「バフェット解剖」を読んだ
前田昌孝著「バフェット解剖」/宝島社新書を読んだ。エドガー(”EDGAR”米国証券取引委員会が用意しているシステム)やバークシャー・ハザウェイのIRページに公開されている資料をひもときながらバフェットがどのような投資を行ってきたのかを分析している(2023年6月までのデータを使用)。
https://www.amazon.co.jp/dp/4299047532/
以下興味深かった箇所を箇条書きで。
・全保有銘柄の平均保有期間は3.8年。三分の一は1年以内に手放している。←意外と短い(まあ当たり前だが駄目だと思ったらバフェットでも損切りしているし、慎重に投資先を検討しても外れるときは外れるものだという意味で親近感が湧く)
・必ずしも底値で買ってない←これは成功したと云われているコカコーラやAppleでの投資もそうであり、伝説的に云われているような「暴落時の逆張り主体」という印象とは違う。
・指数に負ける年もある←具体的には1999年、2001年、2003〜2004年、2007年、2009〜2010年、2013〜2015年、2017〜2018年はS&P500にアンダーパフォームしている。
・購入した銘柄の過半は指数に負けている。
・普段は頻繁に売買しない。数年に一度勝負に出る印象。
・2016年Appleへの投資がなければ運用ポートフォリオは相当悲惨だった可能性がある。←2023年6月現在、保有する米国株式のポートフォリオのうちAppleが占める割合は51.0%もある(逆に言うとAppleへの投資がそれだけ成功し株価が大きく伸びた証拠でもある)。
バフェットは投資の神様で無謬なのだみたいなことを本気で信じている人はいないとは思うが、上記のように時には駄目な投資先にも投資するからこそ成功する投資先へも投資ができていると考えるべきなんだろうなあ。要はポートフォリオ全体で利益が出せれば良いのだから、本書で指摘されているような負け戦も、裏返せばチャンスとみれば果敢にリスクを取りに行く姿勢が根底にはあるという証拠でもあると考えるべきだろう。
大きく成功する投資があるからこそ少々失敗しても取り返しが出来るということだし、莫大な資産を築き上げてきた彼の投資方法が案外オーソドックス(失敗したらすぐ損切り、上手く乗れた銘柄は長期ホールドして利を伸ばす等)でトライアンドエラーを現在進行形で重ねているような人間くさい部分が垣間見えたような気がして面白かった。
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