プレミアムセッションの正体

3日間開催となり、初日がプレミアムセッションとなった今年のセレクションセール。取引成績を見てみましょう。

初日   売却率:94.78%    平均価格:28,288,189円
2日目   売却率:88.68 %   平均価格:16,517,516円
3日目   売却率:73.99%   平均価格:13,527,422円

まず市場長のインタビューの中に最終日の最終上場馬には注目馬を配置していたといった内容の話があり、実際その落札額は5200万円と「最後まで客に残って貰えるように」といった意図からそうされているセレクトセールと同じような事をしていて、上場馬の上場順がランダムなものではないという示唆がありました。

つまり上記の取引成績を見ても、その数字から一目瞭然の話であって、今年のセレクションセールは海外のセールと同じようなブック制を模索しており、実質的に、初日がbook1、2日目がbook2、3日目がbook3の3段階で構成されていたというのが本当のところと推察されます。

3日目の売却率は昨年のサマーセール3日目より5%も売却率が低く、こうなった要因は開催日数の問題というより、馬の質の問題でしょう。3日目は「血統が良い、もしくは高額種付け料の産駒なので最低でも600万円で売りたいけど、実馬に色々と問題がある」そんな馬が多く上場されていた可能性が高いと言えるでしょうね。

逆に言うと、初日のプレミアムセッションはキタサンブラックを筆頭とする高額でかつ人気もある種牡馬の産駒達をコアとして、レポ関連に問題がなく、更に足つきや歩様にも及第点を貰える真の良質馬達が上場されていたという事です。

あくまでも生産者からの自己申告に基づいて選抜されたのでしょうけど、「良い馬を初日に集中して上場させる」といった市場の思惑はほぼ達成されていたという事でもあります。

「良い馬が市場で高く評価され、良い馬を生産した生産者の努力や実力が反映される健全なセール」

馴れ合い迎合体質からの思い切った方針転換と改革であり、その思想と精神は大きく評価されるべきでしょうな。

ただし、裏を返せば本来の意味でのセレクションセールに上場できる日高の生産馬は庭先で取引された、もしくは自分達で競馬に使う良質馬を除く売り馬としては、せいぜい300頭しかいないという事でもあります。いや、勿論成長速度などの関係で、サマーセールやセプテンバーセールにこれから上場される良質馬達もいますがね。

しかし、それにしても初日に関しては個人馬主がとにかく強かった。これだけノーザンファームが競り負けを連発したセールも珍しいのではないかと(笑)。

初日の昼ぐらいに会場について、意中の仔馬をさっさと買ってお帰りになった馬主さんがいたのですが、これぞまさしく個人馬主の理想像といっていいでしょう。高いからと3日目まで待って買っても結局は値段なり。「貧すれば鈍する」は言い過ぎですが、損得計算に終始して小賢しい真似をあれこれしても人としての程度がしれるというものです。気持ちよく良い馬を買って颯爽と会場を去るその馬主さんの後ろ姿が輝いて見えましたわ。


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