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#トキ体験 を創る 2021.12.27

12/27 要約
これからの社会は水平分散的・非管理主義で様々な属性を超えた「コミュニティ」化していく。国内外でSNSを通じた善のミームが既存の大資本メディアを動かす時代が到来しより「オーナーレス」な社会となっていく。企業経営者、コミュニティ主宰者、イベント主催者などのあらゆる「主体者」はその属人性を排し(=オーナーレス)、「相手」主体で利他心に基づいた「体験」の創出を意識していく必要がある。

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験を構成する要素を様々な側面から考察してきました。

・時間
・空間
・一体感
・距離感
・安心感
・平等感
・組織の人格
・個人の人格
・所属欲求
・自己超越欲求
・時間という言葉
・雑踏と潜在意識
・TPO
・感動体験
・体験のCtoC
・コストとトキ体験
・パッシブなトキ体験
・エンゲージメント
・非同期コミュニティ
・心理的機能と体験設計
・プロセスとトキ体験

トキ体験の連続考察noteはマガジン化していますので、ご参照ください。

今回は「オーナーレス社会とトキ体験」について考察します。

オーナーレス社会とは

「オーナーレス社会」とは、

中央集権的・管理主義な上下の関係に基づく社会
から、
水平分散的・非管理主義な横の関係に基づく社会
地域や年齢の属性を超えた「コミュニティ」としての社会

の移行を端的に表す概念として考えた、自分なりの言葉です。

これまで、オンラインイベントを社会情勢から「致し方なく」行う受動的ものではなく「機会格差をなくす」ための能動的な手段として多くのコミュニティや企業のライブ配信を手掛けてきました。2020年4月のnoteでも、様々な差を超えた価値の伝達手段としてオンラインイベント、コミュニティのあり方を述べました。

「ライブ配信で機会格差をなくす」
様々な「差」を超えてつながれるオンラインのメリット
・地理の差
・時間の差
・健康状態の差
・家庭環境の差
・知識の差
・能力の差
・興味の差
・立場の差
・年齢の差
・外見の差
・性差

この「イベント(=出来事)」をリアルタイムで「体験」したことが、今日の「トキ体験」考察につながっています。

NEW POWERとミレニアル世代

オーナーレス社会への移行、つまり「水平分散的・非管理主義な横の関係に基づく社会」「地域や年齢の属性を超えた『コミュニティ』としての社会」について、原点となる考え方を与えてくれたのが「NEW POWER」という書籍です。

このなかでは「(インターネット)ミーム」という、既存の大資本メディアではなくあくまで一般民衆がインターネットのSNS等を通じて社会を変えていく力とまでなる現代の潮流について触れられています。

「ミーム(meme)」とは「文化の中で人から人へと拡がっていくアイデア・行動・スタイル・慣習」である。この語はリチャード・ドーキンスにより1976年の彼の著書『利己的な遺伝子』において作られた言葉であり、文化的情報の拡がる方法を説明するためのものだった。インターネット・ミームとはこの一般的なミームのコンセプトのうちインターネットの文化と環境に限定された部分にあたる。

この本では、様々なミームが社会変革をもたらす例が示されています。最近これに相当する事象が、日本でも見られるようになってきました。

この「ムーブメント」で特に印象的だったのが、既存大資本メディアのアナウンサーの発言が「善」のミームとなったことです。

このアナウンサーはいわゆる「ミレニアル」世代です。過去の慣習(集権的・管理的社会の価値観)にとらわれず「善」に基づく、よりよい社会の実現に関心を持っています。

ミレニアル世代は、1980年から1995年の間に生まれた世代と定義されています
SNSでの投稿や、それによる仲間からの共感を重要視しているミレニアル世代
ミレニアル世代は社会問題に高い関心を持つ傾向が見られます。具体的には気候変動や環境、人種やジェンダーに関する差別、貧困などのテーマです。ミレニアル世代が社会運動に参加することにより、SNSなどで注目される事例も現れるようになりました。たとえば黒人差別を問題視した「Black Lives Matter」の運動は、ミレニアル世代やZ世代がSNSを通じて主導したとされています。

また「NEW POWER」のなかでは、ムーブメントを支える考え方として「オーナーレス」という言葉が登場します。

「オーナーレス・ブランド」にする
慈善活動「#ギビング・チューズデー」のアイデアを起案したとき、ヘンリーは同僚たちの説得に手こずった。
「うちのロゴを入れないの?」
だが、それでは意味がない、とヘンリーは説明した。「#ギビング・チューズデー」に自分たちのロゴを割り込ませたりしたら、ほかの組織が活動に参加しようと思わなくなってしまう。それでは自分たちの狭い世界で流行ったとしても、それ以上に大きな発展は望めない。この活動を本気で広めたいなら、我々はオーナーになるべきじゃないとヘンリーは主張した。

このような新しい価値観の世代の前に、

中央集権的・管理主義な上下の関係に基づく社会

の世代は早かれ遅かれ「前時代」なものとなり、古い世代はますます「管理」したがる、というようにその「乖離」は広がるでしょう。

乖離(忌避)の例
・特定の人だけが喋る(オンライン)飲み会
・同じ人しかいない「コミュニティ」
・華々しいキャリア登壇者のイベント

また、ミレニアル世代の考え方にとどまらず広く日本の社会においても「オーナーレス」化が進んでいると推測できる統計があります。

オーナーレス化する日本

日本の国政選挙における投票率は下落傾向にあり、現在は国民主権の国家における約半数がその「主体者」を選ぼうとしていません。

国政選挙の投票率は、平成29年10月に行われた第48回衆議院議員総選挙では、53.68%、令和元年7月に行われた第25回参議院議員通常選挙では48.80%となっています。

社会情勢や個々の様々な理由や背景、失望感や無力感などがあるにせよ「選挙に興味がない」ということは国家のあり方に対する興味がない、ということでもあり現在のシステムが「時代に適合しない」ことの現れかもしれないということを示しています。

オンライン・ファースト化の流れ

自分以下の世代が全利用者の82%を占めるSNSプラットフォームにおいて、2021年1月からの利用開始で試行錯誤を繰り返した結果、12月までの1年で800人の新規フォロワーを獲得する結果となりました(単にフォロワーを増やすことに注力するのではなく、様々な「コアファン」の抽出と育成を心がけた1年を「試行錯誤」と表現しました)。

これは過去のビジネスや地域の属性「以外」の場所で全く新規に開設したSNSアカウントであり、言い換えればデジタルネイティブな世代のコミュニケーションのあり方としてまず「オンライン」でコメントやフォローを行う「つながり」からはじまる、

オンライン・ファースト化

を実証できた、とも言えるでしょう。このSNSでは社会に役立つ「目的」を掲げ、自分の人格ではなく「コト」「トキ(体験)」に焦点をあてた投稿を心がけてきました。結果的に、自分のアカウントを通じた(間接的な意味での)コミュニティの育成につながったと考えています。具体策としては先程の世代間「乖離」でも述べた例のように、

・特定の人だけが喋る(オンライン)飲み会

つまり「主体者」が決して「自分」にならないよう、

・自分の顔をSNSに投稿する

など「自分主体」の行為を絶対的な「禁じ手」として、注意深く「相手目線」と「社会貢献」を意識し大切にアカウントを育てました。その社会貢献が主題のコミュニティ。これこそが、

「場」のなきコミュニティ
時空を超えたコミュニティ

である、と確信しています。これからの社会を担う世代とともに、理想的・融和的なコミュニケーションのあり方を模索するには

中央集権的・管理主義な上下の関係に基づく社会

の思想をまず捨てる勇気をもつことが、何より重要であると考えています。特に経営やコミュニティなどの「権力者」は意識することが必要です。

「権力欲は強さでなく弱さに根ざしている」
エーリッヒ・フロム(社会心理学、精神分析、哲学研究者)

同じように、その場の、そのトキの「権力」を持っている(オンライン/オフライン)イベントの権力者=主催者においても、

水平分散的・非管理主義な横の関係に基づく社会
地域や年齢の属性を超えた「コミュニティ」としての社会
「オーナーレス」化する社会

の時代における価値観を前提とした企画、運営、接遇、表現、ダイバーシティ&インクルージョンなどに細心の注意を払うことが参加者(被体験者)にとっての「よりよい『トキ体験』」創出につながると言えるでしょう。

コミュニティリーダーたち のトークイベント

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

【トークイベント】コミュニティ放送部#7 (2021/12/28 20:00〜)

コミュニティのオンラインイベントが多く開催される中で「コミュニティの枠を超えて」イベントノウハウを共有しているコミュニティです!

「コミュニティ」の未来を一緒に考えましょう!

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.28)

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