見出し画像

ダートグレード牝馬路線定点観測(2024年5月号)


3歳牝馬ダート路線、関東オークス出走馬想定

 まずは3歳牝馬路線から。6/12に川崎競馬場、ダート2100mで開催されます3歳の大一番、関東オークス(Jpn2)の出走馬が選定される予定です。3歳ダート三冠路線では紅一点アンモシエラが頑張っていますが、東京ダービーを本線に、関東オークスは念のため登録という予定。新興勢力からダート牝馬路線に名乗りを上げることとなりそうです。現時点での予想出走順はこちら。JRA勢の出走枠は4となります。★がついている馬が現状どこかで登録の意向を確認している馬になります。

  1. アンモシエラ★(登録予定も、東京ダービー本線)

  2. モズミギカタアガリ(鳳雛S惨敗により、短距離シフトなら回避か?)

  3. アンデスビエント★
    イゾラフェリーチェ★
    テンカジョウ
    (帰厩してきたので登録しそう)
    テーオールビー★
    トウカイポワール
    (距離延長をどう捉えるか次第)

 2勝馬の枠が3つになるか4つになるかが焦点となりますが、牡馬混合戦で強烈な末脚を繰り出して快勝したテンカジョウ、牝馬限定戦で後続を離したテーオールビーアンデスビエントに、デイジー賞勝ちもある芝からの転戦イゾラフェリーチェ、そして5/25に東京ダート1600m戦を勝ったトウカイポワール、このあたりがエントリーしてくることが見込まれます。時計や勝ちっぷりなど目立つところのある2勝馬が揃っていますので、良いレースを期待できると思います。
 余談ですがアンデスビエントは私の出資馬でして、なんとか抽選を通って母が引退レースを飾った川崎2100mの舞台に、立って欲しいなと願っております。

2024年エンプレス杯回顧

こ:5月8日水曜日に行われましたエンプレス杯。ダートグレード競走の再編成により、2月の開催から5月に変更となりました。この再編成により、現役牝馬のトップ5と言っていいメンバーが揃いました。川崎記念の2,3着、兵庫女王盃の1着、そして無敗でダートグレードまで駒を進めてきましたオーサムリザルトでJRAの5枠が埋まったという形で、まさに春の大一番と言えるようなレースだったかなと思います。加えて地方馬もグランダムジャパン春シーズンの最終戦に位置付けられており、キャリックアリード、グレースルビー、アンティキティラと地方のポイント争い組も勢ぞろいと、かなり地方勢も含めて揃った形になったかなと思います。ほぼJBCレディスクラシックと言ってもいいのではないかというような8頭のメンバーになったレースでした。

そのレースですが、ゲートが開きますとオーサムリザルトが非常に良い発馬を見せまして、そのすぐ内からライオットガールが先手を主張するという形になりました。その外にオーサムリザルトアイコンテーラーがつけていく形だったんですが、発馬が良かったことで、枠順的にはアイコンテーラーの方が内だったんですけれど、前にオーサムリザルトが出る形で、オーサムリザルトの外にアイコンテーラーがつけていく形という隊列になりました。この並びとなったのはオーサムリザルトがめちゃくちゃ大きかったと思います。それに対して、アーテルアストレアグランブリッジは中団でついていくような形になっていきました。

1周目の直線で結構ペースが緩んできたところがありまして、オーサムリザルトが小回りのコーナー6回というところも意識してかハナに飛び出していくような形で、ライオットガール岩田望来騎手はここで突っ張らずに引き続きインに収まるような形になりました。ペースが緩んでいたということもあってか、普段でしたらもうちょっと後ろから競馬するアーテルアストレアも外からポジションを上げていくような形になりまして、続いて向こう正面の残り800mくらいからまたレースが動き、かなり忙しいレースになっていきました。

ここでは外からアイコンテーラーがつついて動いていくんですが、オーサムリザルトがかなり余裕を残しながら応戦をしていくような形で、直線では逆にアイコンテーラーを引き離していきました。最後は中団からよく追い込んできたグランブリッジを抑え込んだところがゴールという形。3着には最後はインでじっくりためる競馬から外に出して追い込んだキャリックアリードライオットガールを捉えて浮上するというレースでした。

何はともあれ勝ち馬のオーサムリザルトですね。このまま最後はクビ差とは言え、自分でペースも作って最後も足は止まりきっていないような形。冒頭申し上げましたとおり、このレースはメンバーとしてはこのダート牝馬路線として完全に最強メンバーが揃ったところで、完勝に値するような競馬でしたので、本当に素晴らしいパフォーマンスだったと思います。早くも陣営からは秋は「ブリーダーズカップ」という言葉が出ていました。JPN1という意味ではJBCレディスクラシックもありますが、ある意味このレースを勝ち切った時点でこの路線のナンバーワンホースであって、海外に目線が行ってしまうという気持ちもわかります。それぐらいの価値あるレースだったと思います。実際に使っていくとなると、ブリーダーズゴールドカップ経由かレディースプレリュード経由あたりになるかなと思います。ぜひそこでも負けないで無敗のままアメリカに行ってほしいなと思わされるものだったと思います。やはり無敗でここまでたどり着けたというところは、本当に過去のダートの牝馬ではなかなか見られないパフォーマンスだったと思いますね。

2着以降ですが、グランブリッジも本当にいつもの自分の能力分を川田騎手の今回も道中がしっかり脚を溜めるロスのない乗り方もあって走り切りましたが、やや他力によるところもありまして勝ち切れずという形でした。3着のキャリックアリードですね。これはグランダムジャパンのポイントを取るというところも意識して、道中上手く立ち回って最後にバンと外に出すというのは御神本騎手の好騎乗が光ったレースだったと思います。アイコンテーラーはちょっと大きい着順になってしまいましたが、堂々と自分でオーサムリザルトを捕まえに行ったので仕方のない着順だったかなと思います。ちょっと残念だったかもなと思ったのが、ハナを守りきらない選択をしてしまったライオットガールと、道中我慢できずに外を回ってロスが大きかったアーテルアストレアですね。この辺りは乗り方次第で着順が変わってきたかもしれないなと思います。

ともかく、自らレースをコントロールして初めてのコーナー6回の地方競馬というような条件でも無敗を守りきりました武豊騎手の騎乗と、それに応えたオーサムリザルトというものパフォーマンスというところが改めて目立つレースでして、本当に見応えのあるレースだったというふうに思っております。以上です。

蒼山サグ(以下、蒼):はい、ありがとうございました。ゆたさん、何かコメントなどございますか。

くらみゆた(以下、ゆ):オーサムリザルトの海外遠征という話もありましたけれども、フォーエバーヤングの方は逆に秋に日本で一回使ってからブリーダーズカップという話も出ていました。ダートグレードの番組が今年から大きく変わって、どうなるかと思ったんですけど、思ったより初年度から面白いメンバーが揃うのかなというふうに思いました。

蒼:なんか大谷翔平に感じた「ゲームかよ」みたいのが競馬界で起きてますね。ブリーダーズカップ出走候補馬や海外帰りの馬が地方競馬場で見られる時代が当たり前になってきているので、ゲームでよくやることをまさか現実で見られるとはみたいな。

ゆ:地方競馬廃止ドミノを知っていた身としては感慨深いですね。

こ:アメリカに無敗馬を連れて行くっていうのが、なんかすごいですね。こういうことが当たり前になるのは、本当に楽しみがまた広がりますね。

蒼:ケンタッキーダービーも非常に盛り上がっていただきましたが、秋もすごく楽しみですね。

こ:そうですね、ブリーダーズカップ、今年も西海岸ですから、ぜひまた日本馬行ってほしいです。

補足:武豊TVでのオーサムリザルトの振り返りを見ていましたが、右回りより左回りの方が向いていると事前から思っていたこと、エンプレス杯前からブリーダーズカップの話が出ていたことなど、陣営もかなり先を見据えて使っていたレースだったなと思います。実際に左回りの走りも良かったようで、アメリカの舞台は合いそうです。ダートグレード牝馬路線がまた、ブリーダーズカップに通じていくのか、楽しみです。

スパーキングレディーC想定ボーダー

 春の大一番がエンプレス杯に設定されたこともあり、若干中休みの感じのする位置になってきましたスパーキングレディーC。7/3に川崎ダート1600での施行と、このレースは条件設定が変わらず。一線級は夏休みやそれぞれに牡馬と戦ったりと路線が分かれてくるので、少しはボーダーが下がってくる見込みです。今回から、三歳で賞金を積んでいるアンモシエラもリストに加えています。

スパーキングレディーCボーダー(2024/5/26現在)

 賞金を持っている組では、アーテルアストレアライオットガールが仲良く出走表明。グランブリッジは帝王賞で牡馬相手に悲願のJpn1タイトルを狙います。その他の馬の動向を見ていても、久しぶりに準オープン勝ち組にも枠に入るチャンスがありそうに見えます。ヴィブラフォンミラクルティアラあたりは狙って行くべきなレースにも見えますね。出走馬の選出は、6/16になる予定です。

 今回各馬の出走予定を調べる中、ドライゼの南関東転出の情報にたどり着きました。この馬は1年くらい準オープンにいたのですが、先日の牝馬限定準オープン、アリエスSを勝ってのオープン入りとなりました。とはいえ、過去一年の本賞金がほとんど積めておらずで、ダートグレードに出走が叶うことはとても難しそう、そういった事情も分かってのスパッとした決断かと思います。英断だと思うと共に、今後こういったパターンは何度かありそうだなとも感じました。ルールを理解して、それぞれの馬がより良い競争生活を送るための選択は何か、高度な判断が必要だなと思います。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?