「随筆文」の存在感の無さは異常

「物語文」と「説明文」というツートップの陰に潜んで、存在感をいまいち出せていない文章の話でもしようと思います。

そう、「随筆文」のことです。

中学入試でも当たり前のように出てくるし、普段の塾の授業でも当然扱っていますが、なんとなく子どもたちの記憶に残りにくいらしく。

ある保護者の方から
「○○中では随筆文が出題されるらしいんですが、うちの子が授業で習ってないって言ってまして…。もしよかったら対策してもらってもいいですか?」
という要望が来たこともありました。

まるで
「今年から神大附属中で作文が出題されるみたいで、今まで作文なんて書いたことなくて…。対策をお願いしたいです」
といった雰囲気で。
あるいは
「SFCの国語である大問で癖のある出題があって、何をどう対策したらいいのかまったく分からなくて…」
のような絶望感。
または
「都市大附属中でまさか詩の問題が出題されるなんて思ってなくて、解いてみたら全然できなくて…どうしたらいいでしょうか?」
のような切羽詰まった感じで言われたわけなんですが。

こちらの答えはシンプルに三つ。
「授業で扱ってます。実は最近も扱いました…」
「指導不足で申し訳ありません」
「もちろんアドバイスさせていただきます」
になってしまうわけで。

ここまでくると、生徒や僕が悪いとかではなく、存在感がなさすぎる随筆文が悪いのでは?と思うようになってきまして。

いっちょ随筆文とは何か、という当たり前の話でもしてみようかなと思いました。

いきなりですが、随筆文とは「筆者が経験したことを書いた文章」です。

以上です。ここまで読んでいただきありがとうございました。

嘘です。

まだあります。

先ほども書いたように、随筆文は筆者が経験したことを書いた文章なんです。

…なんですが、筆者もプロですから、夏休みの宿題に出された日記みたいな"なんでもない"出来事を書くわけにはいきません。

だから、そこに「気づき」や「学んだこと」や「筆者なりの感じ方や意見」を入れてオリジナリティを出そうとしてきます。

つまりこんな感じです。

「筆者が経験したことから、何かしら感じたことを書いた文章」

これが随筆文です。

筆者の目線で書かれるので読みやすいものが多く物語文的です。
また、「筆者なりの意見や感じ方」を読み取らないといけないので説明文的でもあります。

「物語文と説明文を足して2で割ったやつ」みたいな感じです。
もしくは
「見た目は物語文、頭脳は説明文、その名も随筆文!」みたいな感じです。

そう、名探偵コナンみたいなやつを随筆文だと思ってください。

で、ここからは随筆文を解く時に「あれれぇ〜!!」ってなったり「気づいたら演習時間終わってましたー」という眠りの小五郎状態にならないように、どんな感じで読解したらいいのかの話を。

「随筆文」で検索をかけると色々分かりやすく説明しているものが出てきます。

そちらのいくつかのサイトを見てもらえれば非常に詳しく説明されています。
受験のサイトであったり、塾が書いているものがあったりどれも役に立ちます。

ただ、詳しいからこそ、かえって「随筆文の読解って難しそう」という印象を与えてしまうものもいくつか見られました。

そこに大体共通しているのは「読解する時は事実と意見を分けて読みましょう」という内容です。

僕が思うに、これを小学生に課すのは少々荷が重いです。

なぜならやらなきゃいけないことが2つもあるからです。

・事実は何かを考える
・意見は何かを考える

これを小学生に伝えてもおそらく読めるようになりません。
特に国語に苦手意識を持っている子には逆効果かもしれません。

苦手意識がない子でも、なんとなく分かった気になって、結局「意見だと思ったところが事実でした(泣)どうやって事実と意見を見分ければいいんですか?」みたいな質問が飛んできます。

大事なのは1つだけです。

「とにかく、筆者の意見(感じたこと・学んだこと・気づいたこと)に注目すればいい」

これだけです。

事実を見つける必要はありません。
だって筆者が体験してること、それ自体全て事実なんですから。
そもそも「事実」って言葉を使うから、「え、事実じゃない内容も混じってるの?」とか変な誤解を生むんです。

ウォーリーを探せ、と同じです。

ウォーリーとウォーリーじゃないやつを分けて探してください。
って言われたら困りません?

ウォーリーだけ見つけてください。
でいいんです。

ウォーリーじゃない奴は注目しなくていいです。「これはウォーリーじゃない」程度でいいんです。

ちなみに随筆文は、筆者の体験・事実が80%、筆者の意見が20%くらいの割合で書かれています。
(これは僕の独断ですし、10%程度の誤差はありますが、どの文章もこんな感じです)

だから、その20%の「筆者の意見(気づき、学び)」を探してやるだけでいいんです。

随筆文の内容理解はこれで充分です。

まとめると…

随筆文は、名探偵コナンがウォーリーを探す文章です。

というのは冗談で。

随筆文は、「筆者の体験を通して筆者が学んだことや気づいたこと」が書かれている文章のことで、大事なのは「筆者の意見(学び・気づき)」を読み取ること、です。

以上です。今度こそ本当に。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


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