2024年度の種牡馬事情

明日から3月という事で馬産地は本格的に生産シーズンへ突入します。

私達も今年の配合に関してぼちぼち予定を立てないといけないわけですが、仮に種牡馬の予約をしていても種付け予定日の数日前になって「混んでて無理です」と断られる事も多く、逆に既に満口と告知されている種馬であっても当日にたまたま枠が空いていてお願いできる事もあり、種付けの段階で「運の問題」といった要素がないわけでもありません。

そして、色々と検討した上での今年の構想はこんな感じ。

フギン    :アドマイヤマーズかビッグアーサーかリアルスティール(検討中)
ムニン    :リアルスティールかニューイヤーズデイ(前者を予約済)
シウダニーニャ:ウインブライト(予約済)
アリアプーラ :ムニンがニューイヤーズデイになってフギンがリアルスティールになったらアドマイヤマーズ

種牡馬を検討していく上で感じたとりあえずの印象としては、「ダート馬を狙って生産しても既にしんどい」という事でしょうか。

特に最初から地方用の馬を生産しようとしても、生産馬を売るにせよ自分で使うにせよ、どのみち既に辛いのではないかと思います。なんせダート種牡馬の種付け料が軒並み高騰していますからね。

シニスターミニスターが700万円で、ドレフォンが600万円、ヘニーヒューズが500万円ですか。こんな種付け料だと基本的には中央競馬用の馬で、地方で使うなら南関東前提だと思うのですが、自分だけこのクラスの種馬というわけではなくて、世代でいうと500頭~600頭ぐらいはいるわけですから高額種牡馬を配合したダート向き血統の産駒を生産しても自分が得られる優位性なんて相対的には大した事ないんですよね。

勿論、芝馬となると母が海外のGIレースに勝っているノーザンファーム産とか、そうでなくても父親は種付け料が1000万円を超えてる種牡馬ですわみたいな馬がゴロゴロいますので、優位性はもっと低くなって、結局金をかけないとドヤれないといった当たり前の話になってしまうのですが・・・。

しかし、まぐれ当たりというと聞こえがよくないとはいえ、結構な能力をもった安価な種牡馬の産駒が運良くたまたま産まれてきても、対戦相手が良血の素質馬ばっかりだと稼げる額が落ちるのは自明の理で、ハズレを引くリスクを考えると、そんな500万円とかの種付け料を払って生産した仔馬を地方競馬で使ってもなかなか立ち行かないでしょうし、長期で安定的な競馬が出来るだろうとはとても思えないですよね。やっぱり地方競馬で使うのであれば、種付け料込で育成に入る段階で使えるお金は総額で500万円までだと感じます。

つまり、ダート馬狙いといった戦略は既に通用しそうにない。

昨今は補助金の関係で、地方競馬の厩舎に入る馬であっても1500万円とかの値がつきますけど、それにしても馬主サイドからすると身銭を切るのは750万円だから、まだかろうじて採算性を甘く見積もれるわけです。そして補助金の抽選に外れてしまえば、とても勝負できるような状態ではなくなります。

また牧場サイドにしても、種付け料が高騰したせいで1500万円で売らないといけない状態でダート馬を生産してしまうと、経営的に結構やばくなるんじゃないかとも思いますね。地方競馬の賞金がいくら以前より高くなったといっても、地方の馬主が補助金無しで払える額ではないですから。そんなに都合よくいつまでも仔馬が売れるものなのかと感じます。

というわけでして、「良い仔を出すんだけど、種付け料は安い」、こんな種牡馬を探して種付けするしかないといった当たり前の話なのですが、「そんな都合の良い種牡馬はなかなかいない」といったこれまた当たり前の一面がありまして、どうしようもないですね。

競りも同様です。安価である時点で、それ相応にリスクをともなう購買になるわけでして、「何かがある」その何かを超えていかないといけない。まぁ大変です。

「スワーヴリチャードの本株をまだ安い時期に買ってました」

とか、まず種牡馬の株で当てるべきなのかもしれず、ちょっとはそういった事も考えないといけないですね。

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