HBAセプテンバーセール2020:成果編

掲題のセールを無事完走し、神戸まで戻ってきました。成果の方は2頭。

190 イスラボニータ × モスコーオペラ  牡 税抜き400万円
546 ラニ × フィールザラブ 牡 税抜き570万円

190が内田玄祥先生、546が一村氏による購買です。

昨年もこのセールで2頭購買し、うち一頭が玄祥先生(税抜360万円)でもう一頭が吉川氏による購買(税抜310万円)でした。しかし、玄祥先生に買っていただいたチュンチュンマルは道営競馬で7戦0勝の獲得賞金7.5万円、一方のジューンクエストは中央新馬勝ち獲得賞金700万円と明暗が分かれており、私としては申し訳ないどころか針の筵に近い感覚でセールには臨んでおりました。チュンチュンマルも体重が増えてきているので、今後の成長次第で走りそうではあるのですがね・・・。

しかし、それにしても、玄祥先生に買っていただいた馬は、ドウニモトマラナイ、キキキキン、チュンチュンマル、ソンノウジョウイと現段階でどれも結果が出ていませんので、いい加減にこのセールで当てないと私はただの輩という事になってしまいます。

それ故に、「これ以上は出来ない」というぐらい準備を万端にしてセプテンバーセールを迎えたわけですけど、正直なところかなり苦戦しました。

このセールを難しくしている一番の要因は、値段のブレ幅が大きいという事に尽きます。セールの上場馬には、血統や馬体、欠陥の有無、動きなどによってある程度は「相場」というものがあって、それらを元に落札価格を予想し、「お買い得になりそうな馬はどれか」を考えるわけですけど、この所謂「値段読み」が非常に難しいセールなのです。

御代は300万円だが一声200万円にて落札されていいような馬でも、じわじわと400万円まで連れて行かれるケースが多発しているようにも見受けられましたし、「競走馬になるのはほぼ無理」というほどの脚付きの馬が500万円程度で売れていたり、値段の付き方に合理性が無いという傾向がこのセールは特に強いと思います。

つまり「なんかよく分かんないけど500万円まで競っちゃうよ」みたいな競られ方をしていて、300万円まででどうにか良い馬をと思って必死に馬を探しても、極端な欠点がない限りは、どこかから声がかかって結局競り上がるみたいな展開になるんですよね。

一村氏の方は簡単というか想定通りでした。

別にこんな事をいちいち書かなくてもいいのですが、私が一村氏から貰っていた今年の予算枠は3000万円。オーダーは中央1000万特別以上を勝てそうな素質馬がいたら買ってくださいというもの。そして自信が無ければ購買頭数ゼロでも構わないという条件付きでした。

私の皮算用としては、「1000万特別を勝つ前提であれば、1頭あたり1500万円だしてもペイできる。ただし2頭に1頭当たれば良い方なので、上限の予算は半分の750万円とする。狙う馬は、800~1000万円相当の馬だが上手く下にブレて、700万円ぐらいで納まる馬。」

この方針はセプテンバーセールの根本的な戦略とも合致するものでした。

基本的にセプテンバーセールは一日あたりの上場頭数が少ないので見逃しがサマーセールほど期待できません。そんなに簡単に相場から下ブレはしないのです。

ただ、地方競馬関係者がメインの相手だと話は違ってきます。

サマーセールでは南関競馬のインチキみたいな補助金の関係で、1000万円をこえるような値段がダート馬につきますが、このセールになるとこういったケースはあまり見なくなります。これがセプテンバーセール唯一の購買者側から見た利点とも言えます。

実際、このセールで一番の驚異になるのは、中央の調教師ではなくて、地方競馬に所属している歴戦の敏腕調教師なのです。

ざっくりとした相手関係の話をすると、

ピンフッカーは300万円の馬までで勝負。地方の個人馬主だと400万円の馬までで勝負。そして相馬の精度が高い地方競馬の調教師で馬主からの信頼が厚く予算がとれる調教師だと税込み600万円程度で勝負。これに値段帯に関係なく素質馬を探しているオールラウンダーのプロ集団が加わる。

こんな感じでしょう。

つまり、いくら馬が見れても地方競馬関係者に限れば500万円を超えてくると雲行きが怪しくなってくる。こっちは元々中央3勝馬が欲しいわけだから、その限界値を少しだけ超えたぐらいの価格帯で精度を上げた方がいいとこうなるわけです。

逆にいうと、800万円を超えてしまうと相手は中央の馬主かプロ集団で、相手次第では落札できるまで競るしかなくなります。中には自分の眼力に絶対の自信があり、確信をもって競ってくる人もいるので、こんな人と競り合いになるとそれはもう大変ですよ。なんせ買った馬を英国ダービーに予備登録するぐらいその馬の素質を確信しているわけでね。

そんなわけで、546のラニ産駒はまさしく想定通りの値段帯・570万円で落札できたわけですな。まぁこれは良かったです。

問題は玄祥先生の方でした。

失敗が許されない状況下にあり、「確率は低いがとりあえず買える馬」にいくなんてもっての他なわけです。

実は、「これで大丈夫だろう」という馬が初日にいたのですが、これをプロ集団が見逃がしてくれなくて競り負け。そして、以降は「もっと高くなるだろう」という馬しかリストに残らず、のっけからどうにも展開が厳しくなりました。

私は基本的に競り負けするような馬を馬主さんに勧めません。といいますか、こっちの予算は最初から分かっている話なので、競り負けるという事は値段読みが出来ていないという事ですからね。相馬師としては恥でしかありません。

ただ、「望外の幸運」というケースもないわけではなく、参戦しないと競りが終わるまで無為な時間を過ごすだけですし、仕方なくダメ元で参戦していただく事になるわけで、まー酷い競り負けが連続したという結果に終わりました。最終日の画像解析で見つけておいた穴馬まで競られてしまって万事窮す。

どうにか初日に1頭買えてはいるのですが、これは結構なリスクを認識した上での購買で、手詰まり感が正直ありましたね。

このセールは難しいです、本当に。ちょっと根本的に対策を考えないとどうにもならないかもしれません。

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