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僕らの現国第五回

秋の深まりとともに

 9月の終わりにいろいろ制度の変更があり、全例発生届を出さなくてもよいことになった。ただ結構これらの変更には曖昧なところがあり、また地域ごとのローカルルールも微妙に異なるので、東京と神奈川の県境に位置するうちとしてはいろいろ確認しながら進めることも多く、いちいちメンドクサイことこの上ないのだが、まあほとんどの人は陽性になっても「わざわざ受診しないで家でおとなしくしていてください」で済むことになったので発熱外来も落ち着きを見せてきている。ただ、周辺の学校ではまだまだ集団発生もあるし、学級閉鎖・学年閉鎖も続いている。陽性となる例も一日複数は出るので収まっているわけではないのだけれど、世間的にはすでに興味が薄れたのか話題になることも少なくなってきた。とはいえ僕たちはさすがに行動を緩和するわけにもいかず、おそるおそる少人数で出かけたり、ということから始まっている。会食なども、周辺では行われているようだが、日々感染者と接している立場としては、まだまだそういうわけにもいかず、あいかわらずひきこもる毎日である。

今度は小川洋子さん

 さて、前回の予告通り、ぼくらの現国第五回を行いました。今回は日曜日、日本シリーズ第二戦試合開始直前でそわそわしつつ、いつもの菅野さんに加え、第三回に参加してくれた河野さん、江口さんを交えてじっくりと語り合いました。一応、男性・女性のバランスを考えて取り上げる作家を考えていたのですが、これまで取り上げた作家は全員早稲田大学関連でした… 今回取り上げた小川洋子さんも、早稲田大学第一文学部卒。あくまで偶然です。小川洋子さん、いわずとしれた芥川賞作家です。いろいろな作品がありますが、今回取り上げたのは、「ハキリアリ」。2011年に刊行された「人質の朗読会」に収載されている、その中の最後に位置する短編です。

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ちょっとだけあらすじ解説。ネタばれしないように、、ということですが、実は冒頭で出来事は語られます。
地球の裏側、日本から遠く離れた異国の地で、日本人観光客が反政府ゲリラに人質に取られる事件が発生します。最後には全員観光客が死亡するという悲劇的な結末を迎えるのですが、後日、これらの人質たちがひそかに残した録音テープが発見され、ラジオで「人質の朗読会」としてそれぞれが放送されます。人質たちは、それぞれ一人ずつ、自らの人生におけるエピソードを語ります。すでにこの世にはいない、背景も、生い立ちも異なる人たちによって語られる人生の一断面。8名の人質の語りですが、放送は第9夜まであります。それはなぜかというと、最後は、これらの語りを密かに録音していた政府軍兵士によるエピソードです。それが今回取り上げるこの「ハキリアリ」です。

ハキリアリ

ということでハキリアリ。

ウィキペディアによると、日本にはいないアリだそうです。

そして、世の中には一生懸命研究している人がいるものです。この先生、北大卒ということで親近感急速アップしました。

そしてこの先生の所属先である、九州大学 持続可能な社会のための決断科学センターにも興味がわきます。アリ関係ないじゃん…と思ってはいけないのでしょうね。

いろいろな学問が世の中にはあるものです。

さて、小説「ハキリアリ」に戻ります。
小川洋子さんといえば、「博士の愛した数式」「妊娠カレンダー」「シュガータイム」「象を抱いて猫と泳ぐ」などが代表作。ちょっと不思議で現実ばなれした話を、静謐で美しい文体で紡いでいくのが特徴だと思います。すこしゆっくりしたい休日の午後に、ちょっと紅茶でも飲みながらの読書に向くかな(あくまで私の個人的なイメージです)

 さて。今回この「ハキリアリ」を取り上げたのは、この本を以前読んだときに、ちょっと調べたら高校の国語の教科書で取り上げられている、ということを知ったことが一番の理由です。
 文学好きの高校生でもない、難しい年ごろの今時の高校生と、この作品を通じてどんな話をするのか?できるのか?というところに興味をもちました。そして、2022年、コロナ禍で、旅行ができなくなった今、南米で人質事件に巻き込まれた日本人観光客、という設定の話がどのように僕らに響くのか、改めて知りたい、というところも興味の一つでした。ほんと旅行に行く人がいなくなったので、すごい現実離れした設定になりましたね…

僕らの現国 第五回

ということで、当日の様子はこちら



なかなか今回も面白かったです。

さて、次回でシーズン1は一区切りにしようと思っています。

次回、最終回は短編小説ではなく、まさかのエッセイ!

しかも、今を時めく星野源!。

どんな話になるのやら。

年内更新を目指します…

(できるかな)






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