見出し画像

ダートグレード牝馬路線定点観測(2024年2・3月合併号)


2月に移ったクイーン賞はアーテルアストレアが制する

 昨年クイーン賞ワンツーのライオットガールテリオスベルの二頭に、左回り得意なアーテルアストレアの三頭が人気に。初ダートのゴールデンハインド、地方転入初戦のキャリックアリードという構図。
 この路線の展開のカギを握り続けるテリオスベル、枠が外であったことと、比較的エンジンのかかりが良かったこともあって、今回は見事に1コーナーでのまくりが決まり、久しぶりにやりたいことができた展開に。向こう正面で先頭に立ってからはペースを落とす余裕もあり、競馬としては完璧でした。

 その完璧な競馬をしたテリオスベルをねじ伏せたのがアーテルアストレア、こちらは久々の鞍上復帰となった菱田ジョッキーが最高の騎乗。中京で結果を出して勝ち上がってきた時から、この馬の真のストロングポイントは左回りのコーナリング性能の高さだと見ていました。レディスプレリュードの武豊が最後方からハマれば一発の競馬をして勝ち切ったので、どちらかというと後方一気のスタイルになりつつあったこの馬ですが、菱田ジョッキーはこの馬の長所を理解し、そしてテリオスベルが最高の展開に持ち込んでいることも見てか、早めに動いていく作戦を選択、それが見事に結果に繋がりました。これができればエンプレス杯に向けても視界良好。菱田アーテルアストレアは地方の小回りで最高のパフォーマンスが出せる組み合わせに見えますので、一気に牝馬ダートグレードの中心に躍り出たと思わされるレースでした。

 テリオスベルはやり切りました。次走に選んだダイオライト記念でもらしい競馬で二着となり、無事の繁殖入りを果たしました。この馬についてはどこかで振り返り記事を出したいくらいですね。ダートグレード牝馬路線の歴史に残る個性派で、本当に強い馬だったと思います。3着キャリックアリードは外から回って普通に競馬した感じで、ハンデ差が2kg以上ある中でこの着差は決定的でもあり、この路線で連に絡むには展開などの一押しが欲しそう
ライオットガールは+10kgと余裕があったのか、途中でペースがたるんだのが向かなかったのか、4歳になり斤量が56kgとなって差が詰まったこともあってか、いつもの末脚が発揮されない結果に。ちょっと今年は様子を見たい印象もあります。

オーサムリザルト、サーマルソアリング、牡馬混合OPへの挑戦

 明け四歳で一気に条件戦を駆け上がってきた二頭、オーサムリザルトサーマルソアリングが、それぞれに牡馬との対決に挑みました。先に2月3日、京都ダート1800mの条件のアルデバランSで牡馬との対決に臨んだのはオーサムリザルト。ハピを筆頭に牡馬の一線級でもやっていけるレベルの相手もいて、骨っぽいメンバーだったのですが、後方の外から余裕をもって進出して前を潰す形に持ち込んでの快勝とオープンクラスでも全く底を見せない競馬で5戦5勝としました。これで賞金的にもしっかり上積みができ、次は春の大一番、エンプレス杯に直行するローテとなるようです。

 一方、中山ダート1800mの条件となる総武Sを選んだのがサーマルソアリング。こちらはいつもの先行策で進めていき、直線に入って抜け出したかに見えましたが、短期免許終盤で中山を舞台に大暴れをしていたレイチェル・キング騎手ゴールドハイアーに目標とされていたかのように差し切られました。中山のこの舞台らしいメンバー構成の中悪くない内容ではありましたが、なかなか牡馬混合のオープン戦は全てが揃わないと勝ち切れないレース。賞金的に上積みがない点は残念でしたが、うまく4枠目で兵庫女王盃の枠に滑り込めました。ここでなんとか賞金を積んで、地方交流路線を目指したいところです。

ミラクルティアラ、ドライゼが3勝クラスを制しOP入り

 この2ヶ月では新たにミラクルティアラドライゼがダート中距離の3勝クラスを制してオープン入りしました。ミラクルティアラはもはや3勝クラスの番人のような状態となっていましたが、所属していた加用厩舎のラストウィークに中山遠征を敢行して勝ち切り、悲願のオープン入り。4歳世代からまた1頭楽しみな馬が出てきました。また、ドライゼが新設されたアリエスS、3勝クラスの牝馬限定戦を勝利。このレースはこれまで1月中京で行われていたレースを関東圏の中山競馬場に振り替えた形で設定されたレースでしたが、関東オークス2番人気など若いころから期待されつつ、3勝クラスで1年以上苦しんでいたこの馬にとっては大接戦を抜け出しての会心のレースに。賞金的にはやや弱い立場ではありますが、今後のレース選択が楽しみです。

兵庫女王盃出走メンバーと最新のボーダー

 TCK女王盃が兵庫女王盃にリニューアルし、舞台が大井から園田に変わりますそれに伴いましてJRAの出走枠が4枠に減少。しかし年度替わりの時期の引退もあったためか、順当に実績組のアーテルアストレアライオットガールヴィブラフォンに上がり馬サーマルソアリングと、かなり見応えのあるメンバー構成に。地方勢でもキャリックアリードあたりはチャンスがあるかもしれません。個人的には、右回りの小回りコースが各馬にどう出るかがポイントかなと思っており、一番そのあたりに長けているのはヴィブラフォンかもしれないとも見ています。人気はそこまででもないだろうと思いますので、一考を。

 また、その前日には川崎記念がありまして、こちらにはこの路線のトップホース2頭。グランブリッジとアイコンテーラーが牡馬相手に一発を狙います。兵庫女王盃が小回り園田という舞台設定もあってか、牝馬トップホースがドバイの裏にあたる川崎記念に狙いを定めるというローテ、確かに頷けるところがあり、今年だけの一過性のものではないかもしれません。個人的には左回りでスムーズなら、牡馬を倒せるポテンシャルをアイコンテーラーは秘めていると思っています。

エンプレス杯ボーダー(2024/3/31時点)

 そして次の春の大一番、Jpn2のエンプレス杯に向けてのボーダーです。ここには多分、川崎記念組と兵庫女王盃組が集まり、そこにオーサムリザルトも参戦、という構図になるでしょうが、兵庫女王盃での賞金の積み方次第ではオーサムリザルトが弾かれてしまう可能性も否定できません。兵庫女王盃は1着賞金3000万円で2着賞金が1200万円と、限定戦のJpn3としてはなかなか高額の設定。ヴィブラフォンサーマルソアリングが勝ち切ると、賞金的にはオーサムリザルトを上回ることができます。ここも大きなポイントになる、とても重要なレースとなります

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?