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#トキ体験 を創る 2021.12.11

#トキ体験 とは「その時・その場でしか味わえない盛り上がりを楽しみたい」という欲求を満たす体験のことを表した言葉です。これまでトキ体験の構成要素としての「時間」「空間」「一体感」「距離感」「安心感」「平等感」について考察してきました。今回は、そのトキ体験を提供する「組織の人格」について考察します。

組織の人格

エステー株式会社の宣伝部長である鹿毛康司氏がこれまでのマーケティング活動で培ってきた、顧客の「心」に触れるためのノウハウを詰め込んだ「心」が分かるとモノが売れるは、ビジネスにおける「心の理解」についてわかりやすく解説されているベストセラーです。

人間の嗜好や行動は5%の顕在意識と、95%の潜在意識によって成り立っていると言われる。人は自分が商品を買った理由の大半を自分でも説明できない

このなかで著者が雪印乳業勤務時に体験した食中毒事件でのお詫び行脚で、まだ原因や経緯がはっきりしていなかったときの思いが述べられています。

 個人としての人格ではお詫びできるのに組織としてはお詫びできない。そのとき、組織人格という存在の重要性を痛感させられました。そしてブランド論を机上で振りかざしていた自分が恥ずかしくなりました。
 またあるときは別のお母様から手紙を頂きました。

「母一人子一人で育てられて、今、私は子供を生んで母になりました。私はとても貧乏な生活の中で育てられましたが、母乳の出ない母は雪印の粉ミルクを与えてくれました。棚で最も価格が高いものが雪印だったことから、お金の無い母にとっては精いっぱいの買い物です。

雪印というブランドは母の私への愛情そのもの

だったのです」

 この手紙には簡単にお返事を書くことができませんでした。そしてブランドは企業のものではなく

お客様の生活や人生の中にある

ものということを思い知らされたのです。

著者が簡単に返事を書くことができなかったように、このくだりにはしばらく思考が止まりました。大きな閃光が走った気がしました。

トキ体験の提供者は
生活や人生の演出者

であると。それが数分間の体験であれ、誰かの人生の記憶に残るトキの演出者であると。トキ体験を創る企業の人格は企業理念であり、属する個人の人格と企業の人格の両方が備わっていないといけないのだと。企業が対外的に理想論を声高に謳っていても、所属する人の意識が伴っていなければ逆効果にもなり得ます。この点では、個人が多様化した現代ではなくなりつつある「朝礼」「社訓斉唱」も理にかなっていたとも言えます。

ハード思考からの脱却

「組織の人格」として体験を提供する側が、その手段や形態から考える「ハード」的な手法は、被体験者の心から考える「ソフト」的なものとは180度「以上」異なります。「対局」とは言えないほどの、大きな視点の違いがあるのです。

例えば、イベント・セミナー・コミュニティ活動などで「会」「場」を企画し提供する際に以下のような概念としての用語があります。

・オフライン
貸会議室、イベントスペース(社内・社外)など
・オンライン
Zoom、YouTube、専用視聴サイトなど
・ハイブリッド
オフライン会場+オンライン提供(観客あり・なし)

この提供の「手段」や「形態」から考える手法は、トキ体験には目が向けられていないと考えています。なぜならそれはあくまで企画・提供する側の視点(文脈・ことば)だからです。もし人が必ず「参加したい」と思うものがあれば、その提供形態は意思決定にさほど影響を及ぼしません。

どうしても行きたければ、人は行く

のです。ただ、オンラインによる(多くは営業目的の)「無償セミナー」が一般化した現状では「よほどのことが無い限り足を運ぶ労力は費やしたくない」という意向を持つ人が増えている、と予想しています。この点では、オンラインでのコンテンツ提供については今後も一定の需要はあると考えています。電車に乗って狭い空間で見知らぬ人と長時間居合わせるより、自宅で好きな飲み物を愉しみながらリラックスして見たほうが「体験価値」が勝るようになってしまったからです。

オンライン/オフラインイベントの「ゆく年くる年」

オンライン/オフラインイベントの
・今年はどうだったのか?
・来年はどうなるのか?
・形態は?
・課題は?
・解決策は?

について、12/28 20:00〜「オンラインイベント」を行います。

【トークイベント】コミュニティ放送部#7 (2021/12/28 20:00〜)

オンラインの課題などを、主催者・参加者の立場で語ります。

オンライン/オフラインイベントの未来を一緒に考えましょう!

おわり

(次回 #トキ体験 を創る 2021.12.12)

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