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2023年ヴィクトリアマイル・京王杯SC回顧

この記事は、2023年5月13日21時00分〜 Twitterスペース 芯力休憩所 #35「だしぬけ!スマホ6」及び2023年5月14日16時40分〜 Twitterスペース 芯力休憩所 #36「女傑達の競演は」からの文字起こしです。

第18回ヴィクトリアマイル

蒼山サグ(以下、蒼):本日はヴィクトリアマイルの振り返りをやっていきたいと思います。ソングラインが優勝しましたが、まずはではゆたさんから振り返りをお願いできますでしょうか?

くらみゆた(以下、ゆ):はい、よろしくお願いします。まずヴィクトリアマイルというレースですけれども、これは有名ですがリピーターがとても強いというレースだと思っています。牝馬は目標が春がここになるので距離適性が長めだったりしても、今回のスターズオンアースのように出てくるというパターンが多いなので東京のマイルにしてはペースは割と緩めなレースになってくるというところがある。その結果、牡馬と立ち打ちできないような中距離馬だと取りこぼすし、マイルで強い馬なら勝つし、いわゆる1200-1400の馬が勝ったりみたいなそういうレースでちょっと特徴的な適性を問われるレースだという風に考えております。

今年のヴィクトリアマイルに関して見ると、やっぱり誰もが思うところだと思うんですけれども、ロータスランドの横山典弘が逃げたというのが一つ大きなポイントになってくるのかなと思いますで。これ前半は3ハロン34秒2というところでそこそこ普通よりちょっと遅めぐらいなんですけれども、3コーナーから4コーナーでぐっとペースが落ちて12秒0、12秒3と。これ今週から右下に速度出るんですけれども、見事に3コーナー手前から時速60キロ切って59キロ台が出てくるっていうレースで分かりやすくペースが落ちてるんですよね。なので、その数字がどこまで正しいかはさておき、明らかにペースがコーナーということを加味しても落ちてるんだと思うんですね。ノリさんの得意な中弛みの逃げのレースに持っていったことでかなりロータスランドも直線、粘り込みを図るレースになったのかなと思います。その上で最終的に坂の上でソダシが先頭に立ったけれどもスターズオンアースが伸び上げてソングラインを力差し切ったというレースになりました。

勝ったソングラインは、外目を狙う馬も直前のレース(傾向)からも多かった中で内枠ということもあって、難しい競馬を強いられるのかなと思ったんですけれども、端的に言うと全てがハマった形になったかなと思います。まず大きかったのがルメールが乗ったスターズオンアース。こちらが想定より前に行ったのかなと思います。勝つためにポジションを取りに行ったんだと思うんですけども、これによって戸崎騎手、レース後は外を狙っていたとコメントしたんですけど、かなり外は締められて行ける場所がなくて、「どうしようかな」と思ったらスターズオンアースがスッと前に出て行って、スターズオンアースの後ろにスポッとハマっているんですよね。なので本人のコメントを見ても意図せずだと思うんですけれども、強い馬の後ろ、しかもルメールがきっちりペースをコントロールする場所を取ったと。なので今回、向こう正面でそういう場所を取れたところで、3,4コーナーノリさんがペースを落としているんですが、ここでもう一つサウンドビバーチェが外に色気を見せたのでルメールがここでポジションをまた上げているんですよね。そうするとソングラインとそれについて行けばいいのでスッと上がっていって勝負圏内のポジションで直線。しかもルメール、スターズオンアースがちょっともたもたしたこともあって外に進路を取ったので内が空いて、馬群もばらけると。ソングラインはキズナ産駒ですので馬場を苦にせず伸びてきたというところで、本当に全てがハマった形。馬が強かったというのもあるんですけれども、100%の力を出し切れたという意味でハマったレースだったのかなと思います。

スターズオンアースの方は、やっぱりちょっと中距離馬というところもあって、このスピードのレンジで追走すると、やっぱり末脚が落ちてしまうというところがあったのかなと思います。ルメールが勝つポジションで追走させてたんですけれども、脚が溜まらなかったというところで、牝馬の割にはゆったり追走される方が持ち味が出るタイプなので、やっぱりドゥラメンテは本質的にステイヤーなのかなというのはちょっと思ったところであります。

みんな大好きの2着のソダシソダシは今回大外枠というところもあって、どうかと言われてたんですけど、今回ノリさんが強くハナを主張したことで、その横をグッと取れたというところもあって、実にスムーズな競馬ができたと思います。レーンも前半はきちんと折り合わせて、後半も我慢しすぎずに主導権を取ろに行った走りというところで、今回のレース、能力自体は出し切ったのかなというふうに思います。ヴィクトリアマイルに一番向いてた馬はソダシだったのかなとも思います。ただ、今回ソングラインが本当に100%の力を出し切ったというところもあって、勝てなかったというところで、戦績を見てもマイルでガチ勝負したらソングラインの方が強かったというレースと見てもいいのかなと思いました。

あとは5着のサウンドビバーチェ、個人的には本命にしていて、もうちょっと強気にロータスランドのすぐ後ろくらいにつけてほしかったんですけど、ちょっと迷った競馬で最後伸びてきてるだけに、もうちょっとなんとかならなかったのかというか、せめて3着に入ってほしかったなって個人的には思ったんですけれども、難しかったのかなと思います。あとはディヴィーナですね、外枠から追走して4着というところで結構人気薄だったんですけど、良い競馬していてヴィルシーナにモーリスというところで、晩成タイプで身が入ってきたのかなと思います。勝った3頭、強い馬が上に来たと思うんですけれども、ソングラインが100%の力を出すと、東京マイルという舞台では一番この馬が強かったのかなというレースだったと思いました。以上になります。

蒼:ありがとうございます。それではこひさんの方からも、何か追加や補足などございますでしょうか。

こひ(以下、こ):レース全体の総評としては、もうゆたさんおっしゃる通りかなと思っています。ちょっと私、レース後の着順を見ていて気になったのが、そんなに外伸びない競馬だったっけなというところがちょっと気になりまして。パトロールの方も一部不利があった馬もいたので、その辺りをちょっと見直してみました。やはり今回一つ大きな鍵が、レース前にかなり雨が強くなったというところがありまして。パトロール見ていますと、スタートしてからまず内枠の馬もあまり内に入れないんですよね。内側の方を開けて走っているというところが一つと、あと先ほどソダシを折り合わせたというお話ありましたが、ソダシのレーンはスタートしてから200mぐらい馬群から離しているんですよね。そういったところがありまして、その後レーンの方がソダシを内に入れてくるタイミングと、内側の馬が内に入りたくない、この二つが重なってしまいます。これ内を見てますと、スターズオンアースのルメールがきっちり最内に入らないような動きをしていたところもありまして。そこで先行している、中ほどの枠の馬がいっせいに結構大きな不利を受けていました。馬で言いますと、クリノプレミアムナミュールナムラクレアルージュスティリアというところで、2列目3列目の方にその後収まっていた中盤からの先行組というのは、そこで一回内が中に入ってくれない。外からソダシが来るしというところで、4頭ぐらいがガッチャンコしているような状態になっていましたので、その後の折り合いも含めてペースを上げるに上げられなかった理由というところもここにはあるのかなと思いました。まさに先ほどの話もありましたが、唯一外から飛んできていたのがディヴィーナだったんですけど、この馬はそのガッチャンコをしているところよりも一馬身後ろにいまして、そこには巻き込まれていないでスーッと流れに乗ることができていたというふうにもちょっと見えていまして。今回先ほど言いましたクリノプレミアムナミュールナムラクレアルージュスティリアというようなところは着順以上に不利を受けた面もあるので、ちょっと巻き返していく余地はあるなというように見ておくと良いのかなと思いました。たまにあります気性が難しい先行馬を馬群から離して徐々に乗せていくというところから合流するところと、ちょっと馬場の悪さというところがありまして、制裁が出るような原因を見つけるのも難しそうなので大きな制裁は出なさそうかなと思うんですけど、結構大きな不利があったというところは頭に入れておいていいかなと思いました。なおソダシこの後安田記念行くかもみたいな話がインタビューでどこかのメディアから出てました。ちょっと間隔を詰めて、この馬がどういうパフォーマンスを出すのか気になります。

以下、回顧後のサークル内振り返りからの補足。上記で述べた斜行によってレーンは過怠金5万円の制裁を受ける結果。ただジョッキーカメラからの映像にもあるとおり白毛(芦毛)の馬は、走っているとかなり気になる存在なのは間違いなく。馬同士でも白毛(芦毛)に対しては、過剰な反応を見せる馬もいるという例もあり、今回はルージュスティリアの反応は、ソダシが白毛だからというのもあったのかも。レーンが無罪というわけではないですが、そのような話があるということも頭に入れておくといいかもしれません。最近たまに見る馬群から離して先行馬の折り合いをつける騎乗。古くはフジワンマンクロスの田原成貴も見せていた折り合いの付け方なので、興味がある方は見てみると面白いかもしれません。

第68回京王杯スプリングカップ

蒼:最初に京王杯スプリングカップの回顧からやっていきたいと思います。こちらですがレッドモンレーヴが差し切り勝ちで初重賞制覇ということで、蛯名正義厩舎だったりラストグルーヴの子だったり、なかなか話題性のある馬が勝ったなと思うんですが、まずは回顧としてゆたさんどうでしょうか?

ゆ:はい、よろしくお願いします。こちらは東京の1400mというところと高松宮記念と安田記念の間というところで、スプリンターとマイルが両方出てくるレースという位置付けとなっているかなというのがまず大前提であると思っております。スプリンターにレースを引っ張ってほしいところなんですけれども、今の短距離界あまり強い逃げ馬がいないので、スプリントもマイルもそうですけど、ペースが遅くなりがちという傾向があると思うんですけど、今回このレースについてもベレヌスが逃げてラウダシオンがかかり気味に行って2番手で刻んだラップで、これ1200から800の区間が11秒0、11秒5、11秒7というスローなペースでした。先週の1勝クラスでも同じ1400mで2ハロン目からは10秒7、10秒9、やっぱりこれ(京王杯)は相当遅いかなと。結果として上がり3ハロンのいわゆる競馬という形になったんですけれども勝ったレッドモンレーヴはスタート二の脚使わずに後方から4コーナー入り口でも外の10番手だったんですけれども、追い出されてからは素晴らしい素脚での差し切りという形になったと思います。前走、ダービー卿チャレンジトロフィーでは中山ということもあって出負けが響いて7着でしたけれども、東京コースが合うのかなというところは、誰もが思うところですけれどもあったのかなと思います。鞍上の横山和生騎手、二の脚つかなかったんですけれども、慌てずにうまく隊列の外を確保してコーナーもスムーズに回って、直線の外へ入れるのも完璧、
というところで落ち着きある騎乗でした。 本当に横山家は毎回毎回レースに乗るたびにみんなちゃんと乗ってくるので、本当にうまくなったというか横山和生騎手なんか2年くらい前はあまり勝ってなかったんですけど、こうやって一番人気というか人気の馬で重賞でしっかり乗って勝ってくるというところがもう完全にランクが1個上がったなという印象を受けたレースでした。

2着のウインマーベルと3着のダディーズビビットも道中が隊列の外で追走してました。かなりスローで逃げ馬の後ろがギチギチだったというところもあって結果も3着から12着まで全部クビクビと並んでいるレースでありましたので、伸び伸びプレッシャーなく走らせることができたのが上位に来たのかなという印象です。 一方で一番人気のダノンスコーピオンはこれ1枠がちょっとアダになったかなと。川田騎手は道中をなるべく前と距離を空けたいとかいろいろ工夫している気配はあったんですけれども、ピクシーナイトの戸崎騎手がフラフラと走っていて4コーナー手前でも空いてた前にスッと入ってきちゃったりというところで完全にポジションが悪くなってジエンドという形になったのかなと思います。(ダノンスコーピオンは)競馬ができていないので、この後巻き返しというのはよくありそうなところがあるので、考えておいた方がいいのかなと思います。あと気になったのはピクシーナイトですね。この馬を応援しているというところもあるので、怪我からの復活というのはもうだいぶ見えてきたのかなと思うんですけれども、かなりちぐはぐな競馬で今回も。今更距離を持たせに行こうなんて馬じゃないはずなんですけど、スタートは抑え込んでポジションが悪くするし、直線はウインマーベルの外にも出せずに迷っているうちに進路をなくしちゃったというところで、秋も同じ騎手で行くのかなというのは思うところでありますね。もっと強気の競馬をしてほしいと思います。あと人気どころで言うとゾンニッヒですかね。これは使える脚が短い馬なので、東京競馬場で3ハロンをずっと加速続けるというのは向いてなかったのかなというところでもう一つ前でポジションを取れればよかったと思うんですけれども、ちょっと菅原騎手からレーン騎手に乗り換わって馬の特徴が伝わってなかったのかなというレースだったかなと思います。私からは以上になります。

蒼:ありがとうございました。こひさんから何か補足などございますでしょうか。

こ:このレースの位置づけ自体が年々変わってきている中で、1400スペシャリストと、マイルで安田記念にちょっと足りない組と、スプリンターが目標なく来てくるところと結構いろんな路線が交差して面白いメンバーになることが多いレースなんですが、今年もそうなんですがやはり先ほどのお話もありましたようにとにかくスローになりやすいレースだなというのは今後に向けても覚えておきたいなと思ったところです。このレース自体が過去3年前ぐらいまで振り返って見ていてもだいたい上がりが33秒台前半ぐらいの決着になっているというのが、もう積み重ねた上でも見えてきているところではありまして。やはり多分それぞれ出てくるメンバーで前に行きたいコテコテの短距離馬がいなかったり、スプリンターはスプリンターで距離不安があって慎重な乗り方になったりみたいなそういった事情があって、そもそも1400のレースなんですけれど上がり3ハロンの勝負になると思って今後予想してみても面白いレースなのかもなと改めて振り返ってみて思ったところです。ちょっとこれ来年の今頃しっかり思い出しておきたいなと思ったところですね。今回も勝ち馬ですとかまさに東京の瞬発力上がり3ハロンで強い馬という、プロフィールの馬でしたので結果の方にもそういったところがすごく伝わってきますし、東京のマイルですとか、直線長めのところの瞬発力ラストの3ハロン勝負で強い馬を狙うレースなんだろうなというのが改めて見ていてみえてきたイメージでございます。


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