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freee のプロダクトデザインに対する想い

この記事はfreee Designers Advent Calendar 3日目の記事です。

こんにちは freee デザインチームマネージャー のkambeです。
この記事ではfreeeのプロダクトデザインについて、設立メンバーCEOのDS(佐々木大輔)に、デザインチーム hinako (21卒)、kiba(21卒)、woz(22卒)、kambe がインタビューを行いました。(以下、敬称略)

社内会議室でのインタビューの様子

ー freeeのデザインチームは早い時期からありましたが、作ろうと思った、きっかけを教えて欲しいです

DS:そうですね、会計ソフトって世の中は諦めていたのかな。
簿記知っている人しか使わないし、先輩が後輩に教えるもの、こういうもんだよね、みたいな。
仕事で使うものだから楽しいもないよね、みたいな位置づけに感じることがあった。
ただ、実はそうじゃなくて、会計ソフトというのは、実はもっと親しみやすいものだと思っていた。

DS(CEO: 佐々木大輔)

昔、よく、会計ソフト使ってますか?と聞くと、月に1度、心を無にして入力します。おわったら閉じます。という話しがあった。そういう存在。
なるべく早くおわって、見たくもない。
そうじゃなくて、もっと良い体験にする。
見たくもないではなく、帳簿を見たくなるような体験。
本当は会計帳簿は、やらなきゃいけないからじゃなくて経営をよくする目的でやっているはず。
もっと前向きでポジティブに望めるようになることが大事だと思う。
良い体験を作るためには文脈を超えたジャンプが必要だし、ジャンプをどうやって実現するのか、というデザインやユーザー体験について考える必要があった。そういうチームが必要だと思った。

話は脱線するが、オフィス家具はすごい進化して、遊び心があって、家にあってもおかしくない。最近そういうのが増えた。
昔はオフィスにあるものって決まっていた。
仕事で使うアレ(=つまらない)というものってツール自体が言ってるようなものが多かった。
そういうものを変えたいというのが、freeeをやっていく中での思いであり、実現するためにデザインチームを充実させようと思った。

ー デザイン=ビジュアルというイメージもある中で、デザイン=体験をよくすると考えてるようになったのはなぜですか?

DS:そう。以前はUXチームと呼ばれていたけど、なんでデザインチームに変わったんだっけ?

kambe:以前は体験設計ってどういうことだっけ?というのに注力していたので、社内外に対してUXが伝わりやすかったです。
今は体験設計は会社全体でやっている、UXチームがあるから自分たちは注力しなくていいとならないように、UXチームのUXを取って、広義のデザインとしました。

DS:なので、当時は体験を作っていこう、という機運があった。
freeeってデザインも体験もこれまでの会計ソフトと全然違う。
どんな時に会計ソフトを開くのかを含めて変えてゆく製品だし、そういうことを当たり前として考えてゆくものだった。

創業期は変数が大きいので、なんでもかんでもUX、みたいな感じがあった。変数が大きいというのは、なんでも変えられるということ。何を変えてもいいじゃないか。

UXもデザインもどう捉えても同じだが、今、コレに慣れているユーザーに、こう変えろは心理的コストが高い。
それはそれで面白い課題だが、一方で、創業期はそういうのがなくて好きにやればいいが強かった。今思うと既存のものを無視しすぎたかもしれない。
いままでと違うやり方を要求している、それは難しいこと。
それ自体をどうやったら簡単にできるのか、というのは無視しすぎていて、もうちょっと考えて、今のやり方で何とかすることに向き合ってもよかったかもしれない。

ー 楽しく働く、ということを重要視していたと思うのですが、どうですか?

DS:スモールの経営者の人って、会計は後ろ向きで難しくて、負の解消でしかない。気分的にも実利的にも、楽だし、楽しいし、何ならビジネスも良くなるにしたかった。
終わったらパソコン閉じる!みたいな感じだった人が、入力しなくてよくなったから、うちの経営ってこうだったんだ、グラフで見るのが楽しい、と言っている人がいて、それは嬉しくなった。つまんなかったものが、意味のあるものになった。

kiba:その考えは、昔と今で変わりましたか?


kiba(21卒)

DS:10年前と今で?変わったところ?
なんか、10年前は、何がベストか考えればわかる、と思っていたところがあった。今は、もっと顧客解像度を高めないといけない。
いままでと違うことをするのはコストである。
使っているユーザー、使ってくれないユーザー、と話して見えてくることもある。自分たちにとってこれがベスト、理詰めで考えられる部分もあるが、そうじゃない部分を話したり観察したりして知る必要がある。
両方やるのが重要だし、面白い部分である。

例えばfreee販売というプロダクトの一目瞭然レイアウトが好き。
これまでのプロジェクトだと自分たちがこれがいいんだ、と考えても出てこなかったもののような気がする。デザイナーがリサーチを行ったことでユーザーはこことここを見比べる、みたいな行動がわかって、それを解決するには、一気に比較できる、ツメツメにするのが重要で・・・というアイデアを出すことができた。さらに、見た目の部分もこだわって、楽しさや、美さも伝わるデザインにたどり着いたのがよかった。

freee販売、一目瞭然レイアウト

ユーザーの解像度を高めながら、とは言え、自分たちが重要と思う部分をチューニングする。そういうのを重要と思っているのが、10年前との違い。

hinako:今までと違うやり方でーを+にする、満足度を上げていくイメージですか?

hinako(21卒)

DS:満足度を上げる・・・究極的にはそう。負荷なく使えるし、本当に価値がある。一目瞭然の話だと、どんなに見た目を良くしようとしても、それでビジネス要求を犠牲にしたら楽しくない。こういうのを守らないといけない、という部分の解像度を高めて、価値が高いし、気分もいいし、精神的なコストが低いのが重要。ある意味、考えるのが難しくなっているが、解決した時のユーザーへのインパクトも大きくなっている。そういう意味では、面白くなってきていると思う。

kiba:昔はプロダクトが未熟だったから価値を無邪気に足していけば大きな価値になったけど、現状の一定成熟したソフトで既存ユーザの体験を損なわない上でさらに価値(楽しさ、楽さ)を増やしていくためには、現状freeeがどう使われてるか、どう使いたいかのユーザー理解が今まで以上に必要...と受け取りました。

ー freeeのデザインでいいところ・伸び代を1個づつ教えてください

DS:いいところ・・・最近新しく立ち上げているプロダクト、そういう意味ではいろんなリサーチをしてユーザーにぶつけてブラッシュアップされたものを見て、これからはこういう風にしないといけない、というのが見えてきているところだと思う。

ただ、やっぱり、歴史があるプロダクトは、解決しないといけない課題が多い。初期の頃は、とにかく早くやるんだ、を積み重ねてきた。これらを、ユーザーの課題にマッチしたものにしてゆくのは伸びしろだと思う。

あとは統合。統合体験というのに、本当に向き合っているインターネット企業はないんじゃないか、と思う。それこそ、マイクロソフトとかアドビとかGoogleとか、業務ソフトのメーカーは統合体験のお作法を定義している。1つ使えれば、他が使いやすい。日本だと、そこまでの統合体験を提供できていない、突き詰められていない、そこに挑むのは難しいことで、いろんな要素を考える必要がある。そこに挑むのは面白いことである。ここが伸びしろと考えている。

統合・統合体験とは
freeeの掲げる全社ビジョンである「統合型経営プラットフォーム」のこと。
https://corp.freee.co.jp/mission/

hinako:雑に聞いてしまいますが、佐々木さんがfreee人事労務のデザイナーとして入ったら、統合やるぞ、となったら、どういうアクションをしますか?

DS:雑だなぁw。
よく言われるのは、一般的な企業では、会計しか使っていない人が、人事マスタを直すのに人事労務に飛ばされるの、何でですかね?という部分、残念だけど機会でもある。
残念があるところは、もう少し気持ち良い体験にする必要があるところ。
freee人事労務を使うともうちょっと良くなるんだろうな・・・人事のことは経理の私はわからないが、こういうことできるんじゃないかな、とか期待を持てるようにして、統合体験をイメージするきっかけにできるんじゃないか。
その体験を経験している人が多いので、それを使えるようにしていきたい。

woz: UIとかイラストとかビジュアル面はどう思っていますか?

woz(22卒)

DS:コーヒーでお疲れさまでしたや、給与明細メールの毎月変わるイラスト表示は、たのしさスパイスを満たしていると思っています。ここ2年くらい、楽しさをもっと!と言っていて、もっと注入してゆきたい、と思っている。

たのしさスパイスとは freee デザインフィロソフィの1つ
「ちょっとしたアイデアや遊び心があり、生産性を上げる楽しさ」
https://brand.freee.co.jp/designphilosophy/#tanoshisa-spice

freee販売も、最後の最後に楽しさないじゃん、となって、案件ごとの収益性の可視化とか、見た目もワクワクさせていこうよ、となりクイックに対応できた。業務ソフトはついつい真面目にやりすぎて楽しさが抜けてしまう。
読み込みで燕が動くのもいいけど、ポイントや動きだけじゃなくて、コアなプロダクトの中身に入っていって欲しい。

ー 今後どういうデザイナーが増えて欲しいのか

DS:さっきの話だけど、ユーザー理解、顧客理解みたいなのと、とはいえ今までのやり方だと根本的には変えてくのが重要になっていく。変えるにはメンタルコストが掛かる。どうやったら変えていけるのかを積極的に考えられる、顧客解像度とどう変わっていくのかを考えられるのが重要だと思う。

あとはブランドコアも立てたので、それを形に移していきたい。
特にたのしさスパイスがまだ少ないので頑張って注入していきたい。

ー 新卒デザイナーにフォーカスすると、どんな人が増えて欲しいですか

DS:むっちゃ好奇心旺盛な人。
マニュアル作り直してみようは面白かった。
(UXデザインを)色んなことに応用してみるのはfreee全体の考え方に影響すると思う。UXはみんなで考えるのに影響していくし、アウトプット思考で形にしてみるをして欲しいと思うところはある。

マニュアル作り直し
インタビューやユーザーテストなどを行うことに特化した会議室の機材の操作や準備のマニュアルを、HCDプロセスを利用し、実務に則ったマニュアルをwozとyoshi2が作成した

会議室のマニュアル

kiba:特に新卒なのはなぜですか?

DS:freeeのカルチャーである「アウトプット思考(まず、アウトプットする。そして考え、改善する。)」できるは癖みたいなところがある。
freee社内でカルチャー体現をしてくれてるのは新卒の人。
周りに影響を与えていくというのもあると思う。
freeeのカルチャーを体現する人として活躍して欲しい。アウトプット思考は大切にしている。
ユーザーに大切にする。ぶつけるも大切だと思う。
いちいち実装してぶつけるんじゃなくてスケッチとか作ってアプローチも取れるともっとアウトプットPDC取れるようになる。そういう動きができると顧客解像度上がっていく。デザイン観点でそれが上がっていくのはわかる。

hina:最初新卒研修を受けた時に「なぜ新卒を採っていると思いますか?」という質問をされたが、その答えをもらっていないですw
自分的には新卒は真っ白だからfreeeのカルチャーを体現しやすい人材だからかなと思った。

DS:そう思いますよ。
やっぱり中途の人は一定の経験値があって、組織拡大には必要不可欠。
一方で、そうするとロジックが色々、前の会社だと〜みたいな話になったり、自分たちがどうするかの話が少なくなる。
freeeってこうだよね、こういう人を排出したいよね、って言うのを考えて、そんな人材であることにプライドを持って、それ自体に価値があるし、周りの人にも刺激があると思っている。

ー インタビューを終えて、これからの活動

freeeは「スモールビジネスを、世界の主役に。」をミッションに掲げ、統合型経営プラットフォームを開発・提供し、だれもが自由に自然体で経営できる環境をつくっていきます。
その環境をプロダクトを通してユーザーへ届けきる、ユーザーサクセスのためのデザインをしていきます。

これまでも色々チャレンジをしてきましたが、
ユーザーや業務内容の理解をもっと深めること、生産性を上げる楽しさの注入など、まだまだチャレンジは続きます。
これからのfreeeプロダクトデザインを楽しみにしていてください。
読んでいただき、ありがとうございました。

明日はデザイン基盤チームのリードデザイナーとして活躍している ymrl さんです、お楽しみに!


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