【共通テーマ】学生時代

この記事はスパンキーメンバー数人が同時に同じテーマで記事を更新するというコラボ企画に参加した記事になります。
今回のテーマは『夏』で、参加者は『ひこーき雲佐藤』『センサールマン山崎仕事人』『高田』『ボーカル』『クリスピーチーズ市川』『純情ポパイ昨今まれに見る山田』の6人です。

「学生時代」【エッセイ】

 小学生の頃のことを学生時代と呼べるのかどうかは分からないが(学生という文字が入っているのだから差し支えない気がしないでも無いが)、当時のことで印象に残っていることがいくつかある。その頃の僕は勉強自体は苦手ということもなかったのだが、集団行動や課外学習といったような、机の上以外でする催しがひどく苦手だった。確か1年生か2年生の頃だったと思うがクラスの生徒たちが個々にが鉢をもらい、フウセンカズラを育てるということがあった。ご存知の方も多いと思うが、フウセンカズラはつる性の植物で鉢に支柱になる細い棒をたて、つるをヒモでそこにくくりつけ固定してやらないことには上手く育たない。しかし僕には、どうにもその支柱につるを固定する作業が上手く出来なかった。今になって思えばどうしてそんな簡単なことがとも思うのだが、小学生の僕にはどうしてもみんなのように上手く鉢の中でフウセンカズラを立たせることが出来なかった。先生の説明を聞こうとするのだが、肝心の“コツ”のようなものが右耳から左耳へ抜けていってしまう。自分の興味のある分野の学習は進んでするのだが、こと興味の無い分野となるとからっきし駄目だった。国語の本を読むのなんかは好きで、新しい学年になって新しい教科書を貰うと数日で読んでしまう。図工の時間には消防車の絵を描いて表彰されたこともある(どういうわけか図工は嫌いではなかった。フウセンカズラのつるを支柱にくくりつけることが出来ないにもかかわらず。おそらくその両者には目に見えない境界線でもあるのだろう)。しかし集団行動や大勢で行う球技、そして鉢植えなんかは僕の大いに苦手とするところだった。やがてひとり、またひとりと自分の鉢を完成させた生徒たちが教室に戻って行き、ついには校庭の鉢置き場に残されたのは僕を含め2、3人になってしまった。そしてその2、3人の中にはクラスでも明らかに問題児とされ、授業を妨害するような素行の悪い子どもも含まれていた。普段の僕は大人しく、大人の前では「いい子」でいようとするような子どもだったので、授業中うるさくされたり、先生を怒らせたりするのを少なからず迷惑に思っていたのだが、今こうして数人の生徒しかいない校庭に一緒に取り残されていると、僕は彼にまるで外国で偶然知り合いに出会ったかのような万感の親しみを覚える事になった。普段日本にいるときの無沙汰を詫びたくなるような心持ちだった。どれくらい時間が経っただろう、いつまでも鉢を完成させることの出来ない僕たちに痺れを切らした教師が、「もう、いい。あとは各々放課後に作業をしなさい。鉢が完成次第、職員室まで先生に見せに来て、許可を貰ってから帰ること。」そう言い残してスタスタと校舎の方に歩いて行ってしまった。そこで僕たちも渋々作業を放課後まで後回しにして教室に戻らざるをえなかった。しかし僕にはひとつ気掛かりなことがあった。塾である。学校が終れば僕はすぐに家に戻り、支度をして塾に行く予定になっていたのだ。しかし、鉢植えが終わるまで帰ってはならないと教師は言う。結果僕はどうしたか。鉢植えをほったらかしてアッサリと帰ってしまった。さほど塾を大事に思っていたわけではない。塾を口実に鉢植えから逃れたかったのだ。翌日もちろん教師はなぜ鉢植えをそのままにして帰宅したのかとなかば唖然として尋ねて来たが、「あの、塾があって、どうしても帰らないと行けなくて…」と僕がポツリポツリと言い訳すると、「もうコイツには何を言っても仕方ない」という風情で諦めてしまった。今でも僕は何か自分の手に余ることや興味の持てない厄介ごとに対しては何かそれらしい理由をつけて逃れようとするし、そのあたりの姿勢はこの頃から変わらないらしい。集団行動や球技は未だに苦手だ。鉢植えに関しては分からない。他にも学生時代の印象に残っている出来事はいくつかあるが、文章が長くなったので割愛する。またの機会に。

#スパンキー共通テーマ

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