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一幕ビッグラブ!!

劇団森4年代(収録時)の高場航大です。

2021年度本公演『今夜もあなたと歌いましょう』では、1幕の演出を任されました。

見所紹介のような、若干の解説のような文章になると思われますので、ネタバレなどはお気をつけ下さい!(追記:この文章が出ても、まだ本編映像は公開されていないみたいなので、公開されてから読むことをオススメします!!)


ーーーーーーーネタバレ注意線ーーーーーーーー


さて、早速初めていきましょう。
1幕の全体としてのテーマは「愉快な音楽に覆われた家族の歪み」といった感じで主宰から指示を受けました。

なので、音楽の使い所、使い方には気を遣いました。少し紹介させていただきます。


ウズメが出会う音楽

1幕の最後で、ウズメ(本作主人公)は最終的に閉塞的な家を出て音楽のためにアメリカに旅立ちます。

彼女が触れる音楽も、家庭で聞かされる教育番組の歌→外の世界のヒット曲(実は1幕は2016年の話なので、その年の曲を持ってきてます)→アメリカの音楽、と彼女の動きに合わせた順番になっています。

教育番組の歌のところは、主宰が絶対やりたいと言ったかなり衝撃的なシーンです。やばいですよねここ。うっすら聞こえる歌詞はプレ稽古(本格的な稽古が始まる前のワークショップ期間)でみんなで考えたみたいです。フリは確かイロハスです。

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アメリカ音楽と会うところは、この物語全体のキーパーソンであるミミコと出会うシーンでもあります。大事なシーンなので、照明もSEもモブもつぎ込んでいますね…。ウズメのワクワクを感じ取ってくれたら嬉しいです。

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雨埜家の音楽

ウズメのいる雨埜家はなかなかに歪んだ家庭です。1幕はウズメ視点である、かつ家族崩壊までウズメは家族の歪みを自覚しないので、雨埜家の気持ち悪さや歪みが仄めかされるシーンはウズメの視点の外か、愉快な音楽で覆い隠されています。

雨埜家と音楽のシーンを紹介していきます!

最初は、夕飯のシーンですね。気持ち悪い儀式と食べ方も、楽しい音楽と踊りで可愛いシーンになりました。

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後片付けのシーン。子どものいないところで、大人たちが会話をします。個人的にここの演出は大変頭を悩ませました。断片的な会話、同音異義のセリフ、盆膳の片付け、やる事多すぎる!

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最後は家族崩壊のシーン、1幕の最高潮です。実際にみんな合奏してます。歌唱班長の指導の元、沢山練習しましたね。これは劇場で生で見ていただきたかった!!一枚絵としての迫力や、一人一人のキャラ立てなど、大事な要素は沢山あるのですが、演出をつけていてとても楽しかったシーンですね。

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まだまだ話したい事はあるのですが、もう本当に止まらないのでこの辺にしておきます。演出意図というものは全て観客に届くものではありません。しかし、演出を作り込めば様々な意味で演劇の強度が上がると思っています。例え気付かれなくても、芝居の説得力や、安定感を支えるために我々は心骨を注いでいるのです。


とまあそれっぽいことを書いたのですが、これは劇団森本公演なんですよね!某テニヌとか、会いたくて震えてるところとか、全体の演出に縛られずオモロいから音楽をぶち込んでいるところもあります。普段絶対しないSEの使い方もします。身も蓋もないけど、面白い!楽しい!で本当は十分です。

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演劇楽しいね!!


最後に

今回、演出家として役割を与えられました。演出家って何をする人なんでしょうかね?いろんな人に聞いてみたいです。

実務的な役割はたくさんありますが、気持ちの話をすると、演出家は、脚本、役者を一番信じて愛する人だと思っています。この劇は面白いんだ!ということを役者にも、スタッフにも、観客にも、持てる手段を全て使って伝えます。自分は口下手で不器用なので、ちゃんと出来たかはわかりませんが本当に本当に1幕大好きです。ここでも言います、1幕はとても面白いですよ!!!観てね!!!

最後に2

書き足りなかったのでもう一つ。
自分は今まで少なからず演出を務めましたが、全て脚本家のおまけとしてやっていました。演出としての自信があるわけではなく、本業は脚本家の自認がありました。

本当は今年の本公演の脚本を書きたかったし、演出はイロハスや酒井に任せたかった。

でも、きっとそれを知りながらも主宰はこの役割をくれました。結果、演出家にならなければ出会えなかった脚本と役者とスタッフが居て、演出家にならなければ過ごせなかった時間がありました。今はそのどれもがとてもかけがえのないものになって、心からやって良かったと思っています。最後まで新しいことには挑戦してみるものですね。皆さま本当にありがとうございました。


さて、内向けの話しちゃいましたが、演劇は観客がいてこそです!!1幕に限らず、面白い公演になってると思います。是非是非楽しんで頂きたいです〜〜!!


1幕演出、高場航大でした〜!

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