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メイショウタバル不在で逃げ馬は?そして好位に揃う名騎手達の刻むラップはどうなる?(第91回ダービー展望)

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.05.25 21:00~からの文字起こしです。


第91回東京優駿

蒼山サグ(以下、蒼):いよいよ明日に迫りました日本ダービーの展望の方やっていきましょう。こちらですが、ゆたさんの方からまずはよろしくお願いいたします。

くらみゆた(以下、ゆ):去年は皐月賞馬のソールオリエンスが事前は抜けた人気でしたが、ペースや展開などもあり勝利したのがタスティエーラという形になっていました。今年のダービーについても能力だけで言えばジャスティンミラノが抜けているという評価をしたくなるところではあります。ただ、今の時点でオッズが2.4倍というところを見ると、ファンも含めて全幅の信頼というところまでおけてないのかなという感じがしますね。特に今年は展開面でメイショウタバルが回避したというところがありますので、これによって皐月賞とはちょっと様相の変わった展開になってくると思われます。その点に留意して展望については進めていけるといいかなというふうに思っています。

まず今日の府中の馬場ですね。こちら先週から変わってCコースという形になっていますが、特に内がすごく有利というわけではなくて、ほぼほぼ内外フラットというような感じでした。ペース次第では前もある程度残れるけれども、やっぱりいいのは中団から外ぐらいというところで流れれば差せるという感じでした。ただ、やっぱり速い上がりというのは求められますし、どちらかというと一瞬の脚というよりは、ホームストレッチでしっかり長く脚を使える血統というのが上位に来ていたように思いました。

それを前提に展開を考えていきましょう。まずやはり誰が逃げるのかというところを考える必要があるレースだと思います。眺めてみますと、メイショウタバルがいない。どうしても内枠でどうしても行きたいという馬がいないということがありますので、割と強い意志を持てばどの馬でも逃げられる枠順になったのかなと思います。その中でやはり気になるのがシュガークン武豊騎手ですね。兄のキタサンブラック同様心臓の良さがあり、他馬と比べると、ちょっと斬れ味が足りないというところ、前々からの競馬経験があるというところもあります。ダービーの武豊騎手というと外から追い込んでくる印象があるんですけれども、今年に限っては珍しく逃げの手に期待できるんじゃないかと思っています。

もし武豊騎手が逃げるとなりますと、他の騎手はそれを見ていくという形になると思いますので、各騎手は武豊騎手を眺めながら進めていくという形になると思います。そうなるとある程度前の馬が良いという形になってくると思うんですけれども、そこでじゃあ2、3番手にどの馬が来るかということを考えると、ダノンエアズロックのモレイラ騎手、それからシックスペンスの川田騎手、この辺が2、3番手に行くのではないかと。そうすると本当に上手い騎手が前に行くという形になりますので、去年と違ってすごいベタベタなスローとか、すごいハイペースみたいなこともなく、ある程度落ち着いた流れで周りもじっくり前を見ながら競馬をするという形になるのかなと思います。

最初の1000mさすがに63秒まで落とさないと思うんですけれども、61秒か62秒ぐらいもあり得るんじゃないかという形になると思うんですが、かといってこのままのペースでだらっと直線に向かうということは思えないかなと考えています。思い起こすと去年のダービーで武豊騎手は、緩んだ流れで前のスキルヴィングが動いたところでは自分が動けなかったということで、結構悔しい思いをしているというようなコメントが残っていました。そう考えると、逆にベタッと緩くしてしまうと、そうやってペースを上げて捲ってくる、レイデオロみたいな競馬の隙は作らせないような展開、おそらくホームストレッチの後半で少し上げて縦長の馬群を作りつつ、一旦3コーナーから4コーナーで少し緩めて、少し早めに踏んでいくというような競馬をしていくのではないかと思います。

これは去年の東京優駿の時に坂井瑠星騎手に期待していたような流れなんですけども、この展開で最後の直線600mの手前800mぐらいからの末脚比べとなった時に、これが大好物に見えるのは、ちょっと個人の感情が入っちゃうのかもしれないんですけれども、東京が得意でミドルペースから長く脚を使える、モーリス産駒のダノンエアズロックですね。内々でシュガークン武豊を見ながら競馬ができて、ワンテンポ遅れてモレイラ騎手が仕掛けるという形になると、もしかしたら突き抜けてもおかしくないんじゃないかなと思っています。前走プリンシパルステークス組ということもあるので、なかなか別路線、王道路線を通ってきてない馬は、どうしても評価が下がる傾向あるんですけれども、この馬自体はアイビーステークスレガレイラを破っている実績もあります。弥生賞さえ指で隠してしまえば、堀調教師が昨年に引き続いて管理馬の産駒でダービーを勝つ姿があってもいいんじゃないか。すっかりキズナ産駒最強世代説に隠れているが、モーリスも今年の3歳の繁殖の質はトップクラスなのを忘れないようにしたいなと思いますね

そんなキズナ産駒、筆頭はジャスティンミラノということになるのかなと思います。共同通信杯とか皐月賞の走り見ていれば、東京優駿でも一枚上という可能性は十分あるかなと思います。長い直線自体がキズナ産駒が良いとあまり思わないんですけれども、ドスローの瞬発力勝負にはならないので、そうなれば勝てる可能性は十分あるのかなと思います。ただ、これだけ前に武豊騎手とかモレイラ騎手がいる中で、戸崎圭太騎手が100%力を出せるのか、ふわっと先行はできると思うんですけど、その後ですね。やっぱり怖いのは、内枠にはなるんですけど、ほぼ並んだ位置にシンエンペラーの坂井瑠星騎手がいるということもありますので、坂井瑠星騎手がもしジャスティンミラノの真後ろを取るという展開になってくると、4コーナーから直線で攻められた時に、後手に回ってしまう可能性があるのではないかというのは、ちょっと気にしたいところではあると思います。

そんな中キズナ産駒で気になるのが、ちょっと人気はないんですけど、ジューンテイクですかね。シュガークンダノンエアズロックの後ろを岩田望来騎手がバッチリ取ってしまえば、ある程度内で出し抜けを食らわせるという競馬ができます。前走も内から抜け出しているわけですので、もしかしたらここでも好走するんじゃないかというのは、ちょっと去年のベラジオオペラに近いイメージがあります。あとはシックスペンス。こちらは展開を考えると何でもできそうな枠ですし、鞍上の川田将雅騎手ということもありますので、国枝栄厩舎の悲願叶っても不思議ではないかなと。

あとは今年のダービー。実はまだダービー馬を輩出した種牡馬が出馬表にいないという中で、やっぱりダービー馬はダービー馬からという格言が、改めていろんなところで浮上しているような感じがあります。ただダービー馬はウインドインハーヘアからかもしれないというのを考えると、レガレイラアーバンシックが東京の芝2400mでパフォーマンスを下げるというのはあり得ないと思いますので、十分この2頭というのも好走はあると思います。今回前々で潰したりとまでは言わないような厳しい流れになった時に、ルメール騎手が後ろから突っ込んでくるというの全然ありだと思います。横山武史騎手も去年と違って、無欲の競馬でしょうから、この辺の2頭というのはセットでワイドでは買っておきたいかなというイメージがあります。

あとはここまで挙げた馬以外では、シンエンペラーコスモキュランダたりが好走する可能性はあると思いますが、勝ち切るという意味で言うと、ダノンエアズロックシックスペンスジャスティンミラノレガレイラ、この4頭あたりが注目かなとは思っています。あとは個人的に言えば、最後にはミスタージーティー。この馬はずっと2歳の時から推してきました。ここまで厳しい、ちょっと実力差が出てしまっていますけども、藤岡佑介騎手でこのダービーを迎えられているというところもありましたので、個人的には単勝を買っておきたいなと思います。以上になります。

蒼:ありがとうございました。こひさんはいかがでしょうか。

こひ(以下、こ):はい、ゆたさんからもありましたように、このレースは何が逃げるかのストーリーを、それなりに自分で思い浮かべて想像するのが楽しい東京優駿だなというような印象です。ゆたさんは武豊騎手で考えてましたが、私はシンエンペラーの坂井瑠星騎手が行くんじゃないのかなという感じがずっと週頭から続いているような感じです。この馬は器用貧乏的なところがあって、鋭い決め足や瞬発力勝負で勝ちきれるわけでもないというようなキャラクター性が一定見えてきている中で、じゃあ果たしてこの13番目の枠からどう勝負するかと考えた時には、ひょっとしたら行くんじゃないのかなとはちょっと見ております。

ただそういった形になっても実は先ほどのゆたさんの話と同じように、多分似たようなラップの絵は描くんじゃないのかなとは思っておりました。ある程度ゆったりめに入りつつも、とはいえ多分瞬発力勝負にすると逃げている自身の勝ち目はないというところもありまして、4ハロンぐらいから上がっていくというような形、そんなイメージで考えていたので、結果的にイメージするペース次第はゆたさんのイメージと合うような形であります。

そういった形で展開を考えていくんですが、じゃあ勝つのはどの馬かというところで言いますと、私はやっぱりジャスティンミラノが能力的には一番抜けてはいるのかなと思っています。ただ、戸崎圭太騎手と7枠15番というのはちょっと嫌な予感はするなとは正直思いまして、東京優駿の外枠は有利では明らかにないですし、攻める騎乗をしないとなかなか勝ち切るまで至らない枠かなというようなところを考えると、なかなかジャスティンミラノとしては難しい枠を引いてしまったなという印象です。ただ、この中でこうなった時にシンエンペラーが行くのであれば、それに外からくっついていくと割と良い道が開けていくのかなというところも思いまして、そういったところも込みで馬券の軸としてはしっかりまずジャスティンミラノを絞っていきたいなと思っています。

ジャスティンミラノが抜けているという見方をした時には、私の中では皐月賞組の大半は勝負づけがついているのかなと思います。ジャスティンミラノは皐月賞では向いていないレースでありながら勝ち切ったことは重く見たいと思います。今回はそういう切り口で見ていきたいと思います。やはり皐月賞でこの馬と互角レベルに戦うことができていたのはコスモキュランダだけなので、そのコスモキュランダについてはしっかり馬券の相手には入れていきたいと思います。しかし、それ以外はちょっと別路線組の方を重く見てみたいと思います。

そうなってきた時に一番目につくところで言いますと、シックスペンスですね。同じキズナ産駒というような形にはなりますが、やはり前走のスプリングステークスでちょっと見せていたパフォーマンスは良かったと思います。相手が弱くてもいいですが、そのメンバーの中では2枚も3枚も上だったというような形で来ておりますし、またある程度前に行けて乗り難しさというものがあまり感じられないところも含めて、非常にチャンスは大きいのではないかなと思います。この馬とジャスティンミラノはひょっとしたら結構道中並走していくような構図になるかもしれないなというところが、枠やジョッキーを見ていても思うところであります。この2頭が一定の直線で末脚比べというような形で抜け出してくるというような展開をイメージしているところです。

それ以外のところで気になるところで言いますと、全然人気がないのに全く同じところに着地しました。ジューンテイクですね。私もイメージとして内側からせこく乗って出てきそうな馬はどれだろうというカットで考えますと、ジューンテイクのイメージが出てきます。やはり内枠で浮上してくる馬ってあまり欲を持たずに詰まってもいいやぐらいの覚悟で乗ってこれるようなタイプかなと思います。そういう意味でレガレイラは、若干1枠2番まで内なのはあまり良いような気はしませんが、こちらはちょうど京都新聞杯でもそういった乗り方で結果を出していた馬でもありますし、今回非常に面白い存在になるかなとは思います。

あとはやはり別路線組をしっかり拾っていきたいなというところで、コンセプト的なところもありますが、ダノンエアズロックシュガークンあたりはしっかり押さえておきたいなと思いまして、皐月賞の上位組がきれいに上位から並んでしまったら、ごめんなさいと思いながらジャスティンミラノコスモキュランダプラス新興勢力というような買い方でちょっと臨んでみたいなというところは思っています。

あとはあまり明確な根拠はないんですが、その中で言いますと底が見えないという点で言いますと、ゴンバデカーブースがやっぱりちょっと気にはなるんですよね。なのでこのまま久しぶりのNHKマイルカップではなかなか見どころのある脚を使っていましたし、叩き2戦目というところプラスあまり直接的に勝ち負けしているところ、欲が出ないような人気での松山弘平騎手というところも面白いかなと思いまして、こういったところはちょっと下に拾っていきたいなと思います。はい、一旦以上です。

蒼:ありがとうございました。お二方の意見で揃いましたが、何か新たに付け足しなどございますでしょうか。ゆたさんどうでしょう。

ゆ:ジューンテイクは多分こひさんがあげるだろうなと思いながらあげてしまいました(笑)。

こ:こういうの好きなんですよね(笑)。

ゆ:あとはそんなに前に行く馬とか外から被せてくる強い馬がいるわけじゃないので、正直ジャスティンミラノさんのそこそこ普通に乗れば、明日の日本ダービー勝てるレースには見えるんですよね。なのでそう思いつつ、全く同じことを思っていたオークスが2着というのを見てしまうと、なかなかそこまで信じきれないというのがこの2.4倍というオッズなんだと思ったところではありました。

蒼:こひさん、最後に何かございますでしょうか。

こ:そうですね。本当にジャスティンミラノが普通にレースをして回ってきて、全馬能力を出すケースで負けるというのは、本当にシックスペンスが我々の想像以上にすごい馬だったというケースぐらいしかない気はしまして、そこの感覚はすごく合いますね。ただ、やはりジャスティンミラノについては、それにしても本当に皐月賞のレース前の見方とレース後の見方というのは、やはりこの馬の強さを示していますので、この馬の強さを示しているかなと思います。多分、皐月賞は相当この馬に向いていないペースでありながら、ああいった初めての押し上げ方をしてでも勝ち切ったというところが、この馬の素晴らしさかなと思います。そこが間違いなく今回のダービーになった方が競馬はしやすいだろうなというところを考えると、ちょっとこの2.5倍は私の目にはお買い得な数字になるようなところではあります。

なので、ちょっとこの馬の方がもっと勝ちきるために、戸崎騎手が無難に乗るのか、攻めて乗るのかで、それぞれの場合に結果がどうなるのかというところは非常に楽しいですね。本当に無難に乗って勝っておかしくない馬ではありますので、そういったところも含めたのが見どころかなと思います。

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