武蔵新城で生まれ育ったオーナーが営む、駅前にオープンしたおしゃれカフェーーー「TALUTO DOT COFFEE」篠宮良平さん
「TALUTO DOT COFFEE」は、武蔵新城駅の北口から出て左、西友の横のビル2階にあります。クラウドファンディングを経て、2021年8月にグランドオープンをしました。気になってた!という方も、そんなところにカフェがあるなんて知らなかった、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
オープン直後はよく行列ができており、夕方には名物のタルトも売り切れという人気っぷり。今回は、オーナーの篠宮さんに、武蔵新城でカフェをオープンした理由や、お店の空間やメニューへのこだわりをお伺いしました。
予想外だった、行列ができている理由
ーーー武蔵新城の駅前にカフェがオープンしてよく行列ができているって、私の周りでよく話題に上がってて、ずっと気になってたんです。どのような方がいらっしゃってるんでしょうか?
全然意識してなかったんですけど、窓際の白いテーブルや白をベースにした内装が、“韓国風カフェ” らしくて。それで韓国好きなインスタグラマーの方がインスタグラムに上げてくれて、あっという間に広まったみたいです。それで、グランドオープンしてすぐの頃は、インスタグラムで知った方々だけで満席になってました。感覚的にですけど、このあたりに住んでない方、なかでも学生の方が多くて、中にはスーツケース持ってくる方もいらっしゃいます。
いまは地元の方も少しずつ増えてきていて、うれしいですね。年配の方がお茶会の場所として使ってくれていたりとか。もともと地元の方にもたくさん来てほしいなと思ってお店をつくっていたので、オープンしてすぐのときに来た地元の方が「なんだこの店は。何で混んでるんだ」って、離れてしまったかなと不安でした(笑)
2階なのでベビーカーを持っている方は入りにくいかなと「僕に声かけてもらえれば、ベビーカーを上げますよ」と言うようにしていたら、そのような子ども連れの方も増えてきています。
きっかけは大学時代のアルバイト経験
ーーーメーカーで働いてからカフェの専門学校に通われてますよね。どのような経緯があったのでしょうか?
大学生のときから自分でお店をやりたいって思ってたんです。大学生のときにイタリアンのお店でアルバイトをしていて、そこで得られた経験が就職活動のときにすごく活きたので、自分も学生の子たちがそういう経験をつめるお店をつくりたいなと。お店のなかでもカフェにしたのは、単純に僕がカフェが好きだからっていうのが一番の理由ですね。
お店を開くためのお金を貯めるために、一回社会人として働きました。せっかくならお店の空間や内装に関係がある会社で働きたいなと、照明器具のメーカーに入社しました。4年働いて辞めたあとにカフェの専門学校に通って、そこで知り合った大貫さんと2人でお店を出すことにしました。
ーーー就活では、どういう経験が活きたんですか?
プロ意識を持って働いていたことですね。僕はホールだったんですけど、ホールスタッフだったらイタリアンのプロ、ワインのプロである必要があると言われていました。オーナーには、振る舞いとかお客さんに対する言葉遣い、置き方ひとつとか、細かいところも指導してもらいました。基礎的なところから精神的にも鍛えてもらったなと思います。
ーーーそこまで続けられたのがすごいですね…!
そうなんです、就活のときも「そんなに厳しいのになんで辞めなかったの?」って聞かれて、「いや僕ちょっとよくわからないんですよね」みたいなことを言うと、うけていました(笑)今では、お客さんから「ここでやっていければ何でもどこでもやっていけるよ」って言われていて、ここで学べることが大きいと思ったからかなと思います。
人気だけど、実はつくるのが大変なタルト
ーーーお店の空間づくりはどのように工夫されているんですか?
照明は全体的に白っぽく、席の上はオレンジっぽくすることで、落ち着いた空間にしています。全体としては、今はコロナもあるので入ったときの開放感を大切にしました。机は木目調をベースにすることで、全体的に開放感もありつつ席に着いたら落ち着けるようこだわりましたね。
あとは、武蔵新城には様々な方が住まれているので、幅広いシチュエーションで来てもらえるように、4人席やひとり席、カウンターなど色々な形式で設けています。
ーーーメインをタルトにしたのはどのような理由があるのでしょうか。
僕は朝起きるのが遅くて、15時とか16時くらいにカフェに行くんですけど、だいたいタルトだけなくなってるんです。それでタルトって人気なのかなと思ったのと、自分がタルトが好きだった、この2点ですね。タルトが人気の理由は、たぶんケーキほど重たくないし、サクッと食べるにはちょうどいいからなのかなと思っています。
ただ、タルトってつくるのが大変で。生地をこねたあと、1日置いて、中に色々なものを詰めて、そこからまた1日おいて提供しているので、トータル2日間かかるんです。2日前から仕込み始めないといけないので、数の予測が難しくて。天気予報を見ながら個数を決めるんですけど、2日前の予報って結構変わるんですよね。それで、オープンしたばかりの頃は、夕方には売り切れてしまって。今は色々調整を重ねてきたので、夜でも残っている日が多いと思います。
ーーーコーヒーはどのようにこだわられているんですか?
ブレンドはうちのオリジナルで、タルトとの組み合わせを考えて、友人が焙煎してくれています。タルトってそこまで甘くないしフルーツを使うものが多いので、比較的あっさりとしたフルーティーなコーヒーに仕上げています。
ーーー他にもスコーンや雨の日はプリンを出していますよね。
そうですね、うちみたいな個人店って地元の方に多く来てもらうことが大切だなと思っているので、タルトが好きじゃない方でも楽しんでもらいたいなと、タルト以外もいくつかメニューを用意しています。プリンはオープンしたばかりのときに出してて、プリンからガトーショコラに変えたんですけど、「あのプリンはもうないのか」っていうお話をけっこういただいたので。雨の日はお客さんが少ないので、お店に来る理由になってくれたらいいなと思って出すようになりました。
お店をやるなら、生まれ育った武蔵新城で
ーーーなぜお店を出す場所として武蔵新城を選んだのでしょうか?
僕は生まれも育ちも武蔵新城なんです。社会人の4年間以外はずっと武蔵新城に住んでて。なので、シンプルに新城が好きだから、ですね(笑)なんで好きなのかわからないんですけど…やっぱり愛着があるのかなと。
ーーーずっと住んでいて、どのようなまちだなと思いますか?
オープン前に開業資金を集めるためのクラウドファンディングをしたときに、この下にそのチラシを貼ってたんですけど、自分たちの友だち以外だと新城の方が多く支援してくださったんです。そういうところでも、なんか人のつながりを感じられるまちだなぁと思っています。
あと、老若男女、色々な方が住んでますよね。僕の小さい頃はお年寄りの方が多いという印象があったんですけど、北口の方に大きな集合住宅ができてから変わったなと思っています。新しいお店もどんどんできていて、これからも変化していくのが楽しみですね。
編集後記
ずっと気になっていた「なぜオープンしてすぐに行列ができていたのか」ということを取材でも真っ先に聞き、インスタグラムの力ってスゴイ!と驚きました(笑)
タルトとコーヒーがおいしいのはもちろんなのですが、個人的には1人でも2人でも複数人でも入りやすく居心地が良いのが素敵だなと思いました。撮影でお昼にお伺いしたときも取材で夜にお伺いしたときも、入り口近くのベンチの席にはお一人でいらっしゃった方が多く座っていました。私も一人で行ったときに奥のカウンターテーブルに座っていたのですが、周りに複数人のグループがいてもあまり気にならず、落ち着いて過ごすことができました。
今は夕方までタルトが残っていることが多そうですが、夕方頃に行く際はインスタグラムで売り切れてないかチェックしてから行くのがおすすめです!
文・撮影:とやまゆか
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?