「高齢者診療の極意」

久しぶりのノート

 ノートも大変ご無沙汰となりました。正月にCOVID19感染してから体調もすぐれず、その間の第八波もあって超多忙となってしまったので、Noteに触れる機会も激減。その間はひたすら診療に没頭していたのですが、ようやくだいぶ落ち着いてきた(とはいえ、世間の人が思うほどは落ち着いていませんが)こともあり、ぼちぼち再開しようと思いたちました。再開にあたり何をするかいろいろ考えたのですが、コロナ前に少し考えていたポッドキャスト的な地域医療に関するとりとめもない雑談や、身辺雑記的なものをそろそろと再開していきたいと思います。しばらく使わないうちにAIアシスタント機能がついて、時代の進歩を感じました…。久しぶりのノート、緊張するなあ。

高齢者診療の極意

 再開第一弾は、この本のことからスタートしようと思っていました。

 旧知の木村琢磨先生は、これまで節目節目でお世話になってきました。そんな木村先生が昨年10月に医学書院から単著でご著書を上梓したのです。これまで何回か彼とは一緒に仕事をしてきました。

これとか

これとか

あと一緒に論文を書いたり

Kimura, T., Matsumura, S. and Maeno, T. (2012), An Investigation of the Relationship between Senior Doctor's Support and Resident's Depressive State. General Medicine, 13: 85-92.

https://doi.org/10.14442/general.13.85

Kimura, T, Seo, E, Ogawa, R, Matsumura, S, Maeno, T. Recovery from a depressive episode during postgraduate residency training is associated with senior doctors' support. J Gen Fam Med. 2018; 19: 20– 26.

https://doi.org/10.1002/jgf2.144

僕のやっていた研究プロジェクトにも関わってくれました。

 そんな木村先生が本を出したこともあり、依頼もあって書評を医学書院から書いたんですが、なんか本書の最後のページのコラムで、木村先生が小津安二郎の映画を改めてみて感じ入ったところに反応してしまって勢いあまってこんな書評を書いてしまいました。

そしたらなんかいろんな雑誌にこの書評がのってしまい、あー申し訳ないなあ・・・ちゃんとこの本の良さをきちんと伝えなきゃなー・・・とずっと考えていたこともあって 、この機会に声をかけてみました。

まさかの大展開!

 そんなわけでまずは木村先生にも全然連絡をしてなかったので、とりあえず事情説明のメールをしたところ、「いやー実は異動するんですよ4月1日から」との返事が。え!どこに?、とさらに突っ込んでみたら、東工大と合併することで話題の東京医科歯科大学とのこと。寝耳に水とはまさに… まあとにかく詳しいことは後にして、とりあえず久々に対面でやる内科学会総会の日に会う事にして、そこでいろいろ聞こうと思いました。そして当日、ざんざん降りの雨がふる東京フォーラム。3年ぶりの対面学会ということで緊張しましたが、ほとんど人がいない・・・ハイブリッドで見ることができ(そして単位がとれる)のだったら、発表者以外はこの忙しい時期にわざわざ来る人もそうそういないのだろうな、と考えながら書籍コーナーのそばで会い、近くのコーヒーショップに入りました。久しぶりのコーヒーショップは、結構にぎわっていました。カウンターで、電子マネー主体で現金の人はあちらへ、と案内され、非接触が進んだこの3年の時の流れを感じました。

「高齢者診療の極意」の中身

 さてこの本ですが、木村先生がこれまでの臨床で培ってきた高齢者診療の肝、とくに高齢化が進んだわが国での実際の経験と、さまざまなエビデンスとが融合した内容になっています。

 面白いと思ったのは、【壱ノ巻】【弐ノ巻】【参ノ巻】【肆ノ巻】となっており、ベテラン医師(達人?)の赤ひげ、そして若手医師ののぼる(赤ひげに登場する若手医師 保元登へのオマージュ)、との会話から始まり、高齢者をどうみるか、よくある訴えにどう対応するか、高齢者の背景・生活をどうみるか、そして「主治医」としてどうみるか、という項目で書かれているところです。明らかに黒沢映画の「赤ひげ」をイメージした内容が彼らしいなあ、と。最近のスマートでちょっとキレキレな書籍とはちがってなんとも泥臭い昭和の香りがただようところがまたよいです。合間に挟まるコラムも含蓄深い。この中の コラム⑲小津映画がすべて見据えている、に反応して僕の書評が生まれたのですが、江口 幸士郎先生も同じところに着目していたのも偶然とはいえ、面白いなあと思ったところでした。
 
 そんなわけで、木村先生へのインタビューはこちらです。20分弱のインタビュー、喫茶店で録ったため周囲の音が結構入っていますが、よろしければ聞いてみてください。Podcast、まだうまくできなくて、こんな感じですがこれから少しずつ慣れていきたいと思います。


 少しずつ、ノートも再開していきます。

ではー





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