片道1時間の雪山頂上まで。
毎週末になると山を登っていた時期がある。山形の庄内地方という、市街地ながら自然豊かな所に住んでいた頃の話。
登山道はたくさんの人が踏み固め獣道のように、麓の登山口から山頂まで続く。1年の大半は眩しい緑色が生い茂る森の中、乾いた茶色い地面を辿る。しかし冬になると雪が積もり、あたりは一面真っ白になる。冬季登山ともなると人も少なく、誰1人の足跡もついていない登山道を進んでいく。それが最高に気持ち良い。
雪はよく音を吸う。映画館の壁際に立った時のように、音が消える。聞こえるのは自