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#トキ体験 を創る 2021.12.28

12/28 要約
アメリカの経営学者バーンド・H・シュミット氏はCX(顧客体験/経験価値)では5つの分類で顧客の体験・経験価値を提唱している。
・Sense(感覚的価値)
・Feel(情緒的価値)
・Think(知的価値)
・Act(行動、ライフスタイルの価値)
・Relate(社会的経験価値)
「その時・その場の盛り上がりを楽しむ体験」としての「トキ体験」の様々な考察と合致する部分が多い。社会が豊かになり様々なサービスやイベントが”氾濫”するなか「体験設計」の難易度は高まっている。サービスやイベント等の提供者側が顧客の体験・経験価値を高めることをより意識して企画・運営・そして検証のサイクルをまわしていくことが重要である。

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験を構成する要素を様々な側面から考察してきました。

・時間
・空間
・一体感
・距離感
・安心感
・平等感
・組織の人格
・個人の人格
・所属欲求
・自己超越欲求
・時間という言葉
・雑踏と潜在意識
・TPO
・感動体験
・体験のCtoC
・コストとトキ体験
・パッシブなトキ体験
・エンゲージメント
・非同期コミュニティ
・心理的機能と体験設計
・プロセスとトキ体験
・オーナーレス社会とトキ体験

トキ体験の連続考察noteはマガジン化していますので、ご参照ください。

今回は「CX(顧客体験/経験価値)とトキ体験」について考察します。

CX(顧客体験/経験価値)とは

CX(カスタマー・エクスペリエンス)とは、アメリカの経営学者バーンド・H・シュミット氏が提唱した概念で、日本では「顧客経験価値」「顧客体験価値」と訳されています。

顧客が商品やサービスに興味を持った段階から調査・検討を経て購入、使用、購入後のアフターサポートに至るまでの、顧客が商品に接する流れのなかのすべての体験を指します。

CXの概念では顧客体験における感情的な価値を、

・Sense(感覚的価値)
・Feel(情緒的価値)
・Think(知的価値)
・Act(行動、ライフスタイルの価値)
・Relate(社会的経験価値)

の5つに分類しています。このCXの概念に沿って、これまで述べてきた「トキ」体験を考察してみます。

CXとトキ体験

それでは、CXの5分類に沿って「トキ体験」を考えてみます。

・Sense(感覚的価値)
視覚・聴覚・味覚・嗅覚・触覚の五感を通じて得られる経験価値です。おいしい料理、心地よい音楽、手触りの良さなどの感覚を通じて価値を感じます。

【前提】
オフライン(リアル)での体験では、五感に訴えることが可能ですが、オンラインの場合は(視覚・聴覚の)「二感」のみとなります。

【事例】
<店舗など>
・(視覚)イベントスペースに設置された動物のオブジェ
・(嗅覚)駅や百貨店の出入口のベーカリーショップ
・(嗅覚)ホテルのロビーなど共用部のアロマ
・(聴覚)飲食店の雰囲気に合ったBGM

<イベント>
・(視覚)出演者の服装、髪型など
・(視覚)デザイン、ロゴマーク
・(聴覚)出演者の話し方、トーン
・(聴覚)シーンに合ったBGM

・Feel(情緒的価値)
顧客の感情・内面に働きかける経験価値です。嬉しい、かわいい、感動する、安心する、など心を動かされる経験を言います。

【前提】
顧客の価値観によって感じ方や満足度は異なるため、NPSなどを用いた定量データを取得し仮説→検証のサイクルをまわす(まわし続ける)ことが重要です。

【事例】
<店舗など>
・思いもよらなかった仕掛け(ニクい演出)
・臨場感が高まるライブキッチンからの匂い
・BGMがバースデーソングに切替わる

<イベント>
・細部まで作り込まれたアートワーク
・抑揚のある盛り上げのトーク
・SE(効果音)や情緒的なBGM

・Think(創造的・知的価値)
顧客の創造性や知的欲求、好奇心に訴えかける経験価値です。たとえば、知的欲求が刺激される、興味をひかれる、自分自身を高められるというように、知的好奇心を満たしてくれる経験がこれにあたります。

【前提】
その「体験」の前に共有できるような仕組みが望ましいでしょう。例えば、その体験の「社会的な価値」や「希少性」、参加者との心理的なつながりを事前に構築できるようなコミュニケーションの実施などです。

【事例】
<店舗など>
・一見では意味のわからない(意味深)アートやオブジェ
・一般的に売られているものとは違う特製アロマの匂い
・コンセプチュアルなBGM(民族音楽など)

<イベント>
・統一性のある色や形のデザイン
・高音質な「声」(集音)

・Act(行動、ライフスタイルにかかわる価値)
今までにない体験や新しいライフスタイルの提案など、行動における新しい価値を提供することです。たとえば、体験型のアクティビティといった身体を通じて得られる経験、やったことのない習い事体験などがあります。

【事例】
<店舗など>
・毎月1回は、年に1回は、と思うような特別な体験提供
・料理の工程の「最後」を客側が行って完成する提供方法
・「食べたことないけど試してみよう」と思わせる接客
・その店の「客だった人」が「店の人」になる

<イベント>
・その後の「行動」につながる感動体験
・イベントの参加者から運営者への転換
・参加者がさらなる参加者を呼ぶ体験

・Relate(準拠集団への帰属価値・社会的経験価値)
特定の集団に属することで得られる経験価値のことです。たとえば、ファンクラブや限定イベントへの参加など、帰属することで特別感を得られる経験がそれにあたります。

<店舗など>
・完全招待制「お得意様だけ」の日
・同業者による勉強会・視察の実施
・地域活性化を掲げたコミュニティ

<イベント>
・有料化(モチベーションの均質化)
・コミュニティ化(視聴ではなく「参加」)
・主体化(自分のライフワークだと思える化)

記憶に残る体験の設計

このように考察を重ねると、イベントやセミナーを単に「やるだけ」として「こなしている」ケースの増加が視聴者(参加者)側の「幻滅」を呼んで負のサイクルを起こしているという可能性があります。

CX=顧客体験/経験価値という、根源的な「相手目線」を意識して店舗、イベント、サービス等の「体験設計」を行うことが求められています。

<イベント・セミナー>
→「コンテンツ」の一方的な提供

<店舗・各種サービス>
→「サービス」の一方的な提供

の段階から、

<イベント・セミナー>
→(良い意味で)「巻き込まれた」参加者の次の行動を促す体験の提供

<店舗・各種サービス>
→今度は自分がそこで「働いてみたい」と思えるような体験の提供

のように「ネクスト・アクション(次の行動)」を促すための体験設計が求められているとも言えるのではないでしょうか。

社会が豊かになり様々なサービスやイベントが”氾濫”するなか、

記憶に残る体験

を提供できるか否かが、競争環境における「勝者」になれるかどうかの分かれ目でしょう。特に誰でも、いつでも、簡単にできてしまうオンラインによるイベントの体験設計はとても難易度が高いものであると考えています。このnoteを読んでいただいた方と、ぜひディスカッションしたいと思います。

コミュニティリーダーたち のトークイベント

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

【トークイベント】コミュニティ放送部#7 (2021/12/28 20:00〜)

コミュニティのオンラインイベントが多く開催される中で「コミュニティの枠を超えて」イベントノウハウを共有しているコミュニティです!

「コミュニティとイベント」の未来を一緒に考えましょう!

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.29)

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