見出し画像

【日記】社会人1年目の読書の傾向

社会人になって1年間めの前半は、資格試験のテキストとビジネス書を読むことが多かった。少し落ち着いて、後半は大学時代に講義を受けていた哲学と経済学の専門書をときどき心に余裕がある連休に読み返すようになった。最近は、大学受験に使った日本史と世界史のテキストを読み返している。日本史と世界史の流れを、ざっくり抑えておくだけで骨太な専門書の歴史の流れが噛み砕いて理解できて、書籍への理解度がぐんと上がる。

元外務省情報分析官の佐藤優が述べるように、歴史科目は暗記要素が多いから、読むだけだと詰め込むだけでアウトプットがない。脳みその流れが滞る感じがする。数学の問題を解くことで、つかえていたものが解けていく感覚がある。

仕事で使う範囲で統計検定を2級くらいまで進めたい(願望)。

***

ところで、元電通の山口周が下記のように述べていた。
仕事のうち、
・読書で身につくことは10%
・仕事そのものから学べることが60%
・周りの人間から学べることが30%
学校エリートが陥りやすい失敗は社会人になってもテキスト(読書)からの学びを重視してしまい、成長速度が鈍化してしまうこと。

大学4年生の時はふんわりとしか意味を理解できていなかった。
大学までの勉強はテキストからの学びが主だから。

だが、アルバイトを想像すると分かりやすい。
例えばアルバイトでは、レジの打ち方のマニュアルを穴が開くほど読んでいても、実際にレジを打ったことがなければ成長速度は非常に遅い(テキスト10%)。

ある程度の前提知識を身につけたら、さっさとレジを打ちながら覚えたほうが早い(仕事60%)。
さらに、同僚が隣で効率的な商品のスキャンの仕方やレジ打ちをしていたら、同僚からコツを聞きながら教えてもらうとさらに成長速度は加速する(周りから学べること30%)。

そう考えてみれば、山口の紹介した仕事で成長に関わる比率も納得できた。
実際に仕事をし始めて、その予想は確信に変わった。

***

特に、アルバイトと違い、ある程度以上の規模の会社で正社員になると、振られる仕事の質が良くなる。
言葉を選ばずに言えば、より上流工程を担当できるようになる。

例えば、飲食店なら社員がマップや昼間人口の動態をもとに出店戦略を決め、市場の流行を読んで仮説をもとに新商品のプランを作成する。
アルバイトは、そこまで決まった後に店舗に配送されてきたハンバーガーを売り、レジを打ち、会計をする。

仕事をしていて見れる視野が広がるのだ。
さながら、RPGでプレイヤーを上から俯瞰する神の視点を手に入れる。
しかも昇進するほどに、見れる範囲は一店舗だけから→5店舗をまとめたエリア全体→東アジア出店戦略全体のように拡大していく。
上がれば上がるほど、裁量も増え仕事は自分の仮説をもとにアルバイトや下の社員が手足のように動く。それなのに給与が増える。

こんなに楽しくて楽にお金をもらっていいのだろうか、笑いが止まらないと、ある会社役員の1人は密室でインターンをしていた僕にささやいた事がある。

**

しかし、ここには気をつけなくてはならない問題がある。
それは一括りに「正社員」といっても、その権限の範囲は会社規模や、昇進の具合によって大きく変わる事だ。

例えば、プログラムを例に取ろう。
政府がマイナンバーカードのシステムを作るとして、最大手のSIerに発注する。
彼らは全体構造の企画を立てて、1次受けに発注。それを工程ごとに分割して2次受けに…、といった具合に下流工程になればなるほど仕事は細分化して裁量権はみるみる減っていく。

社内でもそうだ。
同期入社しても、出身大学や仕事の評価で1年経つ頃には振られる仕事の大きさが天と地ほどの開きが生まれる。

山口は「意外と見落とされがちだが、仕事では良質な経験をできる仕事と、そうでない仕事が存在する」と述べる。

良質な仕事、すなわち付加価値が高く、経験としても大きく学びとして資することがある仕事を次々と成功させて、さらに大きな良質な仕事にアサインされる流れに組み込まれた人は強い。

一方で(職業に貴賎はないが)僕もアルバイトでやったことがあるが、警備員のような仕事は冬の寒い中で外に8時間立っているだけのものがある。
これを「良質な経験」というのは難しいだろう。

このように、同じ大学をでてもかたや世界に販売されている製品のマーケティング戦略の立案方法について、社外秘の情報を湯水のように浴びながら学ぶ。研修では自費で受けたら100万以上する大学のマーケティング講座などを会社のお金で受講できることもざらだ。

一方で、1日8時間外に立っている仕事をする人もいる。
両者が5年間働いた後の、知識やスキルはもはや宇宙拡張の如く、埋めがたい差が開いているのは言うまでもない。

***

だからこそ、山口は「この世には"良質な経験を積める仕事"とそうでない仕事がある。」と述べたのだろう。
そして、20代のうちに前者を積み重ね続けて、ある高さまで至ることの重要性を説いている。

仕事をして一年、本を読んで知識としては知っていたその情報を、実体験として確信に変わった。

いま、僕は良質な仕事の経験を積めているのだろうか。
期待に応え続けて、いまの経験を呼び水に、さらに大きな良質な仕事を手繰り寄せ続けることができるのだろうか。
そうしたい。

***

ここまで読んでくれてありがとう。 
貴方にとって仕事とは何ですか?
全ての仕事をする人に、幸あれ。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?