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地方の深さでアメリカの土?特殊な馬場状態で序列逆転はあるのか?サウジカップを展望

この記事は、競馬評論サークル芯力のスペース2024.02.23 21:00~からの文字起こしです。

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2024年サウジカップ

蒼山サグ(以下、蒼):サウジカップの展望です。今回の進め方ですが、まずは海外馬の解説を名馬電機社長さんにお願いしまして、その後、日本馬についてこひさんにコメントいただいていこうと思います。ということで、最初に海外馬の解説を名馬電機社長さんからお願いできますでしょうか。

名馬電機社長(以下、名):よろしくお願いします。今回サウジカップですね。昨年は、結構日本馬が大挙を押し寄せて、実際、結果的にも日本馬が優勢という形だったんですけど、今年はアメリカからもなかなか骨っぽいメンツが遠征してきているなという印象です。その中でもですね、最有力候補一番手といえば、昨年のブリーダーズカップクラシック勝ち馬でありますホワイトアバリオということになると思います。ホワイトアバリオは3歳時はですね、ホーリーブルステークス、フロリダダービーとケンタッキーダービーの主要プレップを連勝して期待をされたんですが、ケンタッキーダービーは16着と大敗。その後もですね、3歳時は勝ち星を上げることができず終えてしまいます。昨年明け4歳なんですけども、ペガサスワールドカップ年明け出走して8着、なかなかうだつの上がらない成績だったんですが、3月にガルフストリームパークで行われました条件戦を勝ちまして、その後、ベルモトパークで行われましたメトロポリタンハンデキャップG1を3着、そして8月に行われたサトガのポイントニューステークスG1で久々のG1勝利を上げました。そして、前走がブリーダーズカップクラシック優勝ということで、なかなかですね、3歳時にも活躍したんですけども、4歳時一旦へこんでもう一度、5歳時に昨年の中頃から上がってきたというところで、ちょっと特殊かなと、アメリカ競馬の中では珍しいようなタイプの成長曲線というか成績の曲線を描いている馬かなというような印象ですが、やはり昨年ブリーダーズカップクラシックでデルマソトガケにも先着しているということで、最有力候補というところの評価は変わらないかなと思います。

2番手として挙げるとすれば、ナショナルトレジャーということになると思います。前走ペガサスワールドカップを勝って、ここに参戦してまいりました。明け4歳馬ですが、昨年3歳時は、ケンタッキーダービーはスキップし、プリークネスステークスを優勝しております。その後、ベルモントステークストラヴァースステークスと、2400m、2000mの距離を伸びたところで、ちょっと成績が良くなく、古馬とのとなりましたオーサムアゲインステークスも4着だったということもあって、ブリーダーズカップはクラシックではなく、ダートマイルの方に向かいました。ここで、ブリーダーズカップダートマイルで昨年のアメリカ年度代表馬になりました。コーディーズウィッシュと非常に僅差の2着というところで好走し、前走ペガサスワールドカップ1着からの参戦ということになります。後ほど申し上げますが、血統的な面からも、私個人的にはサウジカップ向くんじゃないかと思っている一頭です。

アメリカ馬からは、先ほど申し上げましたナショナルトレジャーの前走ペガサスワールドカップで2着になりましたセニョールバスカドールという馬です。この馬もブリーダーズカップクラシック昨年出走しておりまして、ここは7着と負けているんですが、シガーマイルハンディキャップ2着であったり、オーサマゲインステークス(G1)3着といった実績もあります。アメリカの中では2番手、3番手以降の馬にはなると思いますが、場所が変わりますので、このあたりがサウジアラビアのダートです。どのような形でハンドリングするかによっては、ひょっとしたら3着争いとかに加わってくるかもしれないというふうに見ております。

地元勢についていきましょう。サウジアラビアからも、アメリカからも出走馬がいますが、サウジアラビアからの出走馬という意味では、前走キングアブドゥールアジーズ競馬場で同じ競馬場で行われたキングファイサルカップ、こちらリステッドレースですが、こちらを1.4秒差で勝利しましたをカーメルロード。また、現在サウジアラビアで3連勝中のパワーインナンバーズも、前走今回と同じ競馬場、同じ距離で行われたニテモスクの守護者杯という厨二病みたいな名前(笑)のレースを勝ってここに出走しています。そしてメイショウハリオの回避で滑り込みで出走してきた補欠からの繰り上がりで出走してきたスコットランドヤードこちらがニテモスクの守護者杯の2着馬になりますが、こういったあたりが出走しております。

2022年のサウジカップを思い起こしますと、地元のエンブレムロードが勝利していますので、地元サウジ勢侮れないと思います。特に今年の場合は、馬場がかなり特殊であるという話がありますので、実際この競馬場で、この馬場で結果を残している馬たちは、検討に値する馬ではないかと、個人的には思っています。このあたりで、海外馬の解説を終わらせていただきます。

蒼:ありがとうございました。それでは、また後ほど、総括的に名馬さんからお話を伺いたいと思いますが、その前に、日本馬の解説の方、こひさんの方からお願いできますでしょうか。

こひ(以下、こ):はい、では日本から出走してます4頭をレーティング順に拾っていこうと思います。まず、レート的には一番上位で122という形になっていますウシュバテソーロからです。この馬は昨年のドバイワールドカップを制してブリーダーズカップクラシックも、展開的なところもあって、結果は5着でしたが、しっかり脚は使っており、世界のトップホースのレベルに君臨している馬だと思います。また、今回の臨戦過程も含めて、日本馬の中では総代表という印象のポジションだと思います。ただ、サウジカップというレース自体が、あまり外から豪快に差し切る絵面が浮かばないレースでもあり、どちらかと言いますと、サウジで落としてドバイで上げるようなタイプだと個人的には思っています。展開的には、アメリカから結構ガチガチの先行馬が来ていて、日本馬からもレモンポップ筆頭に前に行ける馬がいる状態で、差しが利きやすいようなパターンにも見えますが、外から進出する差し馬が勝ち切るのは、コース的にも難しい印象です。また、日本のプールでは間違いなく人気をするというところも考えますので、馬券的にはちょっと割り引いて考えたいと思っています。ただ、ここで外から勝ち切るようなことがありましたら、次のドバイワールドカップもかなり中心視されるような形になりますので、2つ並べて勝つと1,700万ドルということで、日本円換算しましたら25億円ということで、すごい夢のある話だなと改めて思いました。

続きましては、レーティング122が2頭。デルマソトガケの方から入りたいと思います。この馬は昨年、日本ではほとんど走らず、ほぼアメリカ馬のようなキャリアになっています。しかし、昨年はサウジアラビアを遠征し、松若騎手を乗せて3着に入りましたが、出遅れて負けたという経験があります。鞍上がルメール騎手にスイッチされた後の活躍は、ゲートが良ければ戦えるという能力を昨年のブリーダーズカップクラシックで示しており、結果的にはケンタッキーダービーからのぶつけという形であっても、その着順で能力的には通用することを示しています。ただ、13番枠という外枠は少し難しいかもしれません。この馬は出遅れても差せるし、前にも行けるという、かなり順応性の高い競馬ができる馬だと思いますが、外を回して差すことが簡単ではないという舞台設定の中で、どうやってロスなく立ち回れるポジションを取っていくかが、この馬が勝つための一番の鍵になると思います。近年は、日本の競馬ではルメール騎手がいろんな馬を外枠から内にワープさせてきましたが、今回のような世界最高峰の騎手が揃う中でも、その立ち回りマジックを見せられるかが一番の見どころだと思います。ただ、ポジション的にはまれば、勝ち切るポテンシャルはあると思いますので、個人的には一番、日本馬の中で勝ち切る可能性が高いのはこの馬ではないかと思っています。

続きまして、同じくレーティング122のレモンポップです。昨年のフェブラリーステークスを制して、その後コーナー4つの競馬、距離延長というチャンピオンズカップを勝ち切り、国内におけるダート戦線においては、文句なしのチャンピオンになった馬です。距離延長や大外とか、いろんな苦難を乗り越えて強くなってきた、ゴドルフィンの馬ですけど日本人が好きそうなキャリアを経てきている馬だなと思っています。が、ここは外枠が欲しいと言っていた陣営に対して、3番枠というところで、また、あまりうまくはいかないところは、常に出てくる馬だなというところは思いました。とはいえ、1800mではありますが、今回はワンターンの競馬になります。引き込み線がめちゃくちゃ長い競馬場でもありますので、そういう意味ですと、チャンピオンズカップよりは、条件的には良い条件ではあるかなと思います。ポイントとしましては、この3番枠という内枠をいかにうまく使って立ち回るかというところかなと思います。今回並び見てますと、内にホワイトアバリオアイソレートという形で、割と行くであろう馬がいるというところがありますので、これらの外の三番手みたいなところになっていったりとか、逆にちょっと揉まれ込むようなポジションになったときには、大崩れ含めて苦しいところはあるかもしれませんが、先手を強く主張するとか、うまく番手のあたりに収まったりとか、内目をスムーズに先行する隊列に持っていけたときには、チャンスは十分あるんじゃないかなと思います。

最後がレーティングで言いますと、116になりまして、クラウンプライドですね。この馬もすっかり海外競馬でおなじみになっていて、世界を股にかける日本のイマイチ君みたいなポジションになりつつありますが、前走のチャンピオンズカップの着順は大きいですが、もうこれは全く競馬になっておらず、着順自体は参考外で、全く問題ないかなと思います。5着でした去年ぐらいは全然走れる馬のままで、今年も至っているかなというふうには思います。この馬の場合は、相手関係自体は強化されてはいるんですが、先ほど枠から枠の話をしてきてますが、内目にうまく潜り込めそうな並びと枠を引いたなというふうには見ておりまして、1から3番枠が前に行きそうな中での6番枠というところで、プラス鞍上が今回川田騎手ウシュバテソーロに乗る関係もありまして、モレイラ騎手ということを考えると、まず潜り込んでくれるんじゃないのかなというような期待感は持てる形かなと思います。ロスなく、最後にインから顔を覗かせて出てくるというような形ですね。サウジカップの過去のレースを見ていても、やはりそういったところで23着争いで顔を出してくるというのはよく言いますので、そういうポジションというのは期待できる条件設定にはなっているかなと思いました。たぶん日本馬の中での人気は間違いなく一番下でしょうし、連下ですとか三連の馬券あたりでは、ケアしておいた方がいいのかなというふうに思います。一旦では以上で、日本馬の展望の方をお話しさせていただきました。

蒼:ありがとうございました。ということで、今は海外馬と日本馬を分けて、こひさんと名馬さんに別々にお話をいただきましたが、今度は続きまして、また順番は名馬さん、こひさんの順番で、海外日本という隔離を取っ払って、全体的な総括というか見所などをお話しいただければと思います。まずは名馬さんからお願いできますでしょうか。

名:先ほどの海外馬紹介の中でも申し上げたことがありますが、サウジカップ今年について漏れ聞いてくる情報によると、馬場が相当特殊ということです。矢作調教師のコメントを拝見しますと、地方のダートの深さで、アメリカの土のダートというような形で、非常にパワーが要るということです。かなり特殊な馬場になっているということが想像されます。サウジアラビア自体、この大きな国際レースを始めてまだ年数が浅いので、かなり試行錯誤している段階だと思いますが、あまり良い表現ではないんですが、レギュレーションミスをしてしまう年というのは絶対出てくると思います(苦笑)。レギュレーションミスをしてしまって、能力検定としては、後から見るとどうなの?ということが、この試行錯誤を重ねる年月の中では必ず出てくると思っております。

という意味では、私今回はどちらかというと海外勢、アメリカ勢及びサウジ地元勢から中心に馬券を組み立てていきたいと思っております。私個人的には、アメリカからの遠征馬ですが、ナショナルトレジャーと地元サウジカーメルロード、この2頭を中心に馬券を組み立てたいと考えております。根拠というほどのものでもないんですが、先ほどの話の中にも出てまいりました。2022年ですね、サウジカップ地元馬として処理いたしましたエンブレムロード、これ名前からも連想される通り、お父さんクオリティロードなんですが、私が先ほど挙げました2頭、どちらもお父さんクオリティロードなんです。

まあ、馬場が毎年コロコロ変わってそうという中で、お父さんが同じということがどれだけアドバンテージになるのかは、ちょっと疑問符がつくところではあるんですが、2021年に、このレースを勝ったのがヨーロッパからの遠征馬だったミシュリフなんですね。ミシュリフは、母の父がレイブンズパスで、レイブンズパスを遡るとイルーシブクオリティに当たり、さらにイルーシブクオリティの血統がクオリティロードであるため、分母を無視すると、クオリティロードサウジカップと相性がいいのではないか、という点に着目しました。個人的には、馬券的な意味合いが非常に大きいのですが、カーメルロードナショナルトレジャーから予想を組み立てています。海外レースになると、日本プールは日本馬が人気になる傾向があるため、特にアメリカ馬に関しては、アメリカでの実績ではホワイトアバリオナショナルトレジャーに劣る馬でも、レギュレーションの適性の差で今回2、3着に潜り込むような馬が出てくる可能性があると思います。そのため、本命対抗に推した2頭から、海外馬も絡めて手広く100円単位で楽しむことを提案します。

蒼:ありがとうございました。こひさんからも、同じように枠を外してコメントいただければと思います。

こ:そうですね、私もこの砂が違うところが、今回一番のカギだと思っています。まず、サウジダービーリアドダートスプリントといったレースをしっかり見ておくこと、そして、先ほど言ったように、サウジカップの一つのセオリーは、多分先行有利、イン有利だと思っています。パワーが必要な馬場で、それがそのまま同じ状況なのかを確認することが重要です。また、動画で見れるようであれば、日本馬は出走がないため、映像はグリーンチャンネルでは流れないと思いますが、YouTubeなどで、1レース2レースのサウジ調教馬限定レースやアラブの限定戦がダートで組まれているところも見ておくと、馬場券を買う際に役立つのではないかなと。

今の時点で、馬券的な狙い目という点で言いますと、私も一番安心するのはこの馬場状態ですので、やっぱりサウジの馬を買うのがいいのかなと率直に思っています。アメリカの馬も結構ビッグネームが付いていますし、日本の出走馬もアメリカやドバイの競馬で結果を出しているということを考えると、サウジの馬があまり人気にならないのではないかと思っています。冒頭の海外馬の話で、名馬さんがおっしゃっていたことと非常に近しいんですが、今年のサウジで結果が出ている馬が、その日の馬場で条件を満たしている馬がいれば、馬券的にはそこから手広く入ると面白みはありそうですね。

日本馬については、概ねの想定での取捨選択をやっていったんですが、地方的なパワーがいる馬場状態だった場合、ウシュバテソーロが持っていくような絵面はあるかなと思います。ちょっとそういうところの傾向は見ていきたいなと思いつつ、一つ仮説として立てられるとしましたら、内に潜り込める馬というところは大きなポイントかなと思います。そういったイメージで改めて隊列整理をして馬券を買うのが良いかなと思います。以上です。

その他レース展望記事の紹介

サウジカップ含めて、その他のレースについて、同人誌にも寄稿いたあいたMariusさんのブログ記事の紹介です。アラブ馬レースも展望されているので是非ご覧ください。


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