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Vol.16 なぜ指原は24万票も獲得したのか?ファンじゃなくても分かる総選挙の舞台裏

6/18に行われた第8回AKB総選挙。

AKB総選挙と言えば、CDの複数購入によるAKB商法が毎年話題になりますが、実際握手券や投票券を付けたCDを販売しているだけでは、たかが一アイドルグループが247万という票は集められません。

本記事では、2年連続で総選挙1位を獲得した指原莉乃さんの勝因を中心に、総選挙の裏側でAKBファンがどのように行動しているかを解説します。

昨年より5万票も票を伸ばした指原

指原さんと言えば、スキャンダルで博多に左遷されたものの、現在ではアイドルの領域を超え、バラエティタレントとしての地位を確立しつつあります。

ちなみに今年の指原さんは昨年の19万4049票から4万9000票近く票を伸ばし、24万3011票という結果に。2位の渡辺麻友さんと7万票もの差をつけて圧勝です。

渡辺さんは昨年3位から順位を上げたものの、1万弱の票の伸びですので、その差は歴然です。

TVの出演回数が票数に影響するのは当然

当然ながら、指原が2年連続で1位になれたのは、他のメンバーと比較しTVへの出演回数が圧倒的に多いことが影響しています。

昨年総選挙で再び1位に返り咲いたことが影響し、2016年もテレビに引っ張りダコ。総選挙で1位になると、タレントとしてのパワーが数字となって分かりやすく表れるので、キャスティングする広告代理店やTV局もクライアントに説明しやすくなるメリットがあります。

メディア露出による在宅ファンの獲得

握手会に行けない子どもだったり、遠方に住むファンは、TVが大きなタッチポイントです。その人たちが大量に投票しなくても、1票の積み重ねによる影響が大きかったものと思われます。

開票前の正確な票読みが重要

ただ今回圧倒的な差で指原さんが勝ったのは、TVの力だけではありません。

開票前にある程度正確な投票数を指原さん自身が把握していたことが、勝利した要因の一つだと考えられます。

AKB総選挙では各メンバーに選挙対策委員会(以下、選対)が設置されます。これはファンの有志によるものです。事前の票の取りまとめ、集計、ファンやファン以外への投票の呼びかけ、SNSによる広報などが主な活動になります。

選対をまとめる選対委員長にはファンの中でも影響力があり、リーダーシップがとれる人が選ばれることが通例です。指原さんの選対長は優秀だと思いますが、指原さんのヲタクの意見を吸い上げ、まとめる力もかなり影響があったと考えられます。

なぜなら、指原さんはアイドルではありますが、元々かなりのアイドルヲタクであり、ヲタクとしても優秀だからです。その優秀さとはファン心理を知り尽くしていることと、勝つまでの道筋が立てられることです。

選挙で勝つには選対の協力なしではあり得ません。

選対が事前にどれだけ正確な数字を把握出来てるか。これが選挙で勝つための重要なファクターです。現状の正確な数字を把握してこそ、よい打ち手を考えられます。そういう意味で総選挙とはメンバーの人気投票ではなく、ファンも交えてのチーム戦なのです。

今年から始まったShowroom放送

総選挙も毎回同じではありません。運営もいかに投票数を伸ばすことができるかの改善を行っています。

今年はネット動画配信サービスShowroomを使って、選挙期間中、メンバーがファンに対してアピールする機会が設けられました。

指原さんはそのShowroom放送内で「もう投票券がありません」というファン対し、オークションを使え(オークションを使って投票券を落とせ)と指示していました。ファンにここまで細かく指示出来るアイドルは中々いません。

なぜ指原さんはこのようなことが可能なのでしょうか。

指原さんの選対はネットで出口調査を実施したり、そこで集めた情報を出来るだけ詳細に指原さんに伝えています。ネット放送での指原さんの発言を見るに、指原さんは開票前にかなり正確な票数を把握していたものと思われます。この辺りのファンと指原さんの連携具合は、他のメンバーや他の選対よりも優れています。

今年の総選挙はどうだったのか

今年2位になった渡辺麻友さんが、中国や台湾の人から人気があるというのは、一昨年に渡辺さんが1位になった時に分かっていました。今年2月に渡辺さんが放送したShowroomでは、たった2時間の放送で総額300万円の課金がありました。課金上位者はいずれも中国や台湾のファンでした。

選挙前の事前情報で渡辺さんは22万票と言われていたので、最低でも指原陣営は23万票は必要だという読みでした。

結果、渡辺さんは17万票止まりでしたが、このことについて、指原の選挙対策委員会(サシコム)は

「他陣営からリークされた事前票数を鵜呑みにしてやりすぎた感はあるが、後悔していない」

と語っています。

(個人的に面白いと思ったのは柏木さんが7万票も減らしていることです。ぶっちぎりのダウンです。手越スキャンダルがそんなに影響あるのかっていう・・)

毎年どうなるか分からないと言われている総選挙ですが、実は過去7回の選挙の傾向から、ある程度対策を立てることができます。

昨年2位になったメンバーのファンは頑張る

これまで総選挙で2年連続1位になったメンバーはいません。

その理由は昨年2位になったメンバーのファンは、来年こそは1位にしてやる!と頑張って投票するからで、その結果、過去の総選挙で連覇は起こっていませんでした。

ですが、この法則は今年指原さんによって破られました。

速報順位をどう使うが肝

総選挙では投票期間の初日に速報値というものが発表されます。

これは投票開始から1日目の結果を発表するものです。

速報に入るメンバーには大きく分けて2パターンあります。

1.知名度が低いメンバー、若手メンバー

これらのメンバーは選挙本番では勝てないことが予想されるため、せめて速報だけでも入れてあげたいといファン心理が生まれます。事実、今年加入したメンバーでも速報であればランクインすることが可能です。

2.上位常連、知名度が高いメンバー

敵陣営を油断させるために速報が低めになるよう投票するパターンと、敵陣営を牽制するために速報順位を高めるため多めに投票するパターンがあります。

しかし速報で順位が高過ぎると、ファンが安心してその後の投票行動に結びつかない、または安心して他のメンバーに入れてしまう票割れが起こります。

票割れが起こると、結果二人とも圏外になる恐れがあるため、選対はコミュニティ内の空気をうまく掌握しながら、投票を呼びかける必要があります。

ただのアイドル人気投票ではない総選挙

これまで、メンバー個人間における人気投票の意味合いが強かった総選挙ですが、昨年辺りから、いかにチームのメンバーを多くランクインさせるかの機運がファンの間で高まっています。つまりどれだけ多くの議席を獲得し、第一党となれるかが、選挙攻略のためのキーファクターとなってきています。

個人戦ではなく、チームを意識した戦い方ができるかどうか。

実際、昨年の総選挙では一番若いチームであるHKTのメンバーが大量にランクインしています。

この例が正しいかは分かりませんが、渡辺麻友さんには渡辺さんのファンが投票したが、指原さんにはHKT、AKBGのファンが投票した。これが指原さんが連覇できた要因の一つではないかと考えます。細かな票の積み重ねが大切です。

先日秋元康氏がHKTに書き下ろした歌詞の中に「女の子は頭空っぽでいい」というフレーズがあり、ネットで炎上したことは記憶に新しいですが、同世代の女の子と差別化を図り、ファンのニーズに応えるマーケティングスキル、握手会やSNSにおけるファンとのコミュニケーションスキル、日々劇場で行われる公演の改善、アンチから叩かれても凹まない強いメンタルなど、頭空っぽでは総選挙で勝てないことを、指原さんの1位が証明しています。

指原さんの先輩である高橋みなみさんは総選挙後のブログでこう語っています。

求めることに応えてくれる
良い意味で裏切ってくれる
このあんばい
さじ加減がさっしーは最強なんだと思う
http://lineblog.me/takamina/archives/4063468.html

最後になりますが、今回の総選挙ではモバイル投票の枠を広げたにも関わらず、全体得票数は昨年の328万票から274万票と、54万票もダウンしています。乃木坂という劇薬はまだ残っていますが、今後どうなるのか。

指原さんがリアル選挙に立候補する日も近いかもしれません。

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