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「行動経済学が最強の学問である」を読んでみた


表紙

相良奈美香著「行動経済学が最強の学問である」https://www.amazon.co.jp/dp/4815619506

久々に行動経済学の本を読んでみた(15年ほど昔、友野典男さんの『行動経済学~経済は「感情」で動いている~』を読んで以来)。とっちらかった議論を体系的にまとめていてなかなか良い。なかでもシステム1/システム2の議論が投資家目線では興味深かった。

行動経済学の知見は、投資界隈でも特にプロスペクト理論に代表される認知バイアスは有名だけど、同じカーネマンのシステム1/システム2(=速い思考/遅い思考)も投資戦略を自覚的に区分しておく上で非常に有効だと感じた。

ステム1/システム2について補足すると、これは人間が情報処理に際して使う二つの思考モードの区分を示していて、システム1(速い思考)は直感的、瞬間的判断であるのに対し、システム2は注意深く熟考したり分析したり時間を掛ける判断(遅い思考)とされている。

強引な分類だけど、下記のように投資戦略もシステム1とシステム2に分けられると思う。

システム1:短期売買、テクニカル分析(無意識的and脳のリソース消費小/投資頻度多)
・システム2:長期投資、ファンダメンタルズ分析(意識的and脳のリソース消費大/投資頻度小)

そして各人固有の資質によってシステム1優位の投資家とシステム2優位の投資家がいると感じる。例えばシステム1だとテスタ氏、システム2なら井村俊哉氏のように。

各々の戦略の欠点として、システム1はプロスペクト理論に代表されるような認知バイアスに陥りやすく、システム2は非常に脳のリソースが消費されるため怠惰に逃げやすい(疲れちゃうので一度に沢山の処理は出来ない。継続性に困難を伴う。投資活動以外の認知がシステム1化してしまう。)。

なのでシステム1にはシステム2による補完を(投資行動が認知バイアスに陥っていないか意識的に確認することを怠らないようにする等)、システム2にはシステム1による合理化(例えばチャートツールによるスクリーニングの導入等)を行うべきで、どちらかだけで良いという話でもなさそうだ。


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