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ダートグレード牝馬路線定点観測(2023年11月号)

 JBCも終わりまして、ダートグレード牝馬路線はアイコンテーラー時代の到来ということになりました。11月号については、11/29に船橋競馬場で行われますクイーン賞の展望と、ペルアアの引退、そして新星オーサムリザルトの登場も含めました最新の出走順と、チャンピオンズCで牡馬に挑む2頭についてまとめて行きたいと思います。まずは、11/3に行われましたJBCレディスクラシックの回顧については以下からどうぞ。

 それではまず、クイーン賞の展望をお送りしたいと思います。このレースは当初エントリーしていましたアーテルアストレアチャンピオンズCに向かい、さらにはペルアアが回避してそのまま引退と、珍しく補欠2頭分まで枠が回ることになりました。その枠をゲットしたのは補欠1位だったパライバトルマリンと、5位だった久々のダート戦となるビジンの2頭。枠が回ってくるのを待てなかった3頭はちょっともったいなかったなという印象ですが、シンプルにテリオスベルVS3歳の2頭という構図が出来上がりました。

 このレースを考えるうえでのポイントはまず、テリオスベルノーブルシルエットの並びかと思います。船橋1800mは直線のポケットからの発走となり、スタート後の直線が長いコース形態。そこで大外を引いたテリオスベルに取ってはかなり適した条件が揃いました。また、近くにいつも先行争いをするノーブルシルエットがいまして、この馬をターゲットに押して行けるわけで、昨年の伝説となった「1角まくり」の再現まで期待できると思います。
 やや競馬が難しそうなのが、こちらのできればスムーズに前に着けたいパライバトルマリン。内目の枠を引いてしまい、外から先述の2頭が押し寄せてくることにより、上手く外目に出せるかがポイントになりそうです。そうなるとその後につけるであろう、ライオットガールの方が競馬はしやすいのではないかなと。ライオットガールがどこまでテリオスベルに迫れるか、というレースになるのではという見方をしています。
 ビジンはもともとダートで準オープンまで来てやや頭打ちとなり、芝に転向して活路を見出した馬。現状のこの路線のトップ層とは、力的に開きがあるのではと思います。あとは、パライバトルマリンが展開に飲み込まれてしまった際。地方勢からサブルドールゴールデンヒーラーあたりの食い込みまで、警戒しても良いのではないでしょうか。

 続いての話題はペルアアの引退です。2勝クラス3勝クラスからの一気の3連勝でマリーンCを制し、これからの活躍が期待されていたペルアアですが、スパーキングレディC、JBCレディスクラシック、クイーン賞と3度の出走馬選出からの回避の末、コンディションが整わなくなったのか登録抹消となってしまいました。ダート戦は7戦5勝と完璧な成績を残し、American Pharoah産駒という血統的な魅力もあり、この路線の中心としての活躍を期待していただけに、真価を見せぬまま引退となってしまうのは大変残念です。しかし、繁殖としてのポテンシャルも間違いないでしょうし、産駒の活躍に期待したいと思います。

 同じく先月のブラジルCで1年ぶりに復帰していたジュディッタも、オープンクラスではこの1走のみで引退。この馬も準オープンでの堅実な走りから、グレードレースでも期待できるポテンシャルは見せていただけに、惜しまれます。

 去る馬もいれば、来る馬もいます。東京ダート2100mの3勝クラス晩秋Sを先行して抜け出す完勝、4戦4勝でオーサムリザルトがオープン入りを決めました。パフォーマンスからはダートグレード競争へのエントリー以前に、普通に牡馬混合のオープンクラスでも人気になるくらいのインパクトであり、ダートグレード牝馬路線にもコマを進めてくることは間違いないでしょう。500kg弱の雄大な馬体のJustify産駒で、非常にスケールを感じさせてくれる馬体、そしてパフォーマンスです。その後は放牧に出たようで、次は明け4歳の年明けになるかと思いますが、どういった舞台選択をしてくるかも含めて非常に楽しみな新星です。

 そんなオーサムリザルトも含めました、最新の出走順の整理です。来年はカレンダーが変わりまして、2月に開催されますクイーン賞から、ダートグレード牝馬戦線が始まります。さすがにまだ出走意思を示している馬もいないので、こんな順番になるんかーというくらいでご覧いただければと思います。

2024年クイーン賞出走順(2023/11/28現在)

 最後に、今週末にはいよいよダート中距離路線の王者を決めるチャンピオンズCを迎えますが、ここに牝馬代表としてアイコンテーラーアーテルアストレアの2頭が参戦してくれます。この2頭であればチャンピオンズCでもチャンスがあるのではないか。今年のメンバー構成であれば何の不安もない絶対的な存在はいないので、一発狙えるのではないかと思い続けていたので、まずはエントリーしていただけた陣営のチャレンジ精神に感謝したいです。

 アイコンテーラーは元々芝の時代から左回りを得意にしていまして、初ダートは新潟のBSN賞の快勝でした。先行して押し切るレーススタイルは鞍上モレイラともマッチしそうで、条件としてはかなり良いレースだと思います。さらに内目の枠を引ければ正攻法で牡馬相手に戦いが挑めるのではないでしょうか。斤量2kg減は意外とこのレースでは効いてきます。スムーズに運べれば馬券圏内に入る確率は十分にあると思います。
 アーテルアストレアについては、中京ダート1800という条件については圧倒的な巧者です。特にこのコースでのコーナーでの機動力には目を見張るものがあり、後方に構えて自分のペースでコーナーで進出し、直線ではしっかりした決め手を繰り出せます。さらに人気もあまりないでしょうし気楽に後方に構える競馬もできると思いますので、初コンビとなる横山武史ジョッキーには、やることは一つだけとシンプルに挑んで欲しいですね。前が止まる展開になった際には、この馬の決め手が発揮されるシーンもあると思います。
 前が残るならアイコンテーラー、前が止まるならアーテルアストレア。牝馬二頭が両面に構えて虎視眈々と勝機を伺うレースになると思います。過去、サンビスタの1着4着を筆頭に、アンジュデジールも4着していたりと、出走頭数の割には意外と善戦したりしているチャンピオンズCの牝馬。ぜひ、馬券検討の際にはあんまり人気にもならないでしょうし、ご一考いただければと思います。

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