海の生き物を飼う③

嫌な予感がしていた。先日、別の場所で飼っていた金魚が死んでしまった時と似た状況が我が家の水槽でも起きていた。水槽が濁っているのである。これを見かねた妻が水を入れ替えてくれたのだが、その後は、今度は水槽が紫色に濁り、最終的には黒に近い色になっていった。またあの時と同じことが起こる。危惧していたが、それが現実となってしまった。可愛がってきた海の生き物たち達が全て死んでしまったのである。水槽の中で元気にトゲトゲを動かしていたウニちゃん、鉢を隠れ家として牛耳っていたなまこちゃん、誰よりも水槽の中での陣取り合戦で勝っていた巻貝ちゃん、一度水槽から脱走したいつも泡をぷくぷくさせているカニちゃん、そして、みんなのアイドルハゼちゃん。この5種類の生き物が狭い水槽の中で仲睦まじく生きている姿が何とも愛らしく癒されていたのだが、もうこの姿を見ることができないのかと思うと寂しくて仕方がない。私が家に帰ってきた頃には水槽が全て綺麗に片付けられていたので、全てを処理した妻がはどれだけ辛かっただろうか。妻の話によると、水槽を片付けてから、いつもなら一度寝るようだが、昨日は気が狂ったように買い物に出かけてしまったようである。大切な人が死んでしまったらどうなってしまうかという話で盛り上がったが、それぐらい海の生き物たちの死が私達の心に穴をあけたことは間違いない。これと同じ気持ちを娘にも味わってもらいたかったのだが、私達大人が先走ってしまい、色々なものを用意して育ててしまった結果、娘にとっては何も学びのないものになってしまった反省である。昨日の時点では、これから何を楽しみに生きていこうかと喪失感に浸っていた私であるが、日記を書きながら別の生き物を飼うのはどうかと思うようになってきた。せっかく水温調節ヒーターなどを新たに購入したのでこれを使わないてはない。今回の反省として思ったのは、海の生き物を飼うのは、メダカを飼うのをレベル1としたら、レベル50ぐらいのことをしたのではないかというものだった。そもそも私達には海の生き物を飼う資格というか、スキルがなかったのである。だとすれば、来年に向けて今からスキルアップをする必要がある。今回は私達が全て決めるのではなく、娘の意見を聞きながら、娘の手柄としていくことにしたいと思う。できることなら、買うものだけでなく、水槽のレイアウトも決めてほしい。そして、餌やりや日々の水質管理、水槽の掃除も娘ができるようにしていきたいと思う。まずは週末にこの話を提案してみよう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?