HBAセレクションセール2024 - 雑感 -

続いて雑感を。

いやね、競馬業界って、なんかこう端から端まで見事なまでに空気を読んで業界人みんなで自己利益を守ろうとする雰囲気がありまして、私みたいな門外漢からすると今年は特に違和感を感じたといいますが、変な宗教集団の拝礼に紛れ混んでしまったのか感まで感じてしまいましたな・・・。

まずセール結果を見ると、馬の値段が上がっているには上がっていて、市場長なども「してやったり感」を醸し出しているのですが、生産者の人達ってこれで本当に儲かっているのかなと。

ほんの10年前だとトップサイヤーであるキングカメハメハの種付け料が600万円で、ハーツクライが500万円、ダートで覇権をとったサウスヴィグラスが100万円という時代だったわけですよ。

これなら前者が3000万円、後者が1000万円で売れていれば経営的には安定していたと思いますし、実際に売る難易度もそんなには高くなかったと思います。

でも、今現在はというとMAXがキタサンブラックとイクイノックスの2000万円で、特段そんなに優秀なわけでもないけど産駒数やCPIなどの関係で無理やりリーディング上位にされているだけの種牡馬でも1000万円オーバーなわけでしょ。こんなんだと5000万円ぐらいで売らないといけないはずですよね。

そもそも牡が産まれてくる確率が50%で、それ以前に不受胎もあれば流産もあるし、産まれて数か月で仔馬が死ぬなんて事もあるわけでして、無事に育っても喉がまともなどレポ関連も正常じゃないといけない。牡馬2頭生産してどっちかが5000万円で売れても、繁殖牝馬の減価償却まで考えると相当に危ういのではないかと感じますね。大体、餌代や燃料費、人件費などの高騰も牧場経営を直撃しているんじゃないですか。

で、こうなってくると「どうしても産まれてくる凡馬」をお金に変える必要性が激しくなってくるわけですよ。

種付け料1000万円で牡馬を生産しました。
繁殖牝馬を導入する金もかかってます。
でも産駒のノドがピクリとも動きません。

こんな状態になった時に

その馬を3000万円で売ってくるから、500万円よこせ

こんな話を断れる生産者がいくつ残るのかという話になってきますわな。調子が良い時ってのは、皆良い人なんですよ、そして、こういった苦境が訪れた時にも自分を律する事が出来るか否かがその人の教養であり本性でもあるわけです。

また、馬喰じゃなくても、仕事として馬を高く売ってナンボの商売も存在します。

所謂コンサイナーですね。

15年ぐらい前から「磨けば光る仔馬を丁寧に磨いて市場における評価を高める」といった真っ当な仕事をする若手コンサイナーが増え、日高の馬産に大きな貢献をしてきたわけですが、こちらも最近は傾向が変わってきた感じがあります。

(質問)レポに何か問題はありました?

5年前:ご自身での確認をお願いします。
今現在:大きなものはありませんが、ご自身で確認してください。
   (満面の笑みで)何の問題もありません(^^)

こんな感じです(笑)。ちなみに馬の引き取りが終わったら即手術、下手したら半年後には引退させないといけないレベルの問題がある仔馬だと分かった上で聞いています。そして、そんな仔馬達が普通に売れているから怖い話になるのですね。

「良い馬なんて誰にでも売れんべ、この馬を金にしてくれるコンサイナーに頼まないとな、ガッハハ」とか喫煙場で馬鹿笑いしている生産者までいまして、ガチで頭おかしいのかと思いました。

いや別にコンサイナーだけを悪者にする気はないのですが、とにかく嘘が多いですわ。業界全体で雰囲気をよんで嘘をいくらついてもいいぞという風潮があって、これが全く馴染めません。

大体、セールの責任者である市場長も鑑定人も嘘ばっかり言ってますからね。

誹謗中傷だと言われないようなレベルの話を一つしておくと、例えば主取りの馬でも、「〇〇万円 △△番のお客様です。ご購買まことにありがとうございました」とかやってますよね。

いや、ご購買されてませんから。主取りですから。そして、その事を市場長も鑑定人もわかってやってますから。

売れていないものを売れているようにわざわざ演出しているわけですが、雰囲気作りのために嘘をついてもいいというこの価値観が本当に理解できない(笑)。「売れてます!」とかいう安物広告詐欺と同じレベルの事をよく恥ずかしげなく良い大人達が出来るものだなと。

そんなわけでして、空気を読まずに本当の事を言ってしまうと業界内で嫌われますし、得する事も何もないので、皆が皆空気を読んでいるのでしょうけど、端から見てる分には「怖い宗教集団やな」としか感じませんね。


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