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切り捨てられる少数派

【確率論】

「たぶん、正規分布の両端のほんの数パーセントに入る人で
忙しいことを理由に切り捨てようと思えば
簡単に切り捨てられるくらい少数派だと思います」

もし過去の延長に未来があると予想するAIだったら、
何の実績も持たない学生など高い確率で切り捨てているだろう。

TwitterでDMをくれた薬学生のことを
僕は新店舗の保健所の立ち入り検査の時に、
保健所の担当者に相談した。

見たことも会ったこともない、
SNSでしか繋がったことのないオジサンにDMを送ってくれたその子の勇気と行動力を
簡単に切り捨てたくなかった。

保健所の担当者が
「そういう熱量のある学生さんが
これからの薬剤師業界を引っ張っていってくれるんですよ!」
と公務員とは思えない程熱くなっていたのが印象的だった。

その薬学生とは1月5日に会う予定になっていた。

事前にどんなことをやりたいかはDMでやり取りし、
漠然と僕の中ではイメージしていたが、
それは僕の力だけでは解決できそうになかった。

僕の苦手な組織(薬剤師会、行政等)の力が必要な気がした。

僕からその薬学生に提供できることを事前に考えてはみたが、
経営的な話や僕の薬局の話くらいしか頭に浮かばす、
その薬学生がおそらく満足してくれそうなアイデアが出てこない。

知り合いの薬局経営者やキャリアコンサルタントにも相談したりもしたが、
まずはその子がどんなことがしたいのかは会ってみないとのわからないと。
もっともな意見だ。

結局、僕は具体的な提案もできずに1月5日を迎えた。

会った瞬間に感じた。

僕の予感は当たった。
きっとこの子達が将来助けてくれる。

僕がここでおかしなアドバイスをして可能性を摘んでしまったなら、
この子の中の薬剤師全体のイメージが悪いものになってしまう。

この子の可能性を潰してしまうのは、
将来の自分の首を絞めることを意味する。

熟した果実を収穫するのは誰にでもできる。

熟すかもしれないし、熟さないかもしれないモノに価値を見出して、信じて、思いを込めて水をやる。

それができない人は、機械化される。

確率論は機械に任せよう。

コメダ珈琲でホットミルクを飲みながら、
僕は知恵を絞った。

僕はコーヒーが飲めない。


【対談×(バツ)、トークセッション○(マル)】

話をしていると、
就活カフェだとかクラウドファンディングだとかオンラインコミュニティーだとか、
僕にとってはかなり別次元のことがその学生の中では日常のようだった。

お互いにいろいろなアイデアを出し合いながら落ち着いたところは
薬剤師と薬学生を対象にした「薬剤師(僕)と薬学生(その子)の対談」。

僕が「対談はなかなか良いですね」と言うと、
その子はすかさず「トークセッション」と言い換えた。

根底には国民の医療リテラシーを高めたいという想いがあり、
「一般市民に向けた薬局の利用方法、薬剤師の活用法」
をテーマに上げたかったようだが、
今の僕らだと集客の段階で失敗するリスクが高いと伝えた。

それに、きっとそのテーマは他の薬剤師もやっているだろう。

最近では、大学も市民に向けた公開講座をやっていたりする。

僕やその子にしかできないことを提供したい。

まずは自分達に一番近い薬剤師や薬学生にアプローチをかける。

そこから少しずつ輪を広げて、
最終的には医療に限定せずにいろんな職業の人を繋げていきたい。

「薬剤師×薬学生のトークセッション」
はその足掛かりとしては良い落とし所だと思った。

このトークセッションでは参加者に
「将来の選択肢を狭めないで」
「薬剤師にもこんな未来があるよ」
そんなお土産を持って帰ってもらえたらと思っている。

そして、僕が一番驚いたのは学生の次の発言だ。

「いつやりましょうか?」

その学生は知っているんだろう。
今、日程を決めておかないとこのイベントが実現しないことを。

見抜かれた…
本当に大したものだ。

「夏休み企画的に8月下旬か9月には開催したいですね」

ということで、Twitterでは文字数の都合で8月としたが、
本当は8月下旬から9月に開催することになった。

トークセッションのお題はTwitterで募集し、
当日にもリアル質問箱のような形でオンラインとオフラインでやれたらと話した。


【参加費の徴収】

僕もその学生も対談で儲けようなどとは一切考えていない。

ましてや会場はリンク薬局(極狭のため20席程度)なので、
イベントをやるだけで他の薬局と差別化できるため僕にとっては十分な報酬だ。

薬剤師会はもちろん、保健所に案内を送る。
プレスリリースも打つ。

金銭的報酬が不要な二人で、参加費を取るか取らないかを考えた。

薬学生「100円でも200円でもいいから参加費をとって、
参加者にコスト意識を持たせて、モチベーションを上げたい」

稲田「大人(社会人)としては学生からはお金を取りたくない」

考えた結果、
「大人(薬剤師)が学生(薬学生)の参加費を負担する」
ということになった。

例えば、
薬剤師→1000円(薬学生一人分の参加費を含む)
薬学生→実質無料(本当は500円)

こうすることによって
コストに敏感な意識高い系が集まるだろうという計算だ。

薬学生は実質無料だが、
それは見ず知らずの薬剤師が払ってくれているから。

参加してくれる人はきっとこの意味を理解してくれると思っている。

参加費は全額、勇気と行動力で僕にDMをくれた薬学生の
対談(トークセッション)の報酬にしようと提案した。

その薬学生には断られてはいるが、
参加費(報酬)でまた何か別の経験をしてくれたら何より嬉しい。

今後は密にコミュニケーションを取って、
お互いの頭の中を繋げようと話して、その日は別れた。

ここまでで、およそ2時間だ。
なかなかの意思決定スピードだと思う。

【想定外】

帰りの電車で僕はこうツイートした。

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【募集】
今年の8月に薬学生(@ayumin_Mii)さんと対談することになりました。

『薬剤師×薬学生(仮)』というトークセッションを行います。

薬剤師、薬学生ならどなたでもお越しいただけます。

内容はこれから詰めていきますので
「こんな話を聞いてみたい!」
ということがあれば、リプください(^^)
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そんな中、こんなリプライが…

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福岡在住なのですが、実習二期の都合に合う日程でしたら、参加させていただきたいです!\( 'ω')/
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会場になるリンク薬局は大阪の豊中というところにある。

遠い、福岡遠いよ…

交通費だけで3万くらいかかるのでは?

対談の薬学生さんにはまだ話していないが、
薬剤師からもらった参加費は
遠方から来てくれる学生さんの交通費にあてようと思っている。

もしかしたら、薬剤師の参加費をもっと上げるかもしれない。
クラウドファンディングで資金調達するレベルの話になってくるかもしれない。
※スポンサーさん大募集!

なるべくオンラインで繋いで、
皆さんの負担にはならないように設計するつもりだが、
どこまでやれるか…


「調剤薬局だから、薬剤師だから、業務で忙しいから」
なんていう言い訳を僕はしない。


僕は明日、近畿厚生局に保険指定の申請に行く。


移転なのに遡及申請ができないから、全部新規開局扱い。


旧店舗は廃止届のオンパレード。


麻薬は新店舗に譲渡しないといけなかったりで細かいことが苦手な僕の頭の中は最高にパニックだ。


ここにきて在宅患者さんの新規の紹介が立て続けにあった。


正直、キャパを越えている。


でも、今タネを蒔かないと夏や秋に芽が出ない。
収穫できない。


だから、一番しんどい時こそ、あえてタネを蒔く。


芽が出ることを信じて、水をやる。


このトークセッションの打ち合わせの経過は
定期的にお知らせします。


日時も決まり次第、Twitterで流すのでご確認ください!


今年の夏、
「薬剤師×薬学生のトークセッション(仮)」で
たくさんの方にお会いできるのを楽しみにしております!


対談する僕と薬学生さんのTwitterのユーザー名は@shinichiinadaと@ayumin_Mii。

是非フォローしてみてください。



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