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#トキ体験 を創る 2021.12.08

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験の構成要素としての「時間」や「空間」を、前回は「一体感」について考察しました。

今回は「一体感」に対する概念として「距離感」について考えてみます。

盛り上がりの「距離感」?

「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ」トキ体験に、いったい「距離感」は必要なのでしょうか?一体感はその場を同じくした人との精神的なつながりとして説明できるとして、その対局にありそうな精神的な、距離感。実はこれも隠れた重要な要素であると考えています。

専門の知識や経験を持った人=「ガイド」が各分野に関する信頼性の高い情報を提供する総合情報サイト「All About」に「適度な距離感を保つには?恋愛でも職場でも役立つ人間関係のコツ」という公認心理師・産業カウンセラー /ストレス ガイドの 大美賀 直子氏による記事がありました(物理的な空間から考えた「パーソナル・スペース」という概念がありますが、ここでは「精神的な距離感」についてを考えてみます)。

この記事のなかで、トキ体験を考えるうえで事象の捉え方について示唆がありました。

3. 「同調的」な会話をしない
同調的な会話は、人間関係への依存を深める
「共感的」な会話は、人間関係を深めるために大切なことです。一方「同調的」な会話は、人間関係が依存的になりやすくなってしまいます。

たとえば、愚痴を言った相手に対して「それはひどいね。許せないね!」と、同調的に返すことを親切だと思っている方は多いものです。しかし、実はこの同調の一言が、相手のさらなる不満を喚起してしまいます。

愚痴には同調ではなく、「そんなにつらい気持ちなんだね」というように共感的に応答しましょう。

ここではネガティブな概念としての「愚痴」が題材になっていますが、ではポジティブなトキ体験として「共感」と「同調」は何が違うのかを考えてみました。

・共感
能動的、外向的、開放的
・同調
受動的、内向的、閉鎖的

これを人間の集合体に置き換えれば、

共感=コミュニティ
同調=カルト

とも言えるのではないでしょうか。またこの記事には、自身の精神を傾ける「場所」についても重要な考え方が示されていました。

4. 「3点確保」の活動拠点を持つ
ここ最近の活動拠点が、主に「2点」に限定されていませんか? たとえば「家庭」と「地域サークル」だけ、「家庭」と「職場」だけ、「家庭」と「学校」だけ……。このように、エネルギーを傾ける活動拠点が1~2点程度に留まってしまうと、その中の人々との関係が濃くなりすぎて、息苦しさを感じるようになります。

人との付き合いをストレスにしないためには、活動拠点を分散させることです。自分の安全を守るために、登山やロッククライミングでは「3点確保」という体勢をとります。「両手と片足」「片手と両足」というように支点を3カ所に分散させることにより、身の安全を守っているのです。

人間関係にもこの「3点確保」を取り入れ、リスクを分散させていきましょう。たとえば、主婦なら「家庭」と「地域サークル」の関係に、それらとはまったくつながりのない「マラソンサークル」を加えてみる。働く人なら「家」と「職場」に、それらとはまったくつながりのない「バンド活動」を加えてみる。

このように、まったく異質な活動拠点を3点以上設けると、一つの人間関係の問題だけに煩わされずに済むようになります。

トキ体験に置き換えて考えてみます。先述の記事ではストレスを回避するための場所として「3点確保」の活動拠点が説明されていました。これは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しむ」という、トキ体験においても適用できるのではないでしょうか。

「3拠点目」としての、トキ体験
「自宅」と「職場」だけ+「トキ体験の場」
「家庭」と「学校」だけ+「トキ体験の場」
「家庭」と「地域」だけ+「トキ体験の場」
など

第三の場所、としてのサードプレイスという概念にもこの「3拠点目」の重要性が表されている例と言えます。

では、改めてトキ体験を提供する側に必要な「距離感」を考えてみます。

トキ体験の「距離感」

トキ体験の距離感【提供者→被体験者】
たとえば、サービスを受ける場(飲食店やホテルなど)での接客において「距離感」が快適でない場合の実話を紹介します。

初めての天丼(実話)
大学生のとき、父親に資金を借りて自宅近くに事務所を構え初の起業をしました。当時は(今と違い)夜型生活だったので、商店街でのランチも弁当屋へも「遅め」の入店でした。そんななか、ある食堂に何度か通い始めたのですが何度行っても「天丼」が食べられませんでした。毎回「売り切れ」だというのです。そして、ついにその日がやってきました。食堂の老齢の店員さんが「今日は天丼がある」と。迷わず注文しました。しばらくすると、天丼が運ばれきました。そして驚愕のひとことが。

「やっとありつけたw」

あまりのショックでお腹がすいていても、喉を通らなかった記憶があります。子供から大人になったばかりの青年かもしれませんが、起業して、リスクを背負って、自分の稼いだお金で入った店で受けた「サービス」が、なんともいえなく自分の気持ちを軽んじられた気分になって仕方がありませんでした。この体験は、数十年経った今でも

「忘れられない体験」

となりました。

この例では、店員と客の間との距離があまりにも近すぎました。1,000円に満たない、まだ幼さの残っていたかもしれない純朴な青年に対する接客としては仕方ないのかもしれませんが、サービス提供者としてみた場合に「やっとありつけたぁ!」は不適切な発言です。このことから、トキ体験の場を提供しようとする立場も、被体験者に対してのコミュニケーションにおいて適切かつ快適な「距離感」を意識することが必要です。

トキ体験の距離感【被体験者⇔被体験者】
また、トキ体験の場を同じくする参加者(=被体験者)同士においても「距離感」が必要です。例えば、

イベントやセミナー会場で(実話)
たまたま隣の席にいた人に気軽に話しかけたら、とても嫌な顔をされました。自分は良いかもしれませんが、相手は嫌だったのです。このことから、同じ目的・意識で集まっている「見知らぬ」関係においては

・交流会や懇親会の場になってから話しかける
・人が「輪」「島」になっているところに入る
・アイコンタクトでき「脈」ありな人と話す

などの対応が望ましいと思いました。

盛り上がりの創出も、自分の主観ではなく相手目線の「客体」で考え、その「反応」という事実(ファクト)に応じて高めていく必要があると考えています。

(例)独りで熱演することが「盛り上がりの創出」ではなく、会場(参加者)側からの反応(声の大きさ、人数など)を「客体」で見ながら「高めて」いく

#つながりを創る人 のトークイベント

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

盛り上がりの創出を、主催者・参加者の目線で考えます。

一緒に「盛り上がり」ませんか?

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.09 )


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