2023年2月フェブラリーS・ダイヤモンドS・京都牝馬S回顧
この記事は、2023年2月18日21時〜 Twitterスペース 芯力休憩所 #11 「フェブラリーS前夜スペシャル」、及び2023年2月19日16:30〜 芯力休憩所 #12「ありがとう福永祐一」からの文字起こしです。
蒼山サグ(以下、蒼):本日はフェブラリーステークスを取り上げていきたいと思います。まずゆたさん、率直にレースを見た感想など聞いちゃって大丈夫ですか?
くらみゆた(以下、ゆ):まずはレモンポップが強かったなというところと、何より坂井瑠星騎手の騎乗が素晴らしかったなという風に思いました。今日のレースを見返したんですけども、大きく(勝因は)3点くらいあったかなと思っていて。一つはまずスタート。根岸ステークスでは、ちょっとスタートが安めだったと思うんですけれども、今回キッチリ出したというところが非常に大きくて。その後メイショウハリオが出遅れたので、ちょうどドライスタウトの横がぽっかり空いてたんですよね。うまくそこで真横についたのが大きかったのかな、というのが一つありました。あとはそのままダートに入ったところ、で2点目ですけども、ドライスタウトの横で圧をかけ続ける。昨日こひさんから、(ドライスタウトはレモンポップの)前か後ろかって話になったんですけども、ほぼ真横ですよね。もうドライスタウト的には何もできない感じで、ずっと圧をかけられてしまい続けたというところで。今回武豊が2番手に入って、ペースがだいぶ落ち着いたというところもあったので、道中結構ギュッとした(馬群)ところもあったので。やはりその辺を含めてかなり厳しい競走をドライスタウトはさせ続けられましたし、レモンポップはよかったのかなと思います。あと(3点目は)最後 800を過ぎたところで、コーナーのところでレモンポップが、スッと外側で進路を確保してるんですよね。なので直線入ってからもうほぼほぼまっすぐ伸びてくるだけっていう状態だったので、そこも含めて素晴らしい坂井瑠星の騎乗だったなと思いました。
ゆ:やっぱりちょっと前に横山武史が上がってきたときに、人気馬で勝てるようになるっていうのは、やっぱり騎手にとっては大事。人気薄で勝つっていうのは派手だけど、やっぱり人気馬できちんと勝てるっていうのは大事だよって話が話題に上がったかなと思うんですけども。今回坂井瑠星のG1でド本命に乗って、先手先手でレースをコントロールしきって勝ちきった。レモンポップが非常に乗りやすい馬だったと思うんですけれども、そうは言っても根岸ステークスはちょっとスタート出遅れとまだいかないですけど、後方からになりかけたりもしたので。その辺を含めて非常に素晴らしい競馬を坂井瑠星騎手がしたのかなと。今回乗り換わりっていうのが一つポイントだったと思うんですけども、そこも含めて陣営の全ての歯車が噛み合っての勝利だったのかなという風に思いましたね。
蒼:こひさんから総括として何か付け足しとかございますか?
こ:そうですね、ちょうど私、先ほどゆたさんがおっしゃられたように、レモンポップとドライスタウトの並びがどうなるかを注目してたんですけれども、昨日の(発言が)フラグみたいになってたと思ったんですが、やっぱりパトロール見直してもドライスタウトの先が出て、メイショウハリオをがいなくなったりですとかもありましたもので、(ドライスタウトが)自分の意思でポジションを決められなくなってしまったなというのが、多分今回のレースの流れを決定付けたところかなということ。そこでレモンポップはそのチャンスを逃さずに完璧に封じ込めたというところが、すごく見応えがあるところだったなと思います。あとはこれはそんなに前半からタフな流れというほどでもないんですけれど、馬群が結構密集していて結果的には前にいた馬が、割とみんな苦しい形になっていた。(そんな)レースの中であそこまできっちりと突き抜けたというのは、やはりこの馬のパフォーマンスが1枚上だったのかなと。あと2,3着はやはりこういう流れになってくると、本当にレッドルゼルはもっと短いところ、メイショウハリオはもっと長いところですが、一言で言うと実績が抜けてる馬2頭が来ていたということで、完全な地力勝負のレースに終わってみればなっていたんだなと思います。で その中で一番正攻法で完勝したレモンポップというのはこの路線で言いますと、完全に1枚続けたかとそういった印象です。
蒼:ありがとうございます。あと個別の馬で何か印象があった馬とかがいらっしゃいましたら、ゆたさんいかがですか?
ゆ:そうですね、この馬というよりは今回レモンポップが単勝で(オッズが)抜けたんで紐でちょっと人気薄ないかなって、ちょっと色気を持った馬券を買ってしまったんですけども、結果的にレッドルゼルとメイショウハリオ、まあまあ人気のほうがきちんと来てるっていうところで、G1で馬券難しいっていうか、みんな馬券巧いな思ったのと。さっきこひさんがおっしゃったとおり、やっぱりペースがある程度遅かったものの、それだけに直線に純粋なスピードというか、地力が問われたレースで実績馬が来たというレースになったのかなと思いました。
蒼:ありがとうございます。こひさんは何かまた触れておきたい馬はいらっしゃいますか?
こ:スピーディーキックが頑張りましたね。あまりスムーズに行かなくて、進路探しながらの直線勝負になりましたけど、もう一つハマれば一つ上に行けたのかなと思いますし、昨年の関東オークスを走っていたときより力を付けてきたと思いますし、上がりが36.5ということで中央の重賞でもやれるんじゃないかなと思いました。あとセキフウを注目馬に上げたのですが、いつものポジションならひょっとしたかもしれなかったので、今回は良いスタートで前のポジションになったのが不思議だなというふうに思いましたね。
蒼:そうですね、なかなかうまくいかないものですねという感じです。ありがとうございます。あと二番人気だったドライスタウトがやっぱちょっとキャリアというか、ちょっと今回は実力以上にうまく封じ込められた感じがありましたかね?
ゆ:枠の並びはやっぱり今回内枠っていうところがあって、どうしてもフェブラリーSは外枠のほうがレースしやすいコース形態というところもあるとともに、レモンポップがすぐ外側に横にいたっていうので、ちょっと正攻法で勝つには厳しい並びの展開コースだったのかなっていう印象はありましたね。
蒼:ありがとうございます。今はちょっとレースが終わったばっかりでわからないところではありますが、レモンポップこの後はドバイ に行くんですかね? ゴドルフィンマイルでしょうか?
ゆ:今回一応マイルはこなしたんで、マイルを嫌う理由はなくなったのかなと思うんですけど、本質的にはやっぱり1400ぐらいまでがいいのかなっていう気もするので、ちょっとこの後のレース選択はいろいろ気になるところでありますが、とはいえどこ行っても通用するようになったんじゃないかなと思います。
蒼:ありがとうございました。何か他にフェブラリーSがらみで、少ししゃべっておきたいこととかございますか?
ゆ:福永祐一の引退のセレモニーの中で、坂井瑠星騎手が勝って。若手がG1を爽やかに勝って、やっぱり(坂井瑠星騎手は)華がありますよね。
蒼:そうですね、かっこよいですね。ゴドルフィンブルーも非常によく似合ってました。
ゆ:こういう騎手が出てくると競馬人気にも刺さりやすいかなっていうのもあって、見てて爽やか青年というか。海外でずっといろいろ乗ってきていて、技術にしろメンタルにしろ、ぽっと出ではなくて、きちんと裏付けがある中での今回のG1勝利っていうところがあるので、これはかなり今後に向けて、去年も言ってますけれども、本当に飛躍の年になるんじゃないかなって感じます。
こ:一番人気の乗り替わりでG1を勝っているんですよね、かなり凄いと思いますね。こういうパフォーマンス出せるとやはり他のジョッキーで有力馬が勝ち合った時に、選択肢に自然に上がってくるポジションにたどりつけていると思いますので、今後ジョッキーを代表するような馬に、うまく巡り合えるチャンスがどんどん大きくなってきているなと思います。
蒼:ありがとうございました。あとそれでちょっと個人的にすみません、昨日の放送を聞いた方が、もしいらっしゃればなんですが。他の参加者は全然そんなことなかったんですが、僕がちょっと一人だけモレイラ不調なのでは?と大変申し訳ございませんでしたと、一言謝っておきます。申し訳ありませんでした(笑)
ゆ:でもなんかモレイラ距離長いとこは危ないんじゃないですかね(笑)昨日のダイヤモンドステークスのコメントだけ見るとそんな持ってかれないでよって思ったんですけど。でも追わせるとね、やっぱり首にピタッと貼り付く騎乗フォームってのは、なかなか唯一無二だなと思いましたね。
蒼:そんなモレイラもおそらく日本で見られるのはこれが最後になるかなっていう感じで。そして偉大な福永騎手も今日で日本での騎乗はラストっていうことですが、時間がないので改めて福永騎手については、いろいろ別の機会で聞きたいと思うんですけども。今日のうちに何か話してみたいこととかもしであったらお願いしたいんですけれども。
ゆ:やっぱり競馬場の雰囲気がちょこちょこ(SNSなどで)伝わってきたんですけど、すごい拍手・歓声が福永祐一に向けられてる っていうのはちょっと感慨深いなと思いましたし、こういう場に師匠がね、北橋元調教師いらっしゃってて。(福永騎手が)勝ったときも口取りに入ってる姿を見て、本当とにかく優しい世界だったというか、競馬もハートフルな世界が広がるんだなみたいなことをちょっと思いましたね。
蒼:一つ勝ったんで本当によかったです。
こ:雰囲気がなんか良くなったなっていうか、みんなコロナで声が出せない時に発揮できる文化ができたというのがよかったですね。雰囲気づくりが場として成熟してきてるなっていうのがすごく思いましたね。
蒼:はい、僕は今回グリーチャンネル観戦になったんですけども、それでも雰囲気が伝わってくる、すごいいい感じな世界が見られてよかったです。
蒼山サグ(以下、蒼):本日取り上げるレースですが、メインレースでした阪神11レースの京都牝馬ステークスと東京11レースのダイヤモンドステークスのお話をしたいと思います。まずは時系列順に京都牝馬から振り返りたいと思うんですけども、結果としては逃げるウインシャーロットをギリギリでララクリスティーヌが差し切るという展開でしたが、こちらゆたさんに印象や解説などお願いしてもよろしいでしょうか?
くらみゆた(以下、ゆ):はいお願いします。勝ったララクリスティーヌ、こちら父親ミッキーアイルで母父がタニノギムレット、その先がフジキセキというところで、芝1400の申し子みたいな検討だなと思いながら見ていた馬です。この後ヴィクトリアマイルに直行っていうニュースが、今日(スペースの配信が)遅い時間だったので、そこまで見たんですけども。1600でどうなるのかなっていうのが楽しみだと思いました。あとは今回上位に来たこのララクリスティーヌの母父ロベルトなんですけども、ウインシャーロットがスクリーンヒーローで、ロータスランドも父親がPoint of Entryですけど、Dynaformerから遡ってロベルトというところになるので。昔は春のロベルト祭なんてことを中山競馬場の時期に言ってたりするんですけど、今日暖かめでしたが早めのロベルト祭が来ていたのかなと。こういう持続力求められるようなレースになってくると上がってくるのと。あと馬場も使い込まれているので、その辺もあったのかなと。
蒼:4着もエピファネイアですもんね。
ゆ:はい、この時期ちょっとロベルトがまとめて好走したのかなという感じです。
蒼:これは明日も、もしかしたら馬券戦略として使えるかもしれないですね。ちょっと注目してみたいと思います。
ゆ:あとはウォーターナビレラ。この馬もシルバーステートでロベルト入ってるんですけど、ちょっと今回は体重増というところもあったのか、大きく負けてしまって。この馬に関して言うと結構このファンタジーステークスというか短い距離のレースって好走する馬って、割と最近は早い時期から短い距離に専門に行って、斤量有利なうちに賞金稼ぐっていうパターンが多かったと思うんですけど。この馬はクラシック路線というか秋もクイーンステークス使ったりというところ。その後に休んでこのレースだったので本来だと今みたいな距離が似合ってるレース馬なのかなと思ってたんですけど、今回は負けちゃったのが残念だったなと思いました。
蒼:近走休んでは大きい着順っていうのを繰り返していて、ちょっと調整がうまくいってないのかなって感じもして、少し心配ですが今後も見守っていきたいと思います。あとは何か他にもし、こひさんの方から何か補足とかもありましたらお願いします。
こひ(以下、こ):私見てて一番驚いたのは何で18番枠のロータスランドが最内から来たかっていうところで、本当にもう後ろで腹をくくってインを突く岩田らしさが炸裂して、上がりが32秒8になって。ちょっと衝撃的なレースでしたね。あとは先ほどウォーターナビレラの話もありましたが、サブライムアンセム含めて4歳勢が震わなかったなあと。このレース見ての印象ではあります。やはり勝ち馬2着馬は結構骨っぽいリステッドとかで、牡馬相手にやってきていたので、これまであんまりなんか牝馬戦線という印象なかった馬ではありますが、ヴィクトリアマイルに向けての別路線組として非常に面白いなという、そんな印象です。
蒼:ありがとうございました。そうですね、京都牝馬の振り返りはこれぐらいで良さそうでしょうか。では次のレースに行きたいと思います。次のレースは東京のメイン、ダイヤモンドステークスの方を振り返りたいと思います。こちらはレコードが出るような、ダイヤモンドステークスにしては珍しいレースで、最後はオルフェの差し合いとなりましたが、こちらもとりあえず、ゆたさんからお願いできますでしょうか?
ゆ:はいそうですね、冬の長距離重賞の風物詩というような感じになっているオルフェーヴル産駒の1、2着というところで、やっぱりその時期というか、もう最近は長距離かダート、特にダートも短距離というところで、冬が似合う種牡馬になってきたいう印象を改めて思いました。あとはやっぱりそのオルフェーヴル、長い直線での瞬発力(を生かす)のはちょっと欠けるんですけども、やっぱりスタミナとか持続力があるので、やっぱりG3レベルこの辺がまあぴったりなのかなと思うので、距離伸びていいとはいえ天皇賞春とかなってくると、ちょっと今度キレ味が足りなくなってくるようなイメージがあるので、その辺をどう考えるかというところかなと思います。やっぱりステイゴールドにメジロマックイーンでノーザンテーストの3×4というところで、オルフェーヴルは本質的にはやっぱ欧州向きというか、ヨーロッパ向きで凱旋門賞も好走できたんだろうなと思いますし。ちょっと今日見てて思ったのが、先日サクソンウォリアー産駒が芝2200で初勝利上げて、サンデーレーシングのアイリッシュパールなんかは、ダート1200使ってるくらいなので、やっぱりヨーロッパで勝てるようなのは、日本だとダートとか長距離になってしまいがちなんだなというのは、改めて思いました。その考え方でいうとこの後母系に入ってスタミナというところを考えると、母父オルフェーヴルのドゥラトーレスがこの後UAEダービーというところもあるので、その辺楽しみだなっていうところと。やっぱりオルフェーヴル、スピード足りないところもあるので、アメリカンなスピード入れたくて、ストームキャットとかフレンチデピュティとかその辺入れたいねっていう話を、社台スタリオンのコメントであったことに読んだことあるんですけども。今回勝ったのは母父アフリートで、ちょっと懐かしいです。
蒼:そうですね。久しぶりに聞いた名前です。ヒュミドールもチチカステナンゴって、チチカスのほうは全然新しいですけど、ちょっと懐かしみ度は高い名前ですよね。
ゆ:その辺が長距離路線の醍醐味でもありますし、今アフリートというとプリモディーネ、スターリングローズで福永祐一みたいなイメージもあったので、ちょっとその辺も気になったのというのと、明日はドライスタウトとか母父アフリートで、ちょっとその辺も含めて注目かなと思いました。
蒼:はい、ありがとうございます。こひさんは何か感想がございますか?
こ:そうですね。私はこのレースあんまり検討する時間がなくて、すごく雑にモレイラ乗ってるからスタッドリーなどかという感じで、スタッドリーの単勝だけ買ってみてたんですけど。そのモレイラが3400mのレースなのに、もう残り1400とか500mぐらいで、前走らせてなんか分けのわからんレースになったという、その印象が一番強烈ではありました。なので多分先ほど出てましたオルフェーヴルオルフェーヴルになってるのも、もう普段のダイヤモンドステークス、どちらかというと割と溜めてそこそこ瞬発力求められるケースが多い印象があるんですけど、なかなか東京の長距離戦には珍しいガチンコスタミナ勝負になったのは、モレイラの貢献があって、その結果がこの1,2着になったのかな、全くもって想定外のレースだったなという印象ではありますが、レースとして見てる分にはめちゃくちゃ面白いですね。
蒼:モレイラはなんか騎手を観測してる人から、ちょっとフォームに違和感があるみたいな、つぶやきを見たりもしたんですけど、印象としては今のモレイラはお二方どうですか?
ゆ:レース後コメント見たら、普通に抑えられませんでしたみたいなこと(言っていて)、ちょっと腰とかやばいのかなとシンプルに思いました。こひさんはどうですか?
こ:いやまあモレイラがダノンダスター勝たしてるのとか、なかなかすごいなって見てましたね。その前のレースですとか結構難しい印象ではあったんですけれど、今日の成績だけ見てるとそこそこちゃんと数字的にはまとまってはきているのかなと思うので、そこまで大きく下げる必要はないかなと思いつつ、このレースのモレイラは逆にちょっと面白かったなという。
蒼:もうおそらくこの感覚を生かせるのは、あと1回きりでしょうけども、明日ちょっと注目しておきたいですよね。
こ:そうですね結構有力馬乗ってるのも多いですしね。楽しみです。
蒼:ありがとうございます。あと個人的にダイヤモンドステークスだと、シルブロンがトーセンジョーダン産駒ということで、ちょっともうそろそろトニービンの系譜も、なかなか厳しくなってきてるなというところで頑張ってくれるといいなと思うんですけども。この馬に対する印象とか何かあったりしますか?
こ:これはもうなんかシルブロンもそうですが、母馬がグレイシアブルーが偉大だなと、仔出しの良さというところが光るなと。今回は多分先ほど話したペースが合わなかったのはあったと思うんですが、パフォーマンスとしてそんなに崩れてなかったので、やっぱりトントンと勝っていくと続く血統なのかなというような印象はありますね。
蒼:メールドグラースの連勝もすごかったですからね。
ゆ:母父サンデーっていうところで、まあそれなりにやっぱりだいぶ年齢的に母父サンデーサイレンスも古くなってしまったのは血統表を見てて思いました。
蒼:なのでなんとか長く活躍してくれるところを見れたらいいなというふうに個人的に思っております。
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