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混戦模様の阪神JF・香港国際競走の海外馬評価を中心に直前展望

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.12.09 21:30~からの文字起こしです。


第75回阪神ジュヴェナイルフィリーズ

第75回阪神ジュヴェナイルフィリーズ 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):阪神で行われます阪神ジュベナイルフィリーズの展望の方に移りたいと思います。こちらは、また全体像をゆたさんの方からいつものようにお願いできればと思います。

くらみゆた(以下、ゆ):はい、阪神ジュベナイルフィリーズ、今年最初の2歳G1という形になるんですけれども、今年の2歳戦はとにかく6月4日に東京芝1600mで行われた牝馬限定の新馬戦、いわゆるボンドガール組っていうのが中心になって、今年の2歳戦のレースレベルが比較されてきたという印象があります。実際、今日の黒松賞でもマスクオールウィンが勝って、これでついにオープンで5頭という形でレベルの高さを改めて見せました。ただその1着2着のボンドガールがこのレースには出てない、大一番では不出走ということになりましたので、そういう意味では本当に競馬の難しさを感じさせる出馬表になったと思います。阪神ジュベナイルフィリーズを考える上では、ポイントとしては大きく3つかなと思っております。まず、このボンドガール組から出走してきたコラソンビートキャットファイトっていうのをどこまで評価していいかというところ。それから本日の阪神の芝が結構前が有利、内が有利という場の状態でしたので、そこを生かせる馬がどこなのかというところ。最後に、裏に香港がありますので、残った騎手がどんな活躍をするのか、どんなレースをするのかというところがポイントになるのかなと思います。

こちらのポイントを踏まえて、レース展開から考えてみますと、逃げるのはプシプシーナテリオスルル、この枠が並んだ2頭あたりかなと思います。さらに外からスタートを切ったナナオ、ミライテーラーあたりが追走する展開だと思います。ただあんまり短距離から逃げ切ったような馬というのは出てないので、そこまでハイペースにはならないという気がしております。そんな中で、おそらくキャットファイトあたりが好位のうち、ステレンボッシュあたりが折り合いつくなら、この辺。あとはアスコリピチェーノコラソンビートサフィラというあたりが一団となって競馬をするのかなと思っております。直線に入るとおそらく先行組は力が足りずに下がってくる形になると思いますので、ここでどう捌いていくか。大外が有利という馬場状態ではないと思いますので、内枠沿いで足を溜めて、うまく馬場の真ん中あたりから突き抜けられるような馬が主役になるのかなとは考えています。そう考えると気になるのはキャットファイトステレンボッシュアスコリピチェーノのあたりかなと思いますし、あとは最後コラソンビートサフィラあたりはどれくらい末脚が伸びるというところを考えていただければと思います。

能力比較っていう意味で言うと、ボンドガール組の中でも特に1,2着あたりは本当に強い馬と評価しているんですけれども、一方で負け組はちょっと人気が集中しすぎているというのかなという気がしてます。ボンドガール組という大きな枠の中では、もちろんレベルの高さは感じるものの、ちょっとこのオッズを見ていると、過大評価されているのかなという印象があります。そうなってくるとやっぱりさっき挙げた中では、ステレンボッシュサフィラあたりを取りたいなと。あとは悩ましいのはアスコリピチェーノのあたりなんですけれども、馬もいいですし、血統的にも阪神JF向きは思うんですけれども、新潟デビュー組が最近そこまで王道路線とは言えなくなっているので、さっきの2頭に比べるとちょっと下がるかなという気がしております。それ以外で言うと、ルシフェルとか、あとは今回やっぱり騎手の選択肢がいろいろ出てくる週のG1ですので、田口寛太騎手と永島まなみ騎手が初G1という形になりますので、この辺はちょっとワンチャンスがあれば面白いなという意味で、3着以内くらいのヒモには入れてみたいなという印象でした。

蒼:はい、ありがとうございました。では続けまして、こひさんの方からもぜひよろしくお願いします。

こ:はい、そうですね。今回の阪神JFは、中心になるべきだった馬が両方いなくなってしまって、いわゆる全ての騎手が色気を持って乗れるような形のG1になったかなと思います。先ほどゆたさんからもコメントありましたとおり、比較的阪神まだまだ内が使えるなというところと、めちゃくちゃ飛ばしていくというイメージのある馬がいないことを考えると、多分内を回れる組が馬券になるんだろうなと。そういったところから、穴馬が出てくるんじゃないのかなというようなところから、ちょっとアプローチはしたいなというふうに思っていました。でも有力馬の中ですと、やはりそういう条件で言いますと、キャットファイトが一番レースはしやすそうだなというような印象を受けますね。ある程度そこそこイーブンぐらいのペースで流れていって、うまく馬群が捌ければスッと突き抜けるというような絵面っていうのは描きやすいなというふうに思っています。

あとは穴目なところですと、やはり今回対戦実績がない組がいろんなところから参戦してきているなというところで、阪神JFにしては非常に全走一着の馬がめちゃくちゃ多いなという印象ですね。なので、あまり直接当たってない組の能力比較というところで言いますと、結構人気の盲点になっている馬はいるなという印象でして、当然当たるか来るか来ないかは予測が難しいんですけれども、例えば札幌ですとか北海道組とこのレースは結構直結するケースがありますので、1枠1番のコスモディナーですとか、あとはステレンボッシュが人気するんであれば、3枠5番のスプリングノヴァあたりが枠順を含めてうまく立ち回れたりしないかとか、いろんな考え方っていうのはできるレースかなと思っています。

あとは個人的に見ていてコラソンビートですね。これは隠れラフィアンの馬ではありますが、こういう馬が未勝利、ダリア賞、京王杯2歳S勝ち、そして阪神JFに来るのは、とても古き良きラフィアンを見ているようで懐かしいものですね。そんな形で、ちょっと内目の方からどの馬をピックするかという感覚で、このレース自体は見ていきたいなと思いますし、逆にそこら辺をきっちり外からまとめて面倒見て、来年のクラシックに向けて名乗りを上げるような形になるんであれば、多分勝つのはサフィラじゃないのかなというような印象を持っています。ルシフェルあたりもちょっと人気はしてるんですけれど、こういう中距離ばっかり使ってきている馬が、内目が有利なところで外枠に入ってしまうと、ここら辺は狙いづらいのかなというふうに思ました。あとはスワーヴリチャードスウィープフィートとかも気になるんですが、そちらは名馬さんにバトンタッチをしたいなというところです(笑)。はい、以上です。はい、ありがとうございました。

蒼:それではちょうど名前も出ましたことで、名馬さん、全体的な展望でもいいですし、私情モリモリでも構わないので一言ぐらいでもいただけると嬉しいんですが(笑)。

名馬電機社長(以下、名):そうですね、スウィープフィート、お二方ともしゃべることを控えていただいてありがとうございます、という感じなんですけども。個人的には私の出資馬でございまして、デビュー戦から当然見てるんですけども、この馬、思ってたよりも距離持つんじゃないかなと。デビュー戦は1200mでデビューして最後ちょっと甘くなるような感じがあったんですけども、距離短すぎたっていう評価、逆に前半ゆったり行って、末伸ばす方がいいんだろうなっていうのが見えたのが、前々走の未勝利戦と前走の白菊賞ですね。前走の白菊は最内を引いて出遅れちゃって、もうその時点でやばいって思ったんですけども、意外と永島まなみが落ち着いて乗ってくれました。最後直線大外に出す形になったんですけども、上がり33秒1、上がり1位のタイムで2着ということで、白菊賞自体がすごいスローペースになってまして、前半半マイルで49秒5、1000m通過が61秒6ということで、その中最後方から追い込んで、逃げたプシプシーナをタイム差なしということだったので、今回直線が長くなる阪神の外回りというところで、史上抜きにしても穴馬として面白いんじゃないかなという見解です。ただ世間的にもそんな感じみたいで、単勝23.8倍っていうのは、ちょっと人気思ってたよりはしてるなというような感じです。もう明日は、私情盛り盛りの馬券しか買わないので、ごめんなさい、スウィープフィート以外のコメントは特にございません。

2023年香港ヴァーズ

2023年香港ヴァーズ 出馬表

名:まずは国際競争の中では最初のレースになります、香港ヴァーズ芝2400mで行われるG1です。日本からは、アルゼンチン共和国杯を勝ちましたゼッフィーロ、それから前走エリザベス女王杯で5着でしたけども、昨年のエリザベス女王杯に勝ったジェラルディーナ、そして3歳で今年のセントライト記念を勝ちましたレーベンスティール、この3頭が出走いたします。

日本馬の中での能力比較的なところだったり、日本馬のプロフィールというのは皆さんよくご存知だと思いますので、簡単に今ぐらいの説明でいきたいと思います。海外馬に関しては、香港ヴァーズには、馬番9番、ゲート番号で言うと1番になります、エイダン・オブライエン厩舎が送り込んできたウォームハート。この馬は、ブリーダーズカップ・フィリー&メアターフにも出走しておりましたので、皆さんご存知の方もいらっしゃると思います。3走前はヨークシャーオークス、そして全走ヴェルメイユ賞優勝とG1 2連勝で。前走のブリーダーズカップ・フィリー&メアターフインスパイラルの2着ということです。そこからの転戦ということで、連続遠征という形ですが、この馬は、ヨーロッパの馬にしては早いターフ、軽い芝に非常に適性があるというか、そういう舞台を得意とする馬ですので、おそらく香港の芝も合うだろうと私個人的には思っています。なんといっても鞍上はライアン・ムーアということで、日本馬の一番のライバルになるとしたらこの馬というか、このレースの中心はもう本当にウォームハートなのかなと個人的には思っています。好位にウォームハートがつけるという展開で、結構強力なメンバーが前に行きそうなので、日本勢はどれだけ前の強敵を射程圏に入れながら競馬できるかというところが、日本側にとっては鍵になるかなと思っております。

2023年香港スプリント

2023年香港スプリント 出馬表

名:香港スプリント。皆さんご存知の方も多いと思うんですけども、やはりこの国際競争4競走の中でスプリントというのは、やはり香港の地元勢が活躍するレース、強いレースということで、今年も昨年の香港スプリント勝ちのウェリントン、そして2着のラッキースワイネスと非常に強力な香港地元勢が2頭出走してきております。そこに立ち向かう日本勢としては、前走スプリンターズステークスで2着だったマッドクール、そして前々走スプリンターズステークス4着、前走はブリーダーズカップ・ターフスプリントに挑戦したジャスパークローネ。この2頭が日本から挑戦をいたします。例年ですと、香港勢が中心で日本の馬が何頭か出走というのが、大体の勢力図だったという印象なんですけども、今年はヨーロッパからなかなか骨のあるメンツが来ています。まず1頭はハイフィールドプリンセス。イギリスの馬で、G1自体は今年のアベイユ・ド・ロンシャン賞(フランス)で優勝。2022年はフライングファイブステークス(アイルランド)、ナンソープステークス(イギリス)、モーリス・ド・ゲスト賞(フランス)と、ヨーロッパ内では各国を転戦してG1を勝利している、スプリント界でいうところのヨーロッパのスプリントチャンピオンです。この馬が遠征してきてくれました。また、エイダン・オブライエン厩舎とライアン・ムーアのコンビになるイソップスフェイブルズも、前走ブリーダーズカップ・ターフスプリントで3着になりました。こちらも前々走アベイユ・ド・ロンシャン3着ということで、勝ち切れはしていないものの、1200mのスプリント戦線で安定した結果を残しています。という形で、日本勢、香港勢+ヨーロッパ勢というような、三つ巴の格好の勢力図かなと思いますが、私個人的なことを言うと、やはり香港勢という形になるんじゃないかなと思っています。まだちょっと日本のプールでの馬券発売が始まってないので、人気はどうなるかわからないんですが、ハイフィールドプリンセスが、もしヨーロッパG1勝ちという実績で人気するのであれば、個人的には嫌いたいなと思っています。この馬は1000mがベストで1200mは、1200mのワンターンの競馬というのは、ほぼほぼというかあまり経験がないんですよね。1000mの直線競馬のレースが非常に強い。1300mのモーリス・ド・ゲストも勝っていますけども、モーリス・ド・ゲストも直線1000mのストレートコースですので、1200mのワンターンというコース設定がこなせるようなら、この馬は本当に強いという話になるんですけども、ちょっとそのあたりで人気するのだったら、逆に評価を下げたいと個人的には思っています。

2023年香港マイル

2023年香港マイル 出馬表

名:香港マイル。メンバー的なことで言うと、地元香港のゴールデンシックスティがどういった競馬をするのかというのが見どころのレースとなっていると思います。ネームバリューもある馬ですし、皆さんご存じのこととは思いますが、現役香港最強馬と言ってもいいんじゃないでしょうか。今年に入ってからでも、チャンピオンズマイル、香港ゴールドカップ、香港スチュワーズカップとG1を勝利。昨年もチャンピオンズマイルを勝っていますし、香港マイル自体は昨年敗れてはいるんですが、いまだ香港最強の座を維持しているというような感じです。そのゴールデンシックスティに昨年香港マイルで勝利したカリフォルニアスパングル。こちらも有力な一頭と言えますが、チャンピオンズマイルも今年ゴールデンシックスティの3着に負けてますし、前走も4着と敗れているので、その辺りどう巻き返してくるのかというところは注目ですね。今回、鞍上がクリストフ・スミヨンということで、鞍上にスミヨンを配したというところで、逆転の一手となるかもしれません。今回、確かにゴールデンシックスティは外枠を引いたので、枠順の有利さというところでカリフォルニアスパングルの巻き返しもあるかとは思います。なので、これも日本のプールの馬券発売のオッズを見てから、カリフォルニアスパングルが不当に人気しないのであれば買いたいと思いますね。そして日本勢です。日本勢はこちら5頭出走です。マイルチャンピオンシップ組が中心なんですが、勝ち馬のナミュール、2着のソウルラッシュ、そして5着になりましたダノンザキッド、8着ながら、昨年のマイルチャンピオンシップの勝ち馬、セリフォス、そしてエリザベス女王杯7着からこちらに向かってきましたディヴィーナと、日本馬大挙出走というところで。ローテーション的にマイル路線の馬は、日本でもマイルチャンピオンシップが終わりますと、目指すところは来年以降になりますし、この路線の馬が大挙してくるのはまあ納得かなという感じはするんですが、日本馬、ゴールデンシックスティという高い壁に立ち向かうのですし、もちろんいい馬は揃ってるんですが、ゴールデンシックスティより真っ向勝負で、正面から立ち向かって勝負になるかっていうと、ちょっと心もとないかなというのは個人的な印象です。もし馬券を買うのであれば、ゴールデンシックスティと、カリフォルニアスパングルも香港地元に行ったら、安くなるかもしれませんが、買いつつカリフォルニアスパングルが単勝でそんなに人気しないなら、これは頭のパターンの馬券も組みたいなという感じです。

2023年香港カップ

2023年香港カップ 出馬表

名:香港カップですね。こちらはなかなか濃いメンバーが揃ったと個人的には思っております。まずヨーロッパからの遠征馬で言いますと、ルクセンブルクをエイダン・オブライエン調教師が送り込んできました。今年はタタソールズゴールドカップ優勝、ニエル賞やアイリッシュチャンピオンステークスで2着というところで、ヨーロッパの2000メートル路線のトップホースの一頭と言えます。性格的にも前のほうに行けますし、速い馬場も比較的得意とする馬という認識ですので、香港の馬場も合うのではないかと思っております。迎え撃つ香港勢というか香港馬の中では、ロマンチックウォリアーですね。先ほど香港最強馬をゴールデンシックスティと称しましたが、このロマンチックウォリアーも2000メートルから2400メートルに関しては香港でのトップホースと言って問題ない馬です。前走はオーストラリアのコックスプレートで優勝したことがありますが、コックスプレートに遠征して1着ということで、香港の英雄的な評価も得ておりますので、この馬とルクセンブルクがレーティング的にも抜けているという形になっております。対する日本からの遠征馬としては3頭出走しております。天皇賞(秋)は既に3着のプログノーシス、同じく天皇賞(秋)で9着だったヒシイグアス、前走オールカマー儍くからこちらに向かってきたローシャンパークと、この3頭が出走しております。その他のメンバーでいうと、フランスからの遠征馬、オリゾンドレです。イギリスのチャンピオンステークス前走3着に敗れていますが、この辺りが絡んでくるかなと。地元勢という意味では、この2400メートル路線になってくると、地元勢は限られた一部の上位馬が勝負になるという印象なので、今名前を挙げた辺りがレースの中心になってくるかなと思います。その中でも地元ロマンチックウォリアーとオブライエン厩舎のルクセンブルク、この2頭が中心になると思います。日本馬、ヒシイグアスあたりは前に付けることもできるかもしれませんが、香港の2000メートルは、個人的には前付けしているほうが有利という印象がありますので、プログノーシスあたりも力的には上位ですが、どうしても後ろから行かざるを得ない脚質というところで、3走前ですかね、QE2で出走しましたが、ここでロマンチックウォリアーの2着に負けていますし、そこの差を逆転するのは、そこまで力差は現段階では縮まっていないかなと個人的には思いますので、ここは日本馬をちょっと控えめな評価にしたいと思っております。

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