読書メモ_ざっくり分かるファイナンス=経営センスを磨くための財務=(石野雄一)


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第1章 会計とファイナンスはどう違う?


会計(アカウンティング)とファイナンス(財務)の違い

  • 会計は利益、ファイナンスはキャッシュ扱う

  • 会計は過去の実績、ファイナンスは未来の予測を扱う


簡便フリーキャッシュフロー(FCF)

  • 計算方法:CF計算書の"営業CF"と"投資CF"の合計

  • 考え方:企業が事業活動を行った後に、企業への資金提供者である投資家(株主と債権者)に自由に分配することができるキャッシュのこと


株主と債権者とのマインドの違い

  • 株主は株主価値の向上(成長性)を、債権者は格付けの向上(安定性)を重視する

  • PLを見ると、債権者への支払利息は営業利益を算出した後に支払い、株主への配当金は当期利益から支払っている


第2章 ファイナンス、基本のキ


ファイナンスは3つの意思決定にかかわる

  • 投資の決定

  • 資金の調達

  • 配当政策


利回りの計算

  • 計算方法:収入(キャッシュイン)÷ 投下資本

  • 考え方:獲得したものを、その獲得のために使ったもので割る


CAPM理論で株主資本コストを求める

  • 計算式:リスクフリーレート(2%) + β × マーケットプレミアム・リスク(5%)

    • リスクフリーレート:国債に投資した場合の期待利息

    • β:株式市場全体(TOPIXなど)の変動に対しどれだけ連動するか

    • マーケットプレミアム・リスク:株式市場全体のリターンとリスクフリーレートとの差


株主資本コストはどこに表れる?

  • "配当"と"株価の下落"という形で表れる

    • 株価の変動は、企業にとってコスト(キャッシュアウト)なの?

    • → 既存の株主の価値を下げることは、企業全体価値の既存に他ならない

  • 負債コストより株主市資本コストの方が高い

    • → 株主の方がリスクをとっているから(投資元本が保証されているかどうか)


資本コスト(WACC)

  • 負債コストと株主資本コストの加重平均

  • 計算式:{D / (D + E) × (1 - T) × 負債コスト} + {E / (D + E) × 株主資本コスト}

    • D:負債、E:株主資本、T:実効税率

    • 負債の節税効果" (1 - T)":負債コストの発生分だけ税務上の所得が減り、法人税が減額される


投下資本利益率(ROIC)

  • 計算式:税引後営業利益 ÷ 投下資本

    • 税引後営業利益:営業利益 × (1 - T)

    • 投下資本(負債サイドアプローチ):有利子負債と株主資本(自己資本)の合計

  • 考え方:投下した資本に対しどれだけどれだけ利益を出しているかを計算する


WACCとROICの関係(EVA)

  • 経営者の使命は"WACC上にROICをあげること" = EVAスプレッドをプラスにする

  • EVAの計算式:投下資本 ×(ROIC - WACC)

  • ROIC - WACC は EVAスプレッドと呼ぶ


第3章 お金の時間価値


永久債の現在価値の求め方

  • 永久債とは、満期がなく永久に利息が払われる債券のこと

  • PV = CF / r

    • PV:現在価値、CF:毎年のキャッシュフロー、r:割引率(=期待収益率)


成長型永久債の現在価値の求め方

  • 永久債とは、毎期一定の率で増える利息を永久に受け取れる債券のこと

  • PV = CF /(r - g)

    • PV:現在価値、CF:毎年のキャッシュフロー、r:割引率、g:成長率


第4章 会社の値段


会社の価値を算出する上でのフリーキャッシュフロー

  • 計算式:営業利益 ×(1 - 実行税率)+ 減価償却費 - 設備投資 - 運転資金の増加額

  • 企業が将来生み出すキャッシュフローから、事業を継続するにあたって"支払う必要がある"キャッシュフローを引いたあとのキャッシュフロー


会社の値段の計算方法

  • 割引率はWACC(株主資本コスト)を使う = 期待収益率

  • 計算式は成長型永久債の減殺価値を求める計算式を使う

    • 毎年のCF /(WACC - g)


第5章 投資の判断基準


投資判断の決定プロセス

  1. プロジェクト化から生み出されるCFの予測

  2. 予測したCFの現在価値を計算する

  3. 投資判断指標の計算をする

  4. その計算結果と採択基準比較し、条件を満たしていれば投資を実行する


投資判断指標① NPV法

  • Net Present Value = 正味現在価値

  • "キャッシュインフローの現在価値"から"キャッシュアウトフローの現在価値"をマイナスしたもの

  • NPV > 0 であれば投資OK


投資判断指標② IRR法

  • Internal Rate of Return = 内部収益率

  • 投資判断指標では、"あるプロジェクトの、NPVがゼロになる割引率" のこと

  • 手順

    • 1. そのプロジェクトが生み出すCFを予測する

    • 2. そのプロジェクトのIRRを計算する

    • 3. WACCと比較する。IRR > WACC であれば投資OK


第6章 お金の借り方・返し方

財務レバレッジ

  • レバレッジをかける = 間接金融(融資)や社債を増加させること

  • 目的は、あるプロジェクトに着手するとき、自己資金が足りないので、有利子負債を使って資金を集めるため

  • 機会損失の回避、利益の膨らませるといったメリットがあるが、損失もおおきくなるというデメリットもある


株式投資におけるレバレッジありなしの例

レバありのケースの方がぶれが大きい
自己資金がマイナスになる可能性もある

最適な資本構成は? MM理論

  • モジリアーニ&ミラー理論

  • 最適な資本構成は、WACCが最低となる資本比率

  • 完全市場おいては、企業価値は資本構成とは無関係に一定である

  • 完全市場 = 倒産も税金がなく、万人が企業について全く同じ情報を持っている

  • 企業価値は、資産サイド(フリーキャッシュフローを生み出す力が企業価値に影響を及ぼす

  • 負債の節税分だけ、企業価値が上がる


企業の格付け

  • 債権者サイドから見たときの評価

  • 債務償還能力を重視する ≒ 自己資本比率が高い会社が良い会社

  • 株主資本比率が上がりWACCが上昇し、逆に企業価値が下がることもある


配当金

  • 配当金の支払いの前後では、企業価値は下がるが、株主価値は下がらない

    • 配当前の株主価値 = 配当額 + 配当後の株主価値

  • 成長が鈍化し、NPVがゼロ以上の投資案件がなくなったとき、企業が配当をするべきとき


自己株式取得

  • 配当金の支払いと違い、自己株式を取得しても企業価値は下がらない

    • 消却することで流通株式がへるから


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