麺。スープに顔を近づけただけで、しっかりとダシの効いた香りがしました。まずはスープを飲みます。(う、うまい!)。そして麺を啜ります。(ちょうど良い歯ごたえ!)。最後にラフテーを食らいます。(分厚いのにホロホロ!)。要するにめっちゃ美味しいのです、が、すでに酔っている僕は数口食べただけで気持ち悪くなってしまいました。先に食べ終わった宮地さんは、外のベンチに腰掛けています。(せっかく宮地さんがご馳走してくださったのに、残すのはマズイぞ)。そう思いつつも、手を止めてソーキそばをジッと眺める。しかも宮地さんの視線を感じます。

(これ以上食べたら、全部出してしまいそうだ……俺、どうする!? というか、何食わぬ顔で完食した風にしれっと器を返そうか……)。そして僕は、宮地さんがよそ見をした隙に器をお婆ちゃんに渡そうとした、その瞬間! 宮地さんがこちらに近づいてきて、僕の器を覗き込みました。「おい、残してんじゃねえか!」。

5時10分、現行犯逮捕。これは言い逃れができません。その後、ホテルに帰るまで僕は「味は本当に美味しいんです! ですが、ですが!」。虚しい言い訳は部屋に入るまで続きました。

7時30分。宮地さんは、この日も沖縄で仕事があったので僕は起こさないようにそっと部屋を出ました。(宮地さんのご配慮で、タダで部屋に泊めさせてもらいました)。

数時間前に乗ったゆいレールに再び乗車して、那覇空港へ向かう。定刻通り飛行機に間に合ったのは良いものの、バチバチにアルコールが残っているため具合はだいぶ悪い。客室乗務員が緊急時の説明をしているのをよそに、僕は俯きながら額から冷や汗をかいていました。しかも運の悪いことに真後ろの席は子供が乗っていて、背もたれをこれでもかと刺激してきます。蹴り的なものを食らうたびに「ウップ」という声を出す僕。ドンドン、「ウップ」。ドンドン、「ウップ」。子供は僕が遊んでくれていると思ったのか、攻撃を止めてくれません。むしろ、どんどんアグレッシブに攻めてきます。その攻防はしばらく続きました。

MOROHAを訪ねて沖縄へ向かった男の末路は、ライブを観ることができず、先輩にふてぶてしい態度をとり、吐き気とともに幕を閉じました———。

11月8日のZepp DiverCityまで、残り1日。今回こそはしっかりと見届けます!

【↓最後は勝手に宣伝↓】

『MOROHA lV RELEASE TOUR 「単独」』
各プレイガイドにて発売中 ¥3,500(税込・ドリンク代別・未就学児入場不可)

2019/11/8(金) Zepp DiverCity TOKYO
開演:19:30~ (開場 18:30~)
https://eplus.jp/sf/word/0000044310

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