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日本馬出走レースを中心に、馬券発売のないレースも含めて見所を徹底展望。勝利が一番近い馬に意外な名前が!(2023年BC展望)

この記事は、競馬評論サークル芯力のレース展望スペース2023.11.03からの文字起こしです。


BCフィリーアンドメアターフ

BCフィリーアンドメアターフ 出馬表

蒼山サグ(以下、蒼):5日の早朝に行われますアメリカのブリーダーズカップの展望を名馬電機社長さんにお願いしたいと思います。名馬さん、よろしくお願いします。進め方ですが、レース順に話していただく形がいいでしょうか。

名馬電機社長(以下、名):では、本日はですね、日本馬が出走する6レース。馬券発売がないレースも含めて6レースを、日本馬の出走レースを中心にご紹介していこうと思います。まず、レース出走順でいうと2日目にあたりますね。土曜日、日本時間でいうと日曜日の早朝に行われますフィリー&メアターフから進めていきたいと思います。ちょっとですね、レース数が多いので早口になるんですけども、早口になるとですね、某直弘さんみたいな感じのしゃべり方の方がしゃべりやすいので、ちょっとそんな感じで一回言ってみようかなと(笑)。

まずフィリー&メアターフはカリフォルニアのサンタアニタパークで行われる牝馬限定のレースです。日本からはウインマリリンが出走いたします。今年に入ってはちょっと精彩を欠いているんですけども、昨年末は香港に遠征して香港ヴァーズを制しておりますので、その当時の力を発揮できればという感じでしょうか。ただですね、対する相手はかなり強力でして、特に今回人気しているのはインスパイラル、ウォームハート、インイタリアンの3頭。まずはジョン・ゴスデン調教師の4歳牝馬インスパイラル。2歳時からフィリーズマイル、3歳時にはコロネーションステークスとジャックルマロワ賞、4歳になった今年もジャックルマロワ賞とサンシャリオットステークスと、ここまでG1を5勝している名牝です。騎手は今年でイギリスでの騎乗に区切りをつけたランフランコ・デットーリです。続きましてご紹介するのはウォームハート。こちらはクールモアが送り込むエイダン・オブライエン調教師の3歳牝馬ガリレオの牝馬です。初勝利はですね、今年の5月と遅かったんですが、夏にヨークシャーオークスでG1初制覇を飾ると、続くパリロンシャンのヴェルメイユ賞に出走してここも勝ってG1連勝で、ここに向かってまいりました。

こういったですね、ヨーロッパからの有力馬2頭。競走状況を見る限り非常に堅そうなんですけども、実はどちらも距離という点で一抹の不安があるんですね。ウォームハートの方はですね、初勝利とリステッドで10ハロン、今回と同じ距離を勝っているんですけども重賞勝ちはその後いずれも12ハロンのレース。一方インスパイラルはですねこれまで距離経験自体が1マイルまでしかない。そこから一気の2ハロンの延長ということになるので、いずれも力は上位なんですけどもなんなくこなす可能性がある。一方で日本でも馬券発売があるレースですので、馬券を買うという立場からですね少しひねって考える余地があるのかなと思っております。

そんなところですね、この2頭に割って入る可能性が最も高い馬としては地元アメリカのチャド・ブラウン調教師のインイタリアン。昨年のこのレース2着馬で、今年に入ってからもG1を4走して2勝2着2回と非常に安定した成績を残しております。馬券の軸としては、信頼度の高い馬と言えるのではないでしょうか。地元勢の中には、その他にもヨーロッパから移籍してきたフェヴローバーであったり、南米からの移籍ディディアなど面白い存在が非常に多いので、人気がヨーロッパからの2頭に集中しそうなので、馬券的にもそういった地元のアメリカ勢から馬券を絡めていっておいしい配当が得られるかもしれないなというのが私の個人的な見解です。

蒼:なるほど。ありがとうございます。いやー、合田直弘さんと喋ってるようで少し緊張します(笑)。ありがとうございます。とりあえず全体の展望いただきましたが、日本馬といたしましてウインマリリンなんですが、過去好走したレースと比べまして、今回のフィリーズ&メアズターフのコースというのはどうでしょう。似ているのか、むしろあまり似ていないのか。

名:そうですね、ウインマリリン自体がオークスで2着であったりとかしている一方で、小回りの阪神2200mのエリザベス女王杯を2着したりもしているというところがあるので、か小回りかというところというよりは、むしろパワー馬場かどうかというところが好走の鍵かなと。ロベルト系らしく、どちらかというとパワー系の馬場に特徴があるのかなという印象を受けます。個人的には今回の良馬場で行われるアメリカの芝は、どちらかというとスピードより軽さの方が求められるのかなと思うので、そこまでジャストフィットという感じはしないですね。

蒼:なるほど。分かりました。ありがとうございます。

BCフィリー&メアスプリント

BCフィリー&メアスプリント 出馬表

名:次はフィリー&メアスプリントこちらの方をご紹介していきたいと思います。ダート7ハロンで行われるフィリー&メアスプリント。日本から今回はメイケイエールが出走いたします。初めてのダートになるんですけども、すごくざっくり言うと日本のダートが砂だとすると、アメリカのダートは土という粘土といった感じですね。日本の芝で結果を残してきた馬でも、適性だけで言うと日本のダートよりもハンドリングができる可能性があるのかなと個人的には思っております。なので今回初ダートにはなりますが、メイケイエールもチャンスもあるのかなというような印象を受けます。

ただですね、有力と目されているのはやっぱり地元の実力馬たちでして、まずは最終プレップレースからバレリーナステークスを制ったのが、昨年のこのレースの2着馬エコーズールだったんですけども、この馬がレース前に故障で引退をしてしまいました。ですが、そのバレリーナステークスで2、3着に入った馬がこちらに出走してまいります。まずですね、2着だった5歳のグッドナイトオリーブ。昨年のこのレースの勝ち馬です。エコーズールに前走バレリーナステークスでは先着を許しましたが、昨年ブリーダーズカップフィリー&メアスプリントではエコーズールを破っていたということで、能力的には通用するものがあるのかなと思っております。

続いてバレリーナステークスで3着だったマタレヤ。こちらはゴドルフィンが送り込んできた4歳のパイオニアオブザナイルの娘です。昨年参戦時にはエイコーンステークス、今年もダービーシティディスタフとG1を2勝しております。ダービーシティディスタフではグッドナイトオリーブに先着をしておりますので、こちらも実力的には十分通用するものがあると思います。この他にはですね、昨年はディスタフの方に出走して7着だった4歳のソサイエティなんかも人気をしておりまして、2走前にこの馬は先ほど申し上げましたバレリーナステークス3着馬のマタレヤに勝っておりますので、力関係的にはこの馬もチャンスありなのかなといったような印象です。

蒼:はい。ありがとうございます。また例によって日本馬の方の話を少し伺いたいんですが、メイケイエール出走ということですが、こちらの地元のブラッドホース誌ではワイルドカードみたいな表現をされていたようなんですが、これを一切どう受け止めればよいでしょうか。

名:そうですね、今回私今結構地元の有力馬が実力が拮抗しているような感じにもお伝えしたんですけども、ブラッドホース誌のメイケイエールに関する記事を見ますと、どちらかというとグッドナイトオリーブ一強だよというような感じのニュアンスでして、ただその中でも今回初めて対戦するメイケイエールというのはまだ全くの未知数というか、いろんな意味でベールに包まれているということで、いわゆる日本でいうダークホースというような意味合いでワイルドカードという表現が使われたのかなというような感じですね。

蒼:なるほど、ありがとうございました。

BCマイル

BCマイル 出馬表

名:続きましてはBCマイルの方ですね。名前の通り、芝1マイルで行われます。BCマイル、今年はですね、日本からウインカーネリアンソングラインの2頭が出走いたします。ソングラインはですね、実績的にもここでも上位にランクされておりまして、実際に現地の評価としても一番人気を争う存在となっております。一方ウインカーネリアンについてはですね、現地の評価はまあさほど高くはないんですけども、持ち前の先行力と小回りコースがうまくフィットすれば一発があってもおかしくないと個人的には思っております。

ただですね、日本の2頭に対する欧州勢、地元勢も飛び抜けた馬こそいないんですが、なかなか骨太の相手が揃ったなという印象を受けております。まずはですね、そのゴドルフィンが送り込むドバウィの5歳牡馬マスターオブザシー。これまでですね、G2に2着などの実績はあったんですけども、2走前、カナダに遠征して出走したウッドバインマイルでG1を初制覇。前走、キーンランドで行われましたクールモアターフマイルG1を2着して、ここに出走してきました。

同じくですね、ゴドルフィンのエクシードアンドエクセル産駒の3歳牝馬モージも、有力馬の一頭です。今年、イギリスのレースで活躍した後ですね、ちょっと間隔は空いたんですが、前走、キーンランド、アメリカに遠征してまいりまして、QE2チャレンジカップG1を制して出走してきております。このゴドルフィンが送り込んできた2頭というのはですね、いずれもヨーロッパの調教馬なんですけども、北米で実績をあるという点でアドバンテージのある有力馬と言ってもいいのではないでしょうか。この他にもですね、フランスからの遠征馬、3歳牝馬のフランケル産駒ケリナも、前走、凱旋門賞デイのフォレ賞を制して参戦してきております。脚質的に先行することができますので、向くという可能性がございます。あとですね、地元勢では有力馬の一頭エグゾルテッドが本日回避したというところで若干手薄になった印象はあるんですが、それでもですね、それぞれ前走、芝1マイルのG1を制して出走してきていますジーナロマンティカ、カサクリードの2頭など、なかなか粒揃いなメンバーとなっております。もともと芝カテゴリーのレースなんですけども、ブリーダーズカップの中では北米勢が比較的ヨーロッパ勢と互角の成績を残しているレースですので、馬券的には、これら北米勢を複勝系の予想の組み合わせに加えて楽しみたいなと個人的な馬券の見解としては思っております。

蒼:ありがとうございました。日本馬について伺いたいと思うんですが、ソングラインがやっぱり地元でも有力視されているということなんですが、我々の印象としては、ソングラインというのは府中巧者のイメージが結構強いと思うんですが、ちょっと他の馬とも質問内容をかぶってくるんですが、今回構図的にはどうかなというところをご見解をお聞かせいただけるでしょうか。

名:そうですね、ちょっと枠順が外に入ったという印象を受けます。日本のマイルというとほぼほぼ1ターンの競馬になるんですけども今回については2ターンの競馬になりますので、ちょっと10番ゲートというのはスタートからの位置取りが鍵を握るかなというような印象を受けます。ちょっと後ろになりすぎるとゴチャつく可能性もございますし、そこでスタートしてから位置を取ることに意識を集中しすぎると先行争いに巻き込まれたりですね、ちょっとスタートで脚を使いすぎちゃって末脚に影響を及ぼすというような危惧もされるかなというところで、ここは戸崎騎手がどう乗るかというのは非常に注目かなと思っております。乗りやすいコース、走りやすいコースではないと思います。

蒼:なるほど。ありがとうございます。逆にウインカーネリアンの方は内枠も引けてますし、先ほどもお話しあった通り先行力とコースがフィットすればもしかしたら一発ということも。

名:そうですね。枠順は非常にいいところを引いたなという印象です。

蒼:はい。ありがとうございます。それとあとこれは軽いトピックスといいますか、フェブラリーステークスに出走していたシャールズスパイトとも今回名前を挙げられておりますが、この馬の評価はどんな感じなんでしょうか。

名:そうですね。昨年競馬場は違うものの昨年のこのレースの2着馬ですし、今回も多分人気はそこをそれほどしないと思いますので、私個人的には先ほど申し上げた北米勢の複勝予想の組み合わせの穴馬の一頭として考えております。

蒼:なるほど。ありがとうございました。

BCターフ

BCターフ 出馬表

日本からシャフリヤールが出走するBCターフですが、芝12ハロンでのG1です。シャフリヤール日本ダービー、そして昨年のドバイシーマクラシックを制しているんですけども、その昨年のシーマクラシック以来勝ち星がなく、少し低迷気味というのが今年に入ってからの印象なんですけども、ここで輝きを取り戻せるかどうかというところに注目が集まっております。ただですね、仮にシャフリヤールが日本ダービーもしくはドバイシーマクラシック当時の輝きを取り戻したとしても、勝つのにはかなり高いハードルとなるような、そんな豪華メンバーが今年は揃いました。後で紹介するんですけども、メインのクラシックが、少し寂しいメンバー構成になってしまいましたので、メンバーの豪華さという意味ではこちらの方が上かもしれません。

特にですね今年欧州からの遠征馬が非常に豪華なんです。まずご紹介するのは、クールモア・エイダン・オブライアンチームの大将格オーギュストロダンです。ご存知の通り、日本生まれのディープインパクト産駒にして、今年の英国およびアイリッシュのダービー勝ち馬です。古馬初対戦となったキングジョージこそ10着と大敗をしたんですけども、9月に行われましたアイリッシュチャンピオンステークスで見事復活。直後の英国チャンピオンステークスには向かわず、ここに照準を合わせてまいりました。そんなオーギュストロダンの英国ダービーで2着に入ったのがキングオブスティールです。英国ダービー前後も、2歳時のフューチャリティ、キングジョージ、アイリッシュチャンピオンステークスと、オーギュストラダンとたびたび相まみえてきたんですけども、主役のスポットライトを浴びる存在ではありませんでした。しかし、前哨戦の英国チャンピオンステークスは騎手がフランキー・デットーリに変更となり、ゴール手前の馬場を最高速から直線5頭抜きという派手なパフォーマンスで勝利。オーギュストロダンと5度目の対戦となる今回、引き続きフランキーを背に主役の座を奪えるのかどうか、非常に注目されるところです。

ここまで3歳馬だったんですけども、古馬にも注目はジョン・ゴスデン調教師が送り込む5歳のフランケル産駒モスターダフ。G1初挑戦となった昨年の凱旋門賞は20着と大敗をしたんですけども、今年は春先のサウジのネオムターフカップを勝利。ドバイシーマクラシックでは4着と敗れるんですが、ヨーロッパに帰るとロイヤルアスコット開催のプリンスオブウェールズステークス、インターナショナルステークスと連勝してまいりました。前哨戦の英国チャンピオンステークスは登録出走馬に名を連ねていたんですけども、馬場状態が極端に悪化したことを理由に直前で回避、スクラッチいたしました。両馬ともこのBCターフの良馬場を求めてここに出走してまいりました。この他にもフランスから遠征してきております、今年の凱旋門賞3着馬オネスト、エイダン・オブライエン調教師で前走アメリカに遠征してソードダンサーステークスG1を制しているボリショイバレエなど、非常に層が厚いんです。

蒼:ありがとうございます。なかなか総合格闘技的というか、いろんなところから強い馬が集まっている感じで、今まで日本馬について聞いてきて、ここでこの馬を日本馬以外を聞くのは軸が多少ぶれるかもしれないですが、オーギュストロダンがやっぱり僕の中では注目度が非常に高いんですが、勝つ時はめちゃくちゃ強く、負ける時はあれ?という負け方をするので、好走できる幅が狭いのかなというちょっとした印象もあるんですが、でもディープインパクト産駒ということもありますので、このBCターフという舞台でもう今まで以上のパフォーマンスを上げる可能性ももしかしたらあるのかなというふうに個人的には思っているんですが、その辺ご見解はどのようにお考えでしょうか。

名:そうですね、まあ可能性はあると思うんですよね。ディープインパクト産駒というところと、そもそも馬のポテンシャルとして非常に高い能力を持っている馬だと思いますので、勝てる可能性はあります。小回りがどうかなというか、馬場は確かに向かないと思うんですよ。小回りってなった時に、そこまで機動力を発揮できるか。とはいえ、そこまで心配はしてないんですけども、かつてというか今までもオブライエン調教師が数々好走してきているレースですし、ライアン・ムーア騎手は、私個人的な印象なんですけども、いかにも大箱向きなオブライアン馬をこの小回りのブリーダーズカップの内回りの芝コースでガシガシ追ってきて力づくで持ってくるという印象があるので、オーギュストロダンのパフォーマンスの発揮の仕方として正しいかどうかわからないですけども、ムーア騎手が無理矢理持ってくるっていうような絵はなんとなく浮かびます。

蒼:なるほど。このまま本当に軽い馬場になればなるほどいいっていう馬でもないとは思うんですけども、はい。ありがとうございました。ぜひ参考に楽しみにしています。

BCクラシック

蒼:それでは次ですが日本馬が出るとクラシックですね。ではBCクラシックについてよろしくお願いします。

蒼:はい。ダート10ハロンで行われますブリーダーズカップのメインイベントでありますクラシックです。ただですね、ターフの時に少し触れましたが、少し寂しいメンバー構成になってしまいました。枠順確定前にですね、今年のケンタッキーダービー優勝馬リッチストライクが出走を回避。さらに一番人気が予想されておりました、今年のベルモントステークス、トラヴァーズステークスの優勝馬アルカンジェロもスクラッチ、出走取り消しとなってしまいました。そんな状況もあってですね、日本から遠征しますドバイワールドカップ優勝馬ウシュバテソーロは、現地のオッズでも人気の一角となっておりまして、日本馬初のブリーダーズカップクラシック勝ちの期待が非常に高まってきております。また、もう一頭の日本からの遠征馬デルマソトガケも、3歳馬にもかかわらず海外遠征経験豊富な馬ですので、スタートが決まりマイペースに持ち込めれば、サウジ同様一発があってもおかしくないと思っております。

そんな日本馬に対する地元アメリカ勢の筆頭格は、有力馬が回避したとはいえ、強い馬が出てきております。全米を席巻した3歳馬アラビアンナイト。アメリカの名門バファート調教師が送り込む3歳馬なんですけどまだキャリアは4戦なんです。わかりやすい超ビッグネームは今回いないんですが、一番期待が集まっているというような感じです。この馬がおそらく一番人気になるのかなというような感じですね。ホイットニーステークスを圧勝した3歳馬ホワイトアバリオアラビアンナイト同様、前につけたい馬ですので、アラビアンナイトとの先行争い兼ね合いが鍵を握ってくるのかもしれません。その他ですね、ホワイトアバリオにホイットニーステークスで2着に敗れた後、ウッドワードステークスを勝利して、今回来年からアメリカに拠点を移しますフランキー・デットーリを鞍上に迎えましたゼンダンなんかも魅力的な一頭なのかなと思っております。ターフに比べて非常に語るところが少ないと申しますが、ターフが盛りだくさんだったので、クラシックがちょっと手薄に感じてしまうというのが正直なところの印象ですね。

蒼:なるほど。ありがとうございました。そうなると日本勢にもチャンスはあるということになると思いますが、そうですね。デルマソトガケにせよ、ウシュバテソーロにせよ、ドバイの実績を引っ下げるという形になると思うんですが、コース形状的に砂質が違うという話はあると思いますが、コース形状的にどうですかね。ドバイと比較して今回のブリーダーズカップの舞台というのは。

名:そうですね。ウシュバテソーロに関して言いますと、ドバイの時もそうだったんですけども、どちらかというと後ろから差してくるというのがパターンなのかなというところはあると思うんですけども、今回確かにアメリカ地元のアメリカの有力馬が前に行くタイプが揃っておりますので、そういった意味では展開は向きそうではあるんですが、メイダン競馬場と比べると1コーナーまでの入りは長く、最後の直線はゴールまで直線、ゴールまでの長さは短いというところで、単純にコース形状の面で言うとドバイよりは差し馬にはちょっと厳しいかなというような条件になりますね。そうは言ったものの、前走は前につけて、横綱相撲で完勝しておりますので、ペース次第ではあると思うんですけども、十分チャンスのある馬なのかなというところ。コース形状も加味してひょっとしたら前に行くかもしれないですし、前が早くなるんだったらドバイワールドカップ同様後方から脚を溜めて直線ズドンというような可能性も十分あり得ると思います。

蒼:そこは川田将雅騎手。一昨年フィリー&メアターフの方ですけど、アメリカでの勝利もありますし、そこはもう川田騎手を信頼して見守りたいなと思っております。次はどんなハンドサインが出るのか。出ないとは思いますが、楽しみにお待ちしたいと思います(笑)。

BCターフスプリント

BCターフスプリント 出馬表

蒼:最後ラストにもう一つターフスプリントの方に解説をお願いできますでしょうか。

名:はい。芝5ハロンで行われますターフスプリント。日本からはジャスパークローネが出走いたします。日本でも、現状のスプリント界で屈指のテンの速さを誇る馬です。個人的には今回アメリカに遠征している日本馬の中で最も勝つチャンスがある馬はどれかと聞かれたら、この馬を挙げると思います。

今回ですね、人気になっているのは欧州からの遠征馬ライブインザドリーム。2走前ヨークで行われましたナンソープステークスでG1初制覇、ウッドフォードステークスで4着となっております。そのウッドフォードステークスライブインザドリームに勝ったのが地元アメリカのアルザック。その他ですね、昨年のこのレースの勝ち馬カラヴェルであったり、この路線の地元安定勢力ノーボールズ、欧州からの遠征馬エクレラなど、こういったあたりが人気を集めそうなんですけども。アメリカではダートのマイルから5ハロンあたりがメインの戦場になるわけですけども、芝で、かつ短距離、しかも今回5ハロンというところで、主要路線から外れるということもあって、そして欧州からの一線級も今回出走してきているというわけでもないので、ここはジャスパークローネにスタートを決めてもらって、逃げ切りを決めてもらえたらなと思っております。アメリカでは森秀行調教師が、BCスプリントではなくてちゃんとターフスプリントに使ってきたというところが、私個人的には非常に勝負がかったというような印象を受けておりまして、馬券発売がないのが非常に残念なんですけども、もし馬券発売があればこの馬の単勝を買っておきたいなと思っております。

BCジュヴェナイルフィリーズ

名:最後にですね、今年のブリーダーズカップ全体を見たときに私が最も注目している馬についてお話しさせていただきたいと思います。

実は今ご紹介したレース全て2日目、土曜日(現地時間の日曜日)に行われるレースなんですけども、あと数時間後にスタートを迎えます初日、現地時間金曜日(日本時間土曜日の朝6時)から行われる2歳戦の中からですね、ジュベナイルフィリーズに出走するタマラという馬をご紹介したいと思います。

注目のポイントはですね、何と言っても血統なんです。お母さんの名前にご注目ください。ビホルダー。2012年の日本馬の出走記念のお母さんの名前です。ビホルダーは2012年のジュベナイルフィリーズ、2013年のディスタフも勝利、3年連続チャンピオン。ご存知の名牝ビホルダーの娘となります。今年の8月デルマーの6.5ハロンでデビューすると、ここを2と4分の1馬身差で勝利。2戦目は陣営の機先を制し、いきなりG1デルマーのデルマーデビュータントステークスに出走。先行すると3コーナーでは手応えを楽に先頭を奪い、直線に向くと後続をグングン突き放して、そのままゴール。2着に6馬身以上の差をつける快勝でした。今回ですね、浅いキャリアの中で大一番となりますが、ここをクリアして来年以降お母さんに負けずとも劣らない名馬になってもらえるように、個人的には非常に期待をしております。

蒼:なるほど、楽しみですね。

名:なかなか見るのがいろいろ大変かとは思いますが、グリーンチャンネルの中継もございませんので、合田直弘さんではないですが、名前だけでも覚えて帰ってください(笑)。

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