第25期ヴィンテージ神挑戦者決定戦、備忘録

2024年8月24日に晴れる屋TC東京にて行われましたヴィンテージ神決定戦にて、Top8に残ることが出来たので備忘録としてこれを残します。
主にメタゲームとデッキ選択、自分がプレイするにあたって何を考えたか等です、全文無料公開です。
(勝った時だけ書くとか言うやつです、自己満です)

メタゲームとデッキ選択

自分はMOはやっていないので、実際に大会に出て感じたことと晴れる屋に掲載されるデッキリストを眺めてリストを固めていきました。そこで感じたことは主に以下の2つです。
・最大勢力としてJewel Shopが蔓延っている。
・Jewel Shopを抑えつける形で青黒ルールスが対抗として存在している。

主に私は行動圏内が都内で東京のヴィンテージプレイヤーと月1,2回程度対戦する機会があるのですが、東京のヴィンテージプレイヤーは本当によく《Mishra's Workshop》を使っているところを目にします。特にJewel Shopは強力で、晴れる屋の配信を見て頂くと理解頂けると思いますが、Jewel Shop相手に《Force of Will》の無い初手では、2ターン目には多量のドローによってもたらされたアーティファクトとマナであっという間にゲームエンドへ持っていかれます。現環境最強の押し付け力があると言っても過言ではないでしょう。その圧倒的なパワーに取り憑かれた人々がJewel Shopを握ってくるであろうことは容易に想像できました。
また、そのドローパワーに対抗する形で入れられた《オークの弓使い》とMH3で《超能力蛙》が加わった青黒ルールスが直近使用率が高まってきておりました。2024年8月25日時点では晴れる屋のヴィンテージメタゲームのデッキリスト数1位は青黒ルールスです。従来はクリーチャーの質が低くかなりサーガのトークンに依存していたルールスデッキですが、《超能力蛙》のおかげでライフを詰める力が格段に上がったと言えるでしょう。

ただ、何故そのトップメタのデッキを私が握らなかったのか。それはルールスデッキが世に出始め私も回して感じた以下の点によるものです。
・黒の除去が弱い。
・対Jewel Shop相手に《オークの弓使い》だけでは勝たない。
・青黒ルールスミラーだと腕で負ける。
・青白だと《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》でのイージーウィンがある。

1点目ですが、黒の除去は基本的には《致命的な一押し》がメインで追加であっても《長い別れ》のようなミラーを想定した除去が中心となっており、CMC5以上のクリーチャーには基本的に触ることが出来ません。対して白は《剣を鍬に》という最強除去が存在します。Jewel Shopがサイド後に投下してくる《アージェンタムのマスティコア》や《ワームとぐろエンジン》といったデカブツに触るには白を入れる他ありませんでした。
2点目、これは実際に対戦してみて分かったのですが、Jewel Shop相手に《オークの弓使い》を出したとしても《ファイレクシアの変形者》でコピーされて自分のオークが飛んでいくことが度々ありました。そのため私はあまり《オークの弓使い》に信用を置けませんでした。
3点目は完全に私の実力不足によるものですが、大型大会ではトッププレイヤーがトップTierでフェアデッキである青黒ルールスを握ってくることは目に見えており、その人らと対戦した際に勝てるビジョンがあまり浮かんできませんでした。
4点目。何回かスパーをしてもらって分かったのですが、(特にJewel Shop戦にて)先手1ターン目の《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》と2ターン目からの不毛でイージーウィン出来ることがままあり、完全に私はラヴィニアの虜になってしまっておりました。

以上から白を取り込んだルールスデッキはMH3が出る前から調整し始めておりました。
最初に辿り着いたのは《オークの弓使い》が4、《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》が2とし、《Tundra》2、《Underground Sea》2のマナベースとした純正のエスパールールスです。それをヴィンテージ交流会の場で何回か回し、その後7月に2回都内で開催されたヴィンテージ神挑戦者トライアルに持ち込みました。結果は以下のようになりました。
・2024/7/6 晴れる屋TC東京ヴィンテージ神挑戦者トライアル
R1 Doomsday 2-0
R2 青黒ルールス 2-1
R3 Jewel Shop 2-0
R4,R5 ID
SE1 Jewel Shop 2-1
SE2 Jewel Shop 2-1 
SE3 青黒ルールス 0-2 

・2024/7/13 晴れる屋吉祥寺ヴィンテージ神挑戦者トライアル
R1 Jewel Shop 0-2
R2 ローグ 2-0
R3 アグロショップ 1-2
R4 Jewel Shop 2-1
R5 ゴロスショップ 2-1 
SE1 Jewel Shop 0-2

そこそこの手応えはあったものの、意識していたJewel Shopに負けが7/13に2回あり上記2点目の懸念事項である《オークの弓使い》がJewel Shopに対してあまり強くないというのがかなり浮き彫りとなりました。逆に勝てたマッチはだいたいが初動を弾いた後の《アゾリウスの造反者、ラヴィニア》の着地による封殺で、私のこのカードに対する信頼は増すばかりでした。
そこで取った行動として、思い切って黒をほぼ切る方向へと舵を取りました。MH3の蛙が強いなら除去増やせば良いじゃない! という考えの元、《流刑への道》まで追加し、神決定戦に持ち込んだのが以下のリストです。
青黒ルールスを意識し、Jewel Shopを絶対殺すデッキです。

サーガ対策と一定数のオース対策として《聖戦士の奇襲兵》を組み込みました。能力もそこそこ強いですが何より瞬速持ちで構えながら出せる偉いです(ただオークには焼かれるので出すタイミングは慎重にいかないといけません)。本番の神決の結果は以下の通りです。
R1 UG肉掻きJewel(No Force, No Shop、4x Bauble, 4x Veil) 2-1
R2 青白ルールス 2-0
R3 Jewel Shop 2-0
R4 白単イニシアチブ 1-2
R5 Oath 2-0
R6 ID (これに関しては同意の上でIDしたが、お相手が8落ちしたっぽかったので申し訳なかった)
SE1 青黒ルールス 0-2 

想定していたメタゲームとは異なっていましたが、Jewel系にはちゃんと勝てていたので構築的にはそんなに間違っていなかったと思っております。最後の青黒ルールス戦については配信を見てもらった方が早いのですが、メインとサイドどちらもアンリコを通されてアド差とサーガの枚数で負けており除去も引かなかったので良いとこなしで終わってしまいました。
ただ、このデッキの根本的なところなのですが、除去の枚数と青黒ルールスが積んでくるであろうクリーチャーの数は同じになるようにしているつもりです(MOのリストは概ね蛙4, オーク2が主流)。ですので、それを超えるクリーチャーが入っていると肉数で押し切られることもしばしばです。事実、終わってから知ったのですが、高橋優太選手のデッキは蛙4, オーク4で除去の枚数を上回るクリーチャー数だったのでそもそものデッキ構造上やや厳し目だったのかと思われます。
ただ、久しぶりに神決のTop8に残れたのもあり後悔は無く、楽しく終われたなと感じております。

プレイにあたって

青黒ルールスのように蛙が入っていないため、このデッキはアドを取るカードが少ないです。そのためかなり初手に依存するので以下に気を付けてキープしました。
・ゲーム開始前に相手がルールスを公開してきたならばぬるキープでマリガンはあまりしない(カウンター無いハンドでも許容)。
・逆に公開されなかった場合は最低1ピッチカウンターはあるまでマリガンする。

ルールスを公開しないデッキは大体が即死があります。逆にルールスは即死がほぼ無いと言っても良いため、ぬるいキープが許容出来ます。事実、R2ではサーガ込の土地6、除去1枚というぬるま湯キープをして勝利しました。
ただ、そうは言ってもこのデッキのクリーチャーは青黒に比べてかなり貧弱であり、サーガトークンがライフレースをするにあたって青黒ルールスよりも重要になってきます。そのため相打ちのためにトークン生成をすることは基本的には避けるべき行為でしょう。(事実、配信でこのデッキの勝ち筋に疑問を抱いているコメントを拝見しました。リストをパット見だと私も同じことを思っていると思います。やはりサーガは偉大)

加えて、6枚の追放除去についてですが基本的にはOathデッキという例外を除いてサイドアウトはあまりしません。Jewel Shopは上記のように《アージェンタムのマスティコア》や《ワームとぐろエンジン》が入ってくることが想定されますし、他のデッキであっても概ね最後はクリーチャーでライフを詰めて来るでしょう。青黒ルールスデッキは除去をサイドに落としているものも見受けられますが、私はどうせサイドインするなら最初から入れてしまえ、と思い6枚突っ込みました。Oathだけは例外でデッキにファッティしかいないので、除去を全部抜いて《封じ込める僧侶》と《墓掘りの檻》にスイッチします。Doomsdayは厄介でたまに《濁浪の執政》であったり《黙示録、シェオルドレッド》が入ってくることがあるので、除去は残しつつ《記憶への放逐》を入れます。オラクルの誘発に合わせてもみ消しですね。

それからこのデッキを眺めるとある違和感を憶えることかと思います。それはサイドにある《ファイレクシアへの門》です。見た目では完全にルールスとアンチシナジーなカードですが、これをサイドインするマッチアップはたった一つ、白単イニシアチブ戦です。奴らはヘイトベアやイニシアチブクリーチャーを並べてライフを詰めてきます。また、白いためメインから3~4枚の《冥途灯りの行進》とサイドに4枚の《剣を鍬に》と多数の追放除去があり、ルールスが他のマッチアップと比べてかなり農場送りにされやすいものと考えています。ですので、目指すところはメインはサーガで圧殺かVault + Key、サイドは《修繕》から《ファイレクシアへの門》を引っ張ってくることを念頭に起き、サイド後ルールスは相棒として公開しません。これが他のルールスデッキには入っていないであろうメイン《修繕》の役割です。(尚、当日はメイン戦はVault + Keyで勝ちましたが、サイド後は妙に《ファイレクシアへの門》が吸い付き手元にやってきて負けました爆)

以上のようなことを考えながらプレイしたつもりです。
青黒ルールスよりも線が細く、細かいところで差が出やすいため一つの致命的なミスが命取りとなります。そんな差を多数の追放除去と《修繕》からの《Time Vault》による無限ターンでカバーしようというものでした。まだまだ改善の余地はありそうな気がするので、もし興味のある方は是非ともMO等で調整して共有頂けると幸いです。

終わりに

一般的に広く使われている構築とは違う構築で臨んだ今回のヴィンテージ神決定戦ですが、悪くは無い成績を残せたので良かったです。また、多少の自信にも繋がりました。前回のTop4で終わった時はどちらかと言うと最後の最後でミスしてしまい、もっとやれた感があったのですが、今回は配信卓でプレミもあったものの、どうしようもない引きの強さを見せつけられたのもあり不思議と悔しさ等はありません。むしろ世界王者の高橋優太選手とヴィンテージでマッチアップする機会などそうそう無いので、良い経験だったなと思っております。

ヴィンテージ界隈でのイベントだと直近では8月26日に禁止改訂があるとのことですが、精々ガラクタが制限になるくらいだろうと踏んでいます。
もしかしたら次の神決ではまた別のデッキが台頭しているかもしれませんが、そのときにまた自分なりのチューンナップをして良い成績を残せたらと思うばかりです。

最後になってしまいましたが、参加された皆様お疲れ様でした。そして東さん、優勝おめでとうございます。
また、ここまでご拝読頂きましてありがとうございました。たまにヴィンテージのイベントに参加していると思いますので、どこかで対戦した際にはどうぞ宜しくお願い致します。


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