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2023年高松宮記念・マーチS・日経賞・毎日杯回顧

この記事は、2023年3月25日21時30分〜 Twitterスペース 芯力休憩所 #20「土ドバイ&高松宮記念スペシャル」、2023年3月26日16時30分〜 Twitterスペース 芯力休憩所 #21「高松宮記念速攻レビュー」からの文字起こしです。


蒼山サグ(以下、蒼):土曜日の阪神11レースの毎日杯を振り返ってみましょう。勝ったのはシーズンリッチ。初重賞制覇ということになりましたが、こひさん、どのような感想をお持ちでしょうか?

こひ(以下、こ):はい、毎日杯ですがクラシックに直結する年もあれば、そうでもない年もあって、結構年によって分かれるようなレースだなと思っています。今年は非常にメンバー的にも混戦で、直線も最後にかなりの混戦の中をうまく割って角田大河ジョッキーのシーズンリッチが出てきたというような感じで、今年に関してはそんなに全体のレベルが高くなくて、今後というよりはここに回らざるを得なかった馬たちが、やり合った中でうまく乗った馬、そしてジョッキーが結果を出したそういったレースだったかなと思います。特に勝ったシーズンリッチですね。この馬もちょうど土曜日の阪神が比較的内側が伸びるというような傾向があったところで、ちゃんと出していってインを確保して競馬の方を進めていきまして、それで直線でも若干厳しくなるような場面もありましたが、うまく進路をねじ込んで確保していって、最後は差し切ったというような形で。この馬確か水曜ぐらいまでは騎乗予定が出てなかったような気がして、こういったチャンスを関東馬でしかもドバイの裏でということで、ジョッキーが非常に少ないという条件で、(角田大河騎手に)多分回ってきた大きなチャンスというのをよく一発で掴んだなとそういうレースだったなと思います。これを勝ってダービーに行きたいというような陣営のコメントも出ていましたし、オーナーも個人オーナーで、ひょっとしたら自分で権利を取ったので(クラシックで)乗せてもらえる可能性がありえる組み合わせにも見えます。そういう意味では、本人にとっても同期の今村ジョッキーの影に若干隠れがちではありますが、勝ち鞍ですとかそういったところを見ていても非常に期待ができるジョッキーかなと思いまして、すごく今後に向けて大きなレースだったのかなと思っております。

蒼:はい、ありがとうございます。他に何か触れておきたい点はありますか?

こ:そうですね、キングズレインはもうちょっとグダグダのレースになってしまいましたので、一回立て直さないといけないのかなと。今回きちんと勝ち切った時には冒頭言ったように今後に向けて非常に重要なレースになり得る可能性はあるのかなと思っていたんですが、ちょっとそこは残念だったなと思います。振り返ると函館の新馬は3着で終わりましたが、その後の成績からするとちょっと案外というレースをしていますから、ちょっと重馬場は良くないのかもしれないですね。あと2着のノッキングポイントは普通に外回って来ましたという形で大きなインパクトはなかったんですが、NHKマイルカップが相手次第というところもあるレースだなと思いますので、そういう路線であるとまたジョッキーも変わってくるでしょうし、改めて見直しても良いのかなと。

蒼:続きまして中山11レース日経賞ですが、こちらはタイトルホルダーが圧巻のレースという形でしたが、こちらも感想いただけますでしょうか?

こ:いやもう本当に圧巻でしたね。この日の中山他のレースを見ていてもあまりにも馬場が悪すぎて後方からの競馬が届かないというような完全消耗戦みたいな競馬場になっていた状態かなと思います。ただそれでありながら前半1000メートル62.8というと、そこそこ普通だと思うんですよね。この酷い馬場の中で言いますと、それなりにちゃんと自分でラップを作った状態で最後までまとめきって、ご覧の通りの完勝というところで。逃げて2番手がディアスティマでしたかね。(隊列が)固まった時点でタイトルホルダーが勝つだろうなというのは見えるレースではあったんですが、実際に見せられたインパクトというのは非常に強烈なレースで。特に去年の日経賞が苦しんでいたレースだったので、そこのインパクトが大きかったですね。あとはやはりアスクビクターモアが出遅れて、多分馬場的に出遅れたら勝ち筋はない形かなと思いますので、その時点でもレースとしてある種決着がついていたところはありますが、本当にタイトルホルダーの強さというところが際立つレースだったなと思います。

蒼:他に見どころなど見出したところはありましたか?

こ:そうですね、ボッケリーニにはやっぱこういう競馬があいますね。去年も確かに日経賞で2着だったかなと思いまして。あとはライラックですとかやっぱりオルフェーヴルはこういう馬場でも後ろから突っ込んでくれるというところで、やはりこの馬、舞台設定が整うと牡馬、牝馬の一線級相手でも出番というのはあるなというようなイメージです。

蒼:中山11レース。ダートのマーチステークス。こちらもなかなかの馬場の中を行われた中で、ハヤブサナンデクンが勝ち切ったというレースでしたが、よろしくお願いします。

こ:はい、このレースは荒れるマーチステークスらしからぬぐらい順当に決まったなという印象のレースでした。やはりこの日の馬場状態を見ていると、もう本当にズブズブの不良馬場である程度前目のポジションを取った馬、スピードの持続力が求められた競馬。4着になったロードヴァレンチも含めて、1着、2着馬とその3頭は非常にスムーズなレース、そして能力が出し切れたというようなところかなと思いました。ウィリアムバローズとかは本当は勝ち上がってきた時の連勝をしてきた時の期待感からすると、こういうところちょっと勝ち切れないなというところはちょっと思いましたね。逆にハヤブサナンデクンとかも東海ステークスでのレースぶりでを見ると最近さらに力をつけてきている印象もありましたし、馬場状態というところもチャンスにつけて、うまくハンデ差0.5キロも含めて勝ち切るというようなところに持っていけたのかなと思います。あとは目を引いたのは1頭だけ追い込んできたキタノヴィジョンですね。また江田照男ジョッキーがすごい馬持ってきたんですけれど、途中は内に張り付いてめちゃくちゃいいいい手応えで直線でうまく斜めに外に出しているみたいな形で、綺麗にはまって飛んできていましたし、この馬もこういう馬場が渋ったときとかで後ろからくるというところは、過去確かブリリアントステークスとかでもそんな競馬していたかなと思いますので、そういう条件では非常に面白いかなというところを思いました。

蒼:オータムセール432万円と書いてありますね。これは馬主さんすごいですね。

こ:ハピはそういう意味だと、ちょっとこの馬場が合わなかったのかなという印象ですね。先ほど言いましたうまく乗った前3頭の後ろにいたんですけれど、完全に上がりの時計では負けて離されるというような形にはなっていましたし、斤量もそうですがにこういった渋った脚抜きのいい馬場が向いていないのかなという印象です。あとはカテドラルですね。道中の手応えがめちゃくちゃ良くてこれちょっと内からぶち抜くんじゃないのかなという雰囲気はあったんですけど、意外に追ってから伸びずバテずという感じではあったんですが、ちょっとパワーのいるダートとか適条件がない時にまた砂に出てくるとちょっとハンデ戦じゃなければ、なおさら(楽しみ)じゃかなと。

蒼:それではG1の高松宮記念にいきたいと思いますが、こちらはナムラクレア推しのこひさんも、かなり臍を噛んだレースかとは思うのですが。

こ:勝ったと思ったんですけどね。

蒼:ではちょっと具体的に聞いていきましょうか、お願いします。

こ:そうですね、このレースは本当朝から見ていても完全に雨で内側の馬場が使えない状態に突入して、昨日からも馬場状態が変わっていたかなと。シンプルに真ん中から外が伸びますよというのと、非常に重馬場適正が高い馬であればイン差しでもそこそこ出てくることもあるというのが、事前のレースとかで見えていた傾向かなと思いましたが、だいたい決着的にもその通りになったのかなという印象です。やっぱり今回ちょっと面白いなと思ったのは、勝ったファストフォースナムラクレアも前走が今年中京で行われましたシルクロードステークスで一緒なんですが、シルクロードステークスは馬場状態めちゃくちゃ確か良くて確か上がり33秒台ぐらいの勝負をしていたレースだった記憶がありまして。全然時計とかの条件が違うのに同じ組み合わせがワンツーに来たのは結構不思議だなと改めて結果を見ながら思いました。多分この渋った馬場だからこうなったというよりは、この2頭はしっかりした(持っている)パフォーマンスを見せたと考えた方が良いのではないかなと思います。特にファストフォースが結構レースぶりが7歳にもなるんですけど良くなってきてるなと思っていて、渋った馬場も走れるというのは、これまでも示していましたしもともと小倉で日本レコードを出したようにスピードもある馬ではありますが、どちらかというと揉まれ弱くてスムーズな競馬にならないと結果が出ないイメージがある馬だったかなと思います。今回そういう意味ですと割とぐちゃぐちゃ道中もしていまして、実は今回も若干折り合い含めて、お行儀の悪いところがあったメイケイエールと3コーナー近辺で隣り合っているのはこの馬なんですが、改めて見直してみますと変なプレッシャーがかかってくるような状態になっていても、ちゃんと能力は出し切れるようになっているというのは、大きな進歩なのではないかなと。今回やはり他の有力馬が馬場に(持ち味を)削がれて、力を出し切れなかったということも間違いないんですが、内容としては完勝のレースだったなというようにも見えるなと思いました。やはりちょっと人気薄で不良馬場で勝ってしまうと、一発屋っぽく見えてしまうというのもあるんですが、改めて見ているともうちょっと良い評価をしても良い内容かなという印象です。一方私も知っているナムラクレアなんですが、これは勝ちに行く競馬をして2着なので仕方がないかなというところで、馬場も中京も適性があって力は出し切れたんですが、結果的にはファストフォースの方がちょっとだけ枠が内だったりして、常に一個ぐらい前で内で競馬をした。多分そこのロスのない競馬をした分とあまりにも馬場が悪すぎて、そこまでの切れ味で差をつけられなかったのかなそういったところかなと思います。まあ本当にこの辺りは勝負のアヤ一つのところであると思いますので、この路線の中心はやっぱりこの馬なのかなというところは改めて示したのではないかなと思います。あとは3着のトラヴェスーラですね。この馬は本当にいかにも血統的にもドリームジャーニーで母父アドマイヤコジーンですから、この条件が上手くないわけがないみたいなところだったんですが、丹内ジョッキーがすごく腹をくくってイン差し一択みたいな形で構えて上手くはまったなというところですね。

蒼:ちょっと雑談になりますが社台グループの丹内っていつぶりなんでしょうね?

こ:いや本当そうですよね。今回だから鮫島ジョッキーがトウシンマカオに乗ったので浮いて回ってきたみたいな形ですよね。

蒼:全然記憶にないちょっと後で調べてみましょう。
(追記:丹内騎手の社台グループの重賞騎乗は2018年のマーチS。ブレスアロットで15番人気12着でした)

こ:そこも含めてこのレースってドバイの裏開催かつマーチステークスもある3場開催ということで、勝った団野ジョッキーはファストフォースにはずっと乗っているので今回はそうではなかったんですけど、いろんなジョッキーにチャンスが来るレースだなぁというところが改めて思わされますね。こういうところも含めて風物詩的なレースでというような捉え方でいいのではないかと、。

蒼:そうですよね、こういうレースが一つぐらいあってもという感じはします。

こ:その分スプリントというか短距離は今ちょっと混戦の時代がずいぶん長く続いてはいますが、秋になると近年は3歳馬がサマーシリーズからそのままスプリンターズに来るという流れもできつつあって。秋はナムラクレアファストフォースが一定の中心ながら、今回前にいってアグリが結構最後まで残っているところで非常に見どころがあったと思いますので、アグリピクシーナイトがどれぐらい戻るかみたいなところに3歳も含めてどういう構図になっていくかというところは非常に面白いなと。また色々楽しみにしていきたいと思います。

蒼:高松宮記念の解説他に何か喋り残したこととかはございますか?

こ:そうですね、トウシンマカオですとかウインマーベルあたりが外枠を引いて血統的にはこなせるのかなと思っていたんですが、走らせてみるとこれほどの馬場はこなせなかったなというところで、この2頭あたりは条件で殺された可能性が結構あるかなと思いますので、改めて今後馬場がいいところでは見直していきたいなと思います。


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