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#ライブ配信の体験設計(1)「時間」編〜40分超過のウェビナーで感じたこと〜

視聴者に対しどのような体験設計をすべきか、ライブ配信の提供者として、また参加者として感じたことや考えていることを連載していきます。

「30分で学ぶ」→実際は70分

今や、沢山のウェビナー(ライブ配信)が毎日行われています。リアルでのMeetup(同じ興味を持った人が集まる勉強会・懇親会)を手掛けていたころから最大限に注意を払ってきたのが「時間」です。つまり「オンタイム」へのコダワリです。時間は誰にでも等しく与えられる「資源」だからです。

最近、自身がいち参加者となったあるウェビナーで予定を40分超過した例がありました。そのウェビナーは、

「30分で学ぶ○○」

とサムネイルに記載されており、申込後に送られてきた参加者用メールにも「開催概要」欄に 「19:00〜19:30」と明示がありました。しかし、実際には40分超過して20:10に終了しました。

70分の内訳

40分超過したウェビナーの時間構成は、以下の通りです。

19:00 挨拶→会社紹介
19:10 本編開始
19:40 本編終了→雑談開始
19:45 雑談終了→サービス紹介
19:55 質問タイム開始
20:10 終了

確かに「本編」は30分でした。しかし、あることが頭をよぎりました。視聴者は「19:00〜19:30」を想定して臨んだので、大幅に時間を超過したことにより途中離脱せざるを得ないという、

Badな体験

を生んだのではないか?と。そして更に「30分で学べてコンパクトにまとまっているありがたいウェビナー」という高い期待値を裏切ってしまったのではないか?と。つまり、

期待値泥棒

というネガティブな印象を視聴者に与えてしまったのではないか?と思いました。もし会社説明の部分を圧縮していれば30分できっちり終了した筈です。最初から質問タイム実施を想定していたのであれば、本編30分の後に10分程度で終わらせる方が印象は良かったかもしれません。更には、冒頭の会社紹介でしきりに

業界での受賞歴
○○でNo.1

などを強調し、本編終了後2度目となる自社(サービス)紹介部分でも輝かしい実績を織り交ぜて10分ほど説明していました。司会者が時間を大幅に超過している旨のごめんなさい的なフォローを行った際には「確信犯です!」という言葉もありました。家族との夕食、次の会議が控えていた人にはマイナスイメージとなりうる発言であると感じました。とくに、空腹の時間帯でしょうし。

GIVEとTAKEの割合

先述のウェビナーの時間構成を、視聴者に有益な情報を「GIVE(=与える)」部分と、自社の宣伝として時間を「TAKE(取る)」部分に分けてみました。

19:00 挨拶→会社紹介(TAKE)
19:10 本編開始(GIVE)
19:40 本編終了→雑談開始(TAKE)
19:50 雑談終了→サービス紹介(TAKE)
20:00 質問タイム開始(GIVE)
20:10 終了
GIVE=40分:TAKE=20分
→GIVEの50%がTAKE時間

よくビジネス会話の上でも「お時間を『取って』いただき〜」という表現をしますが、GIVE分の10%程度に「宣伝」は押さえたほうが対外的な印象は良くなります。現に、リアルでMeetupを実施していた時代も全体120分(2時間)のうち10〜15分(10%)程度は宣伝(スポンサーの会社紹介や求人)が参加者から許容されていた感があります。

GIVEファースト

本編コンテンツは非常に高度で、知らない概念や言葉を学べた素晴らしいウェビナーでした。しかし、そこには視聴者目線での

体験設計
GIVEファースト

という発想が無いように感じました。確かに素晴らしいご経歴、ご実績。でも観ている方としてはもうそんな属人的な「情報」には興味がない。ただあるのは純粋な

自己に有益な「コンテンツ」

への興味、であると思います。このオンラインウェビナー全盛時代に必要以上に視聴者へ「マウント」することはかえって逆効果なのでは?と考えました。これからのライブ配信ではこのような視聴者に対する心理的な影響への配慮や時間(構成)管理が重要になってきます。

自己紹介や会社紹介の「時間」

こんな経験はありませんか?Zoom飲み会やウェビナー後の懇親会で

この人の自己紹介、長いな〜

と感じること。オンライン会議やウェビナーが標準的になったいま「1秒の価値」はとてつもなく上がっています。有名大学・企業の過去の経歴を延々と語ったところで、この「数十秒の闘い」には勝てない。今は「直近」かつ「(その場の)共通コンテキストのある『コト』を紹介できるか」が重要視されます。もう、

ヒトの集中力は加速度的に下がっている
関心はヒトではなくコトになっている

のです。テレビのチャンネルをリモコンで頻繁に変えている時代なのです。自己紹介や会社紹介は、なるべく短めに行うことがライブ配信の視聴者側に立った「体験設計」であると言えるでしょう。

#ライブ配信の体験設計

これだけ「オンタイム」「時間を短く」などと述べてきましたが、体験設計として意図的に(本編の)開始時間を遅らせたほうが良い場合もあります。ただライブ配信のコンテンツ特性や視聴者属性によって「カスタマイズ」や「進行上の工夫」などが必要です。このような、より良い視聴者体験のためのご相談をお引き受けしています。ライブ配信の体験設計コンサルティングにご興味があれば、お問い合わせください。ご一緒に #ライブ配信の体験設計 を考え #ライブ配信サクセス を実現していきましょう。

(おわり)

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