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地「方」ではなく、地「域」の時代へ

東京で生まれ育ち、新しいIT技術を日本で広めるエバンジェリストとして全国を飛び回りリアル(オフライン)におけるコミュニティ運営活動を経験、現在は福岡に移住しオンラインでの活動を積極的に推進している @shindoy です。かつての「対面が基本」でのコミュニケーションが行いづらくなっている現在、オンライン化がもたらす「地域の時代」を語ります。

この記事は #地方IT勉強会  地方IT勉強会 Advent Calendar 2020 の12/4 担当分です。

自己紹介

私は東京で生まれ育ち、ずっと暮らしてきました。公私ともに生活の全てが東京にあり、なんの疑問も持ってきませんでした。今でこそ福岡に拠点を移していますが、当時は東京以外で暮らすことなど全く考えていませんでした。2011年の東日本大震災が、東京という超巨大都市としての存在を「外からの目」で認識することになった最初の経験でした。原子力緊急事態宣言の発令と同時に、たまたま自宅に居合わせた開発仲間とともに自家用車に乗り、夜通し交代で運転し西へ西へと避難しました。その後すぐ神戸に拠点を移し、当時経営していた会社で受注していた大規模開発案件の業務を継続しました。

・地域おこし協力隊
2013年から約2年、中国地域で「地域おこし協力隊」に従事しました。これからは東京一極集中ではなく(自分の得意な)ITを活かして日本の各地域を活性化したい、そのための経験をしたいという想いからでした。行政と連携して、Uberの導入支援やSNSを通じた情報発信を手掛けました。

・OSSコミュニティ活動
2015年からは、アメリカ・シリコンバレーのベンチャーで日本第1号社員(肩書はカントリーマネージャー)になり、国内でOSS製品(ソフトウェア無償配布、サポートが有償)のエバンジェリスト的な活動を行いました。このなかで、日本全国約20箇所におよぶ各地の支部づくり、数多くのコミュニティイベントや勉強会を手掛けました。

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ここまで自己紹介(前置き)が長くなりましたが、紛れもなくこの東京と各地での原体験があって「私のいま」を形作っていること、そして「地域の時代」到来のための活動に協力していただける方と繋がりたいので、あえて書かせて頂きました。それは、このオンライン活用時代においては、

「東京が羨ましい」

という言葉(概念)自体が、どこかに消え去ってしまったからです。「東京にはIT勉強会が沢山あって、connpass等の集客サイトに多くのテーマで勉強会が毎日掲載されている。ここは少なくて東京が羨ましいんです。」よく各地でそう言われました。そのたびに、当時は自分がなんとか各地で開催してその助けになればと考え、行動していました。実際に「Meetup(勉強会)やりすぎ男」の異名もとりました。

オンラインならどの場所に居ても、どんな人生ステージ(子育て中など)の人にも、等しく「学び」と「つながり」の機会が分け与えられる時代が来たからです。もちろんリアル(オフライン)で会い、ときに名刺交換しながら初対面の人と共通の話題で会話することで得られる情報量の多さ、場のもつ「チカラ」や高揚感、熱量、没入感などに比べると残念ながらオンラインでは弱い部分があります。しかし、改めてオンラインのメリット面も多いのではないか?オフラインとオンラインを組み合わせていけば良い所どりになるのではないか?と考えてみる余地は大いにあると考えています。

オンラインがもたらす恩恵

2020年4月に実施したライブ配信の経験を書いた One 〜オンラインでセカイ(World)がひとつになった話〜 でも述べましたが、オンライン化によって様々な「差」が取り払われたと考えています。

・地理の差
・時間の差
・健康状態の差
・家庭環境の差
・知識の差
・能力の差
・興味の差
・立場の差
・年齢の差
・外見の差
・性差

これはコミュニティ活動にとって、大きなことです。私が先述の「全国行脚」で何度も言われ続けてきた「東京との差」が、無くなってしまったのですから。逆に言うとオフライン(リアル開催)至上主義は、その「場」に居合わせた(居合わせることのできる手段を持ち合わせた)人だけが果実を得るような「独り占め」のモデル。オンラインがもたらす「時空」の超越は、「後から入ってきた人も、ようこそ!」のモデルであり「みんなで共に進もう」の「オープン」性と平等性があります。

差をなくし、ひとつになる

さてここまで、しきりに「差」をなくすことを語ってきました。最後に私が全国を旅するときにこだわっていることをお伝えします。それは、

地「方」ではなく、地「域」

という表現です。発する言葉の上でも気持ちのうえでも、とても気をつけています。東京からみれば地「方」かもしれませんが、その地「域」の人から見れば自分の中心であって、生まれたところが一番の場所であることは間違いありません。そこに大きな敬意を払いたいのです。なのでどなたかにお会いするとき、私は「東京が一番」のような精神性をもってしゃべることや「東京だと〜」のように相対的な尺度で考えることを偏った恥ずかしい考え方だと思っています。そして私には、コンプレックスがあります。全国を旅し、様々なコミュニティ活動者の方々と出会い、言葉や食など多様な文化や価値観に触れるたびに「自分は最も『色』がない」ことを痛感してきました。「標準語」という単語、「首都」という概念、経済規模や人口など「何でも日本一」なのかもしれませんが、それはあくまで「相対的」な概念であり単なる「数字」でもあります。富、名声、便利な生活ができる場所にいること、生まれながらの境遇...。それらがその「人」の全ての価値なのでしょうか?人は誰でも人を愛し、絶対的な価値観をもって「これが正しい」と信じて生きています。なのに「物理的な限界」「金銭的な限界」が邪魔をして「なし得たかもしれない機会の創出」ができなかったら、本当に惜しいことです。それがオンライン化によって、可能になった、つまりもたらされた、いや、一部の人には「もたらされて」しまったのです。

オンラインで地「域」の時代をつくる

オンライン化を拒否する人は、過去の延長線上に今もあると信じてやまない人です。なぜなら2020年は過去が一気にリセットされた年であり、今まで何度も何度も「オンライン元年」と叫ばれた割には旧態依然とした考えややり方が残っていたものが強制力をもって速く変わったからです。いや「代わった」「替わった」のかもしれません。ハンコの廃止や「会うのが礼儀」から「基本は非接触へ」になったのですから。「対面」は色々な意味で非常に重要です。ただ今はそれがあまり出来ない。ならばオンラインを積極活用しない手はありません。オンライン化がもたらす多くの機会の創出と、様々な差の解消に向けて、特に(オンラインでの実施に)親和性の高いコミュニティをこれからも支援していきます。地域にとって、これからが本番です!

〆は再び私の現況のご紹介となりますが、2020年4月から本格的に活動を始め100件以上のライブ配信を行ってきたユニット「天神放送局」の活動や、その経験を通じて集客やコミュニティの熱量を高めるため生まれたマーケティング支援サービス #ライブ配信サクセス を行うため起業した会社「生屋株式会社」のサイト等をご覧いただき、私がなぜオンラインでのコミュニティ育成を支援したいのか?を感じ取って頂ければ幸いです。


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