武士沢騎手の引退に寄せて、想い出トークと次のキャリアへの期待
蒼山サグ（以下、蒼）：JRAの武士沢友治騎手が引退を発表して、今後はJRAの教官になるというニュースが出てまいりました。武士沢騎手というと、いぶし銀というイメージももちろんありますし、ちょっとクセのある馬の扱いに関しても非常に上手い、特に一口馬主の立場ですと、本当にこの人しか乗れない馬が出てきたりすることもあって、すごく一般的な評価よりも評価が高い人なのかなと思ってたんですが、この辺りをこひさんにちょっとお話を伺いたいと思います。
こひ（以下、こ）：今年早くも勝ち星も上げて、それでもちょっと話題になっていたりする中、かなり突然の発表というような形でびっくりしたんですが、今後がJRA競馬学校の教官とのことですので、年度変わり前、このタイミングになったのかなというふうに思います。
武士沢騎手といえば、トウショウナイトを筆頭に、ベンチャーナインであったり、アルコセニョーラであったり、マルターズアポジーであったりと、結構名コンビだったような馬の名前がスラスラ出てしまうような騎手でして、数字以上に印象的な騎手だったのかなというふうに思います。また、冒頭もちょっとお話しいただきましたように、ゲートが上手かったりですとか、また気性面で癖のある馬を調教からしっかり立て直してレースに向かうというプロセスをすごく踏まれていた方だなというような印象でして、まさに職人としての側面というのも非常にある騎手だったのかなと。
私も過去に出資した馬で、ゲート難のある馬が3頭ほどいましたが、それぞれに癖があり、武士沢クリニックのお世話になった記憶があります。中には関西から関東に転厩して、所属した厩舎から武士沢騎手の方に依頼がされたというようなケースもあったりしまして、本当にそういう馬を預ける時の駆け込み寺的な存在だったのだなということは実感しています。実際に乗り始めてからも、調教からしっかり乗っていただいて、中間からしっかり丁寧なコメントをしてもらったり、時には最近そんなに聞かないですが、いわゆる第13レース、競馬場の現地でやるゲートの再試験ですね、既に再試験に何回か引っかかった馬だけのゲート試験、そういう場に立ち会われたりと、本当に難しい馬相手でも粘り強く接してくれるという武士沢騎手の仕事っぷりは本当に素晴らしいものだったと感じています。こういった形でどんな馬であっても前向きに取り組んでくれるような貴重な騎手だったからこそ、今回の引退は寂しい思いはありますが、卓越した技術を持っている方だと思いますので、その積み上げてきたものを是非若い騎手候補生に授けてほしいと思います。
また武士沢騎手といえば、重賞勝利の際は地元の青森の新聞である東奥日報が盛り上がるという話がありました。ちょうど土曜日に、今年の新人騎手で武士沢騎手以来の青森出身の騎手となる長浜鴻緒騎手が初勝利を挙げていました。青森県の騎手の魂もしっかりと後世に受け継がれていくようなリレーを感じられた週末になり、東奥日報も一安心というような形ではないでしょうか。
武士沢チャレンジという愛称も有名で、今日も私も最後一緒にチャレンジさせていただきましたが、彼にしかない確かな技術を持って一頭一頭向き合って来た功績は、本当に忘れられないものだったと思います。今日の最終レース、先ほどのラストライドの後も、大きな拍手が武士沢騎手に送られていました。非常にファンにも恵まれた騎手生活だったのではないかと思います。本当にお疲れ様でした。
蒼：ちょっと印象論にはなってしまいますけれども、良い教官になりそうなイメージもありますよね。
こ：そうですよね。人柄も非常に良さそうな印象がありますしね。我々外からの印象でしか話せないんですが、すごくしっくりくるなと思いますね。
蒼：ゆたさんは何かコメントありますか？
ゆ：先ほどのファンから愛されているというのがやっぱり印象的で、武士沢騎手を応援しているアカウントをインターネット上でも見かけていたので、数字よりも愛されている、そういう騎手だったのかなと思いましたね。
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