ダートグレード牝馬路線定点観測(2023年4月)
ダート牝馬路線の定点観測第二弾になります。今回は、マリーンC回顧、スパーキングレディーCに向けた最新ボーダー、そしてJRAにおけるダート牝馬路線の頂点である、3勝クラス牝馬限定戦についての解説の三本立てにてお送りさせていただきます。
まずは、4/12に開催されたマリーンCの回顧から。芯力のスペースの書き起こしからお届けします。
マリーンカップですが、正直あまり回顧するほどでもない、ご覧の通りでございますというようなレースでした。事前にも展望で話してましたが、ペルアアがどういう勝ちっぷりを示すのかというのがこのレースの見どころだろうなというところでした。距離に不安があるチェイスザドリームが道中それなりに緩めて逃げていく中、2番手をペルアア取った時点でレースとしては勝負あったというような形だったかなと思います。レディバグらの相手に、しっかり5馬身という形で別次元のレースを見せてはくれていましたので、この路線のトップ3の次ぐらいのところにはしっかり入ってきたかなという気がします。あとは3着に来たナンヨーアイボリーが、ゲートで出負けをして今回は外から全部後ろからぶん回していくというかなり辛い競馬ではありましたが、なんとか最後は混戦の3着争いを差しているような形になりました。牝馬限定のレースを使ってきて距離を伸ばしてきた中で慣れというのは見えてきたかなという風に思います。今後は枠の争いで賞金がなくなってくるので、出走枠に入れるかどうかというのはあるんですが、またどこかで枠に入れると人気にはならないタイプなので、狙ってみて面白い馬ではないかなというような印象です。
この路線はあとは次は7月までしばらくお休みになりますので、またその間は多分今日も天満橋ステークスの牝馬のタガノクリステルというのが勝ったりしています。多分この間でまた準オープン含めた新興勢力が出てきて、スパーキングレディーカップからブリーダーズゴールドカップへというような形で、そこで勢力図がどう変わっていくのかなというところを楽しみにしております。
それでは最新の賞金ボーダーのご紹介です。次のレースは7/5に川崎競馬場で行われるスパーキングレディーCで、出走馬決定は6/18。頭数は4頭の狭き門、そこに向けたボーダーとなります。
ダートグレードレースの現状の三強からはグランブリッジが既に出走予定を表明。斤量は背負いますが中心は間違いないでしょう。ヴァレーデラルナはかしわ記念予定、テリオスベルは平安Sを予定していますが、そこから向かってくることはローテ的には可能です。マリーンCで初重賞勝ちのペルアアも登録のあったかきつばた記念は回避し、同じマイルの条件での重賞連勝を狙います。また、マリーンC2着のレディバグは既に直行を予定と、二ヶ月前ですが実績上位馬が揃って来ています。新興勢力では天満橋SでOP入りを決めたタガノクリステルが直近1年の賞金もあり、使おうとすれば使えそう。次走が栗東SかスパーキングレディーCかという状況で、注目したいですね。ここに加わってくるとすると、この後触れます三条Sの勝ち馬の過去一年の賞金次第、と思われます。
最後は3勝クラス牝馬限定戦について。今週の土曜新潟のメインレースに三条Sが組まれています。牝馬限定のダートの3勝クラス、準OPのレースですが、3勝クラス牝馬限定戦でダートで組まれているのはこのレースを含めてたった3レース。オープン以上のレースはもちろんありませんので、JRA開催における牝馬限定のダート競争としては最高峰のレースになります。他には、1月中京に遠州灘S、そして10月阪神にトルマリンS、いずれもダート1800mの条件で施行されており、年に必ず三頭のダート牝馬のオープン馬を輩出する仕組みになっています。(2022年の三条Sは福島開催のため東北Sとして施行)
この3勝クラス、牝馬限定のダートのレースの歴史は浅いです。2021年の1回新潟開催に三条Sが突然誕生した時には、この路線の愛好家は大きく沸きました。そもそものきっかけは2019年の降級制度の廃止。降級がなくなったことにより、3勝すれば牡馬相手の戦いを強いられることになり、頭打ちになってもクラスは下がらない状態で滞留。牡馬相手にダートの中距離で3勝クラスを勝ち切ることは非常に難しく、除外とも戦いながら牡馬相手に挑み続けるより、このタイミングで南関東に転厩した方が良いのではと見られるほどでした。準OPに滞留する迷えるダート牝馬への救世主がこの3レースだったのです。
過去の勝ち馬には初代三条Sの勝ち馬リネンファッション、そして昨年のトルマリンSからJBC制覇まで駆け上がったヴァレーデラルナ。遠州灘Sは今後の飛躍が期待されるアーテルアストレア等の名前が並び、ダート牝馬路線の玄関口としての存在感、ぜひ認識いただければと思います。
今年の三条Sもめちゃくちゃ好メンバー!と思っていたら、3頭の除外枠に上位人気が見込まれたコルドンルージュ、ステイブルアスク、新潟実績があり穴っぽいラブパイローが入ってしまうことに。やはり現場の需要も高いレース、もう少し増えてほしいと願っております。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?