情報分析による相馬の利点

情報分析による相馬、その最大の利点というのは、

「そんなアプローチからの相馬は、ほとんど誰もやっていない」

これに尽きます。

実は、相馬というのは、初歩の段階だとそんなに難しい話ではないのです。例えば、9頭の未勝利馬の中に、1頭だけGI勝ち馬を混ぜて、「さてどれがGI馬でしょう?」なんてクイズを調教師に出すと、不正解なんて人はさすがに一人もいないと思います。

これは競走馬のセリ市においても同様です。例えば10人の調教師に、200頭かそこらの上場馬の中から、購買候補馬を20頭に絞れという作業を依頼すれば、その20頭は大体被るでしょう。ただ、その20頭の中から、「実際にどの馬を競るのか?」という段階に進めば、そこで調教師の真の力量が問われる事になります。

というのは、選別の過程における判断は、もっと具体的な事でケースバイケースになるからです。例えば単純に膝に不安がある仔馬がいたとしましょう。これを「問題」と捉えて蹴るのは簡単な事なのですが、中には大丈夫と判断して安くその馬を購買し、ちゃんと競馬で走らせるなんて調教師も当然ながら存在します。プロの見識というのは、こういった局面で発揮されるものなのです。

話が少し脱線したので、元に戻します。

あくまでも、ざっくりとした話ではありますが、次の話として、「では実際に競りの結果がどうなるのか?」といえば、上記のようなプロの判断によって若干の誤差はあるものの、基本的には、候補馬として多く被った馬が高額になり、評価がバラけた馬がそれなりの値段になり、あまり他と被ってなかった馬が安くなる。まずまず、こういった結果になります。

つまり、「良い馬を探す」という作業に関しては正確なものの、そこに値段的な旨味は基本的にあまりありません。

少し辛辣な書き方になりますが、調教師が良い馬と判断する根拠、基準というのは、人によってそんなに無茶苦茶変わるものではないのです。これは牧場主や育成事業者であっても同様です。競りに参加している牧場主、育成事業者だって、同じ見方をする同業の人間が他に何人もいるわけですから。

更に辛辣な事を書けば、こういった選別方法がメインの手法なのであれば、「選別という作業がそもそも必要なのか?」とも思います。

すなわち相馬による評価が、結局は「値段なり」になるのだから、「高い馬を競ってりゃとりあえずそれで問題ないんじゃないの?」という話になってしまうのではないでしょうか。実際、セレクトセールで一億円の値段がついた馬を否定する調教師はほぼいないと言っていいでしょう。

情報分析による相馬は、良い馬と判断する基準・根拠かこれまでのやり方・手法とは大きく異なります。つまり、他の選別者と候補馬が被りにくい。それ故に、安く買える・・・。

「値段的な妙味がある」

これが、情報分析による相馬、最大の利点となります。

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